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大奥〜第一章

2004年10月〜2004年12月。
スペシャルを2005年4月放映。(フジ)

番組概要

竹千代の乳母として大奥に入ったおふく。次男を世継ぎとしたいお江与との対立に勝ち、三代将軍家光を誕生させ春日局となった。だが、家光の世継ぎをどうするか。朝廷の息の掛かった正室か、家光が気に入ったお万か、何も知らない町娘達か。誰に世継ぎを生ませるか春日の陰謀が始まる。

春日に立ち向かっていくお万、悲壮感漂うお楽、勝ち気なお夏、冷ややかに観る孝子。それぞれの思いが交錯し、家光とキリシタン問題も孕みつつ事態は混迷を極める。その果てに下した大奥の決断とは?


大奥〜第一章 #1

【あらすじ】稲葉正成の後妻:おふく(松下由樹)。幼き頃、父は戦に敗れて処刑。おふくには3人の子がいて生活は苦しい。たが正成は妾を養い仕官を夢見てばかり。

夜盗(北村一輝)に襲われ首魁を刺し殺すおふく。そして恨みから妾まで殺す。正成とは離縁。子供を置いて京に出たおふくは、将軍家が乳母を募っている事を知る。

家康(藤田まこと)とは過去に敵味方の家柄ではあったが、それでも自分を採用した家康に感銘を受け、一心を投げ打つ覚悟を新たに大奥へと入る。

【感想】○
とにかく絢爛豪華で金かかりまくり。女優陣も気合は入りまくりだ。前作の池脇千鶴に相当する役の娘(星野真里)が、どうドラマに絡んでくるのかが不明。

あと、離縁に至るまではよく考えたなと思わせたが、なぜ最初から「負け犬」と言われてたのか、そこの経緯はよく分からなかった。「負け犬」という言葉が流行ったから取り入れたのだろうが、その流行りが終わった今このシーンを観ると、かなり浮いてて違和感ばかり残る。

妾を刺した後の、血を浴びて雷鳴が轟き、ギラギラ目を光らせてる松下由樹が怖すぎる。あんな姿を見せられたら離縁するわな。


大奥〜第一章 #2

【あらすじ】子を捨てたおふく(松下由樹)と、母に捨てられた竹千代。秀忠(渡辺いっけい)の正室:お江与(高島礼子)は、長男の竹千代ではなく、自分が育てている国松を世継ぎにと公言し出す。

知恵遅れの疑いも掛けられ、竹千代とおふくの立場は一気に危うくなる。おふくは家康(藤田まこと)に全てを打ち明けようと駿府を目指す。

【感想】○
次男を寵愛する母(高島礼子)VSおふく・竹千代は、大河ドラマ「葵・徳川三代」でも描かれたので、特に新鮮味が無かった。

でも、妾殺し容疑で立場が危うくなるおふくと、世継ぎレースから外れそうになる竹千代の危機的状況を描いた末に
「ふくが厳しいのではなく、この世が厳しいのでございます」
このセリフを最大の山場に持ってくる辺りは素晴らしかった。

ただ、今回だけで赤子だった竹千代が 7、8歳くらいまで成長しちゃって、ちょっと駆け足な感じもした。


大奥〜第一章 #3

【あらすじ】竹千代を世継ぎにするため、家康(藤田まこと)に取り入り、秀忠(渡辺いっけい)に色仕掛けするおふく(松下由樹)。そして見事、三代将軍は家光となる。

【感想】○
「大奥」の本領発揮といった感じ。前回はお江与(高島礼子)の攻撃に堪え忍ぶ姿で、今回は反転攻勢。強気一辺倒なお江与の逆手を取り、おふくが放ったおしず(雛形あきこ)という名の甘い毒牙にコロっと傾く秀忠ちゃんが面白かった。北風と太陽ですかね。


