* 第24章  次なる刺客*
龍達がソイルによって針をさされ 約20分が経過。

状況は変わらず ソイルが有利。

カイスは左腕から流れ落ちる血を右手で押さえながら必死に抵抗をするが

一向にダメージを与えることができない。

「もう諦めた方がいいんじゃね?」

ソイルは一旦攻撃をやめ その場であぐらをかく。

「まだだ……」

カイスはよろよろした足取りでソイルに向かうが 途中で力が入らず前に倒れる。

ソイルがカイスの様子を伺おうと近づいたとき カイスの指輪がほのかに光る。

「引っかかったな……」

「何……!?」

その光は強烈な輝きを放ち ソイルは思わず目を閉じる。

「ディル・ボルズ!」

このチャンスを逃すまい とカイスは力いっぱいに唱え 見事にソイルに的中させる。

「ぐはあぁぁっ!」

ソイルは炎で皮膚がただれ落ち その場に片膝をつく。

「お前……本気で俺を怒らせたな……」

さっきまでの感じが明らかに違うと カイスは感じ数歩後ろに下がる。

ソイルは剣をもう一本取り出し 何かの技を放つ構えをとる。

「マダラ・ソード」

ソイルは二本の剣を×印を描くように空を切る。

「特に何も起きないが……」

「何も起きないか……幸せな奴だな てめぇは……」

ソイルは不適な笑みをし また剣をペロリと舐める。

「お前の服が段々赤くなるのがわかるぜ」

そういわれて カイスは自分の服を見る。

すると少しずつではあるが 段々服が赤くなっていくのが分かる。

「何だこれは……っ!」

服を触ると 手には血がつく。

さらに血は×印を描きはじめる。

「ぁ…あぁ」

腹が裂けるかのような痛みがいきなりカイスを襲う。

「クハハハハ……この技は時間差でな……徐々に傷を深くしていくんだよ……」

「っく……」

傷はソイルの言っているように 深くなっていく。

それと共に カイスの体からは血が零れ落ちる。

「お前の負けだ……諦めろ」

ソイルはカイスの頭を蹴り飛ばし 行為的に腹を何度も踏みつける。

そのたびはカイスは悲痛の叫び声を出し それが一層ソイルの状態を興奮させる。



「やっべぇ……マジで興奮するよ 早くお前を殺してぇよ」

怪しげな吐息を出しながら ソイルは剣を1本しまい もう一本をカイスの頭につける。

「死ねっ!」

思いっきり剣をカイスに向かって刺したのだが カイスは間一髪でよける。

カイスは足でソイルを蹴飛ばし フラフラとした足取りで立つ。

「はぁはぁ……」

呼吸を整えるが 出血の量は収まらず目がぼやける。

その時 紅の指輪がいつもとは違う輝きを放ち その光は長方形の形を作り出す。

さらには先端がとがり 最終的に指輪は剣に姿を変えた。

「これは……」

カイス自身もそのことに驚いており しばしその剣をじっと見つめる。

「なんだぁ…!? お前も剣使えるのか?」

ソイルはニヤリと笑い剣を構える。

「あのお方の言っていた……ことはこういう事だったんですね」

思い出したようにカイスは呟くと 両手で剣を握り締めソイルと同様に構える。

「てめぇの剣術がどれほどなのか 見てやるよ!」

ソイルは壁を蹴り 剣を突き出しカイスのところに一直線に向かう。

一方のカイスは身構え ソイルの攻撃を受けようとする。

「真っ向から俺に向かえ撃つなんて 無理なんだよカスがっ!」

ソイルはカイスの剣をはじき 業と右腕を狙う。

遅れながらも カイスもソイルに向かって剣を突き出すが リーチが足りない。

「ぐわぁっ!」

「右腕も終わったな……」

ソイルの剣はカイスの右腕を貫通し 血が剣の先から滴れ落ちる。

「俺はお前に負けられないだよ!」