大奥〜第一章 #4

【あらすじ】男狂いで世継ぎのできない家光(西島秀俊)。心配するおふく(松下由樹)。お江与(高島礼子)が好機を伺う。しかしお江与は病死。

【感想】◇
いきなり「おふく様は初の大奥総取締りになられました」って言われてもね。そこに至るまでの過程は描かれない。母と子の交わらない思い、がテーマなので仕方ないか。

家光がお忍びで町中にいるときに、お江与側のおふくの次男に襲われる下りは、処罰もなくその後の展開にあまり生かせてなかった感じがした。

それにしても展開が早いような。歴史的に、家光の弟が自害したあたりまでしか知らないおバカな私としては、このあと何をやるのか全く分からない。

ちょっとおふくが良い人っぽく描かれ過ぎてるが、次回から権力欲にまみれた展開になりそうなので、期待しておく。


大奥〜第一章 #5

【あらすじ】家光(西島秀俊)が心惹かれた女性は名高い尼だった。春日局(松下由樹)は尼(瀬戸朝香)を大奥に閉じ込め、無理矢理に側室にさせた。

【感想】○
権力を獲得するまでの前回から、権力を維持する側に回った春日局。権力欲にとりつかれたドロドロの展開が期待できそう。

今回は何としても側室にさせたい春日局と、それを拒み食事も採らない尼の意地の張り合い。家光が遣わせた笛吹き:半井隼人(金子昇)の笛の音で、生きる道を選択した尼、というのは良いアクセントだった。

その笛吹きの姉(遠山景織子)も側室にさせるために閉じ込められていた、との展開にはビックリ。ちょっと御都合主義だが、面白くなりそうなので良いか。


大奥〜第一章 #6

【あらすじ】お万(瀬戸朝香)はこれ以上不幸な女を出さないために、家光(西島秀俊)の側室としての役目を果たす事を決意。

家光との仲が良い方向へ向かう事に嫉妬した春日局(松下由樹)は、別の側室に世継ぎを生ませるため、町娘を物色。

【感想】◎
何か急に家光と春日局が極悪人みたく描かれてる。そこが良いんだけど。家光を恨む正室、キリシタンの姉弟、春日局も含めて哀れに思ってるお万など。

一方、春日局は徳川家存続と自らの欲望がごっちゃになって、もう鬼のよう。そんな春日局に育てられた家光は、捻じ曲がった性格になっちゃって自分でも訳分からん。

そんな混沌とした状況と感情にあって、力と地位、権力と立場のせめぎ合いで、複雑になればなるほど面白い。どんどんやっちゃってくれ。


大奥〜第一章 #7

【あらすじ】お万(瀬戸朝香)人気に沸く大奥。春日(松下由樹)は厳しい規律と第二の側室を目論む。家計援助を条件に奥入りするお楽(京野ことみ)。負けん気でついてくる魚売りのお夏(野波麻帆)。

キリシタンの姉(遠山景織子)を逃がす笛吹き:半井隼人(金子昇)。しかし姉は自害。家光(西島秀俊)に斬り掛るも果たせぬ笛吹き。

【感想】○
キリシタンの姉はあっさり死んじゃうんだね。その後の笛吹きと家光のやりとりが良かったのでOK。民の幸福と政治が繋がらないもどかしさを描く上で、キリシタンの娘と弟の笛吹きはそれなりに存在価値があったように思った。

一方、大奥では京風の着物に大金使ったり、側室をどんどん増やそうとしてたり、権力争いから来る浮世離れが、また違った物悲しさを演出している。


大奥〜第一章 #8

【あらすじ】正室の孝子(木村多江)が不発に終わったため、お万(瀬戸朝香)を介して勢力伸張を目論む朝廷。そうはさせじと新たな側室に世継ぎと生ませようと必死の春日(松下由樹)。だが、お楽(京野ことみ)は事もあろうに家光(西島秀俊)を拒絶。代わりにお夏(野波麻帆)が機会を伺う。

「寝屋を共にするのは、家臣が主君に仕えるのと同じ。それを怠れば家臣が路頭に迷おても知らぬ」とお楽を脅す春日。翌日、家光に泣いて詫びるお楽。「見捨てないで」と懇願。

家光の心はお万にあるが、以前の笛吹きと通じている事を知り、怒りに任せてお楽を抱く。そしてお楽懐妊。お万追い落としのため、皆の前で笛吹きの件を詰問する春日。しかし家光倒れるの報。病名:水疱瘡。

【感想】◎
何だかこうしてまとめてみても、凄まじい展開だ。明るい町娘お楽の変わりようがまずスゴイ。拒絶するまではありがちなパターンでしたが、翌日の懇願シーンを観て「時代も違うしドラマの上とはいえ、凄い世界があるものだ」と思ってしまった。

気難しい家光、慈悲の心のお万、悲愴なお楽、勝ち気なお夏の心を巧みに操る春日の権謀術は毎回の事として、今回はさらに正室孝子も一枚噛んでたような。笛吹きとお万を会わせたのは、何かの意図があったのか無かったのか。

あとは家光役の西島秀俊だが、当初は「何だか覇気が無くて物足りない」とも思っていたが、何を考えてるのか分からないけど色々な想いが去来する、という難しい役ながらも複雑な心情を微妙に演じ分けているようにも見えてきた。


大奥〜第一章 #9

【あらすじ】疱瘡から回復する家光(西島秀俊)。懐妊したお楽(京野ことみ)を敬い、お万(瀬戸朝香)との差をつけさせる春日。

キリシタン狩りを止めるよう求めるお万。子供を授かりたいお夏(野波麻帆)。しかし新たな側室:おりさ(末永遥)がやってくる。お楽はお万の計らいで元恋人と逢う。激怒する春日。

キリシタン狩り祈願のため日光へ赴く家光。直訴状を持って走り寄る笛吹き(金子昇)は無残な最期。そしてお楽に陣痛が。

【感想】○
もう、盛り上げるためには何でもする、っていう姿勢が素晴らしい。ここまで撤しきれればドロドロの展開も楽しく観られる。

笛吹き復活かと思いきや斬られたね。この死がまた波乱を呼びそうで、この笛吹きはドラマ上重要な役なのだが、イマイチ深みが無いというか、いかにも作りモノっぽい感じが残念かな。


大奥〜第一章 #10

【あらすじ】笛吹き(金子昇)の死を知り、引きこもるお万(瀬戸朝香)。次に子を授かる側室を巡って争うお夏とおりさ(末永遥)。お万の諌めで沈静化。

第一子を産むお楽(京野ことみ)。乳母ではなくお楽に育てさせる家光(西島秀俊)。自己否定される春日(松下由樹)。

お夏も懐妊。寝所への務めからの引退を宣言するお万。その直後、お万懐妊。流産を勧める春日。最後の対立。

【感想】○
色々ありすぎて、ぶっきら棒なあらすじになってるが、それでも今回はやや落ち着いた展開だったような。お万の心の変化とそれに伴う行動の変化を軸に描いていた。あっちへこっちへとブレまくるお万の心のと行動の揺れ具合が見所かな。

しかし家光の要望があればそれに応えなければならず、日々繰り出される春日の圧力を凌がねばならず、懐妊となれば自由な行動も出来ないのだ。

大奥で信念を持って行動するのは難しく、信念に従えばいったん引退宣言したのだから流産が当然と思えるが、やはり御仏の精神が根底にあるお万としては、産む方を選択したのだろうか。難しい。

お楽の子を乳母に育てさせない、というのは春日にとっては自分が家光にしてきた事の全否定だから、かなりショックだろう。そりゃ心の臓も痛むってものさ。この部分、回想も含めてもう少し描かれても良かったのでは?と思ったが、時間の都合上なのか短かった。


大奥〜第一章(最終回)

【あらすじ】朝廷に付け入るスキを与えないため、お万(瀬戸朝香)の子を流れさせようと薬を混入する春日(松下由樹)。悪事に手を染める春日の前に江世の亡霊。心臓の痛みが再発。お万が口にする直前で膳を投げ間一髪。

床に伏せる春日。薬は江世との約束で飲まず衰弱していく。大奥総取締りをお万に譲り死去。お万の子は大奥だけの密事とされ、お玉(星野真里)が生んだ事にしてお万とその子を守った大奥。その子は後に五代将軍となるが、それはまた別の物語。

【感想】◎
もうこの面白さは、あらすじを追うだけではとても書けない。役者それぞれの演技、演出、音楽など、そっち方面でグイグイ魅せる展開。


【総評】◎

シナリオを読むだけでは荒唐無稽な展開なのだが、「盛り上げるために劇的な事は何でもする」という姿勢が一貫していた。この姿勢がちょっとでもブレると、全部が嘘っぽく滑稽に見えてしまうものだが、最後までやり通したから素晴らしい作品になったと思う。

乳母として激しい世継ぎ争いを行った作品の前半。それがあったからこそ、お万に生ませまいと画策した後半。己の感情を押し殺して公務を優先するも、その公務に私情が無かったとは言い切れない春日。しかしそれが完全な悪だとも言えない大奥という独自の世界。

覇気が無く優柔不断に見え、春日の言いなりとも捉えられるが、冷徹さと慈悲を併せ持ち、常に相反する感情を心にしまい込みつつ過ごす家光。

無理矢理に大奥に入れられ、外に出たいと願うが叶わず死を決意するも、これ以上の犠牲を出さないため、側室の任を全うしようとするお万。大奥の事情を知るにつれ、その複雑さ、矛盾に心を痛め、何とか解決したいと自らの信念に従い行動するお万。しかし権限に限界があり思うように行かない。

どれも難しい役だ。これを演じきった主要キャストも凄ければ、演じさせた脚本を始めとする制作スタッフも凄いとしか言いようがない。


大奥〜第一章SP

【あらすじ】春日局(松下由樹)死去から8年。その遺志を継ぎ、大奥を取り仕切るお万(瀬戸朝香)。家光(西島秀俊)の後継はお楽(京野ことみ)の子:家綱とされていたが、自分の子を推すお夏(野波麻帆)、さらに家綱の次を狙うお玉(星野真里)によって、再び跡目争いが囁かれる。

病床にある家光を正室:孝子(木村多江)が訪ねる。家光への本心を打ち明け、大火の犯人は自分だと告白する孝子。さらに、お万・お楽が訪れ、お楽を祭事に紛れて密かに大奥から出した事を明かす。同じ日に起した罪を語らう女達。

【感想】○
最終回で春日局が死に、このSPで家光の跡継ぎ争いでも描くのかと思ったら、過去の出来事の回想だった。でも春日局がいた過去を描かないと「第一章」じゃないし、松下由樹が出てこないと女優陣に重みが無くなっちゃうからこれで良いのか。

お楽が家族に会いに行けるよう取り計らうお万と、孝子が火付けをする日が同じ祭りの日だったという展開はなかなか。しかし今回最大のウリだった大奥炎上シーンは、火の近くで演技したというのは分かったが、アップばかりでそんなに大掛かりな物ではなかったように感じた。

城に戻って火事を知り、城外へ逃げようとしたお楽だけが取り残され、そこへ春日が一人でやって来るというのも、盛り上がりのための演出だったとはいえ違和感が残った。さらに火をつけた孝子の脱出シーンもなく、着物を召し替えて皆の所へ戻って来るのも不自然かな。炎上シーンと脚本の連繋が撮影や執筆の日程上、噛み合わずに少々無理して編集したのかもしれない。

本編から4ヶ月経っての放送だから、本編の流れや気持ちの盛り上がりを完全に取り戻せないまま終わってしまった。相変わらず松下由樹の演技の凄味や音楽、鮮やかな色彩などは良かったが。


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