カイスの気持ちに答えたのか剣が再び輝きだし 剣のリーチが一気に伸び ソイルの心臓部分を突き刺す。

「……っ!」

ソイルの手の力が抜け 剣の落ちる音が全体に響く。

「糞がっ……」

口から血を吐き出し その場に倒れこんだ。

すぐにソイルの体が灰化し 粉々に散っていく。

「はぁはぁ」

カイスは剣をソイルから抜き取ると 再び指輪に戻る。

「早く 龍達に薬を……」

血だらけの手でソイルのポケットから3つの薬を取り出し 急いで投与する。

「これで一段落ついた」

指輪をもう一度見て カイスは壁に腰掛 胸に当て目を瞑る。

「クリス……敵は俺が取っておいたぞ」

痛みを抑えながらも 微笑み薄っすらと涙を浮かべる。

段々 意識が遠のいてくるときに 一人の女性が目の前に現れる。

「お疲れ様 ケロ助君じゃなくて カイス君」

「あなたは……」

カイスがその女性の名前を言おうとすると 口元を手で押されられる。

「さぁ 一旦戻りましょう……後はこの子達がなんとかしてくれるわ」

女性はカイスの手を取り呪文を唱える。

「ジャラール!」

そう唱えると 2人の体が段々透けていく。

「絶対 帰ってくるのよ……」

女性は3人に向かって投げかけ カイスと共に姿を消した。



数分後────

龍は多少の頭痛を患いながらも 目を覚ました。

同時刻に里奈 早苗も目を覚まし カイスとソイルがいないことに気づく。

「カイスは?」

龍は地面についている 血を見ながら言う。

「ソイルって奴もいないわね……一体どういうことかしら?」

早苗は地面に付着している血を辿りながら 一つの答えを出す。

「あの血痕からして ソイルは死んだってことはわかるわ でもカイスは……」

「カイスは?」

「それは……」

早苗は言葉を濁し そっぽを向く。

「死んではいないと思う」

さっきまで無言だった 里奈が突然口を開く。

「カイス君の血痕はかなりあるけど ソイルって人が死んだ後についた血痕もあるの」

里奈は横の壁に指を指す。

「敵と戦っていて 壁にもたれるなんてことは不可能に近いと思わない?」

「そうだよね……里奈の言うとおりじゃないっ!」

早苗は龍の背中を強く叩くと 業とらしく笑う。

「でも…でも」

龍は涙をボロボロ流し 必死に腕で涙を拭こうとする。

突如奥のドアが開き 上に行く階段が姿を現す。

「えっ!?」

涙でいっぱいの目で龍は階段を見つめる。

「次の敵がお待ちかねってことね」

「行こう…龍君 カイス君は絶対生きてる……私はそう信じてるから」

「里奈……」

里奈が龍に手を差し伸べ 3人は階段をゆっくりと上る。

次の場所は さきほどまでとは少し違い 本がたくさん並んでいる場所。

「この本全部……禁魔法に関するものだわ」

一冊の本を取り出し 埃を叩いてページをめくりながら早苗は小さく言う。

「ということはここは 書庫ってこと?」

「多分……」

「あれ…? 誰かいる!?」

龍はおくの方を指差しながら その人に近づいていく。

「ちょっと待ちなさいよっ!」

早苗は先ほどの本を龍の頭目掛けて 投げ飛ばし足止めをする。

「っ痛」

「あんた もしかしたらあの人が次の相手かもしれないんだよ?」

「そのとおり……」

女性と思われる人は こちらに向かって歩き出し 光のあるところまでくると

3人は絶句した まさかあの人が次の相手だなんて思っても見なかったからだ。

「フフフ…… 驚いた?」

その相手とは 保健室の先生こと”プリム”であった。

「な…なんでプリム先生がこんなところに?」

まだ信じ切れてない龍は プリム先生に質問をする。

「なんでこんなところに……ですって? 馬鹿な質問するわねぇ 早川龍」

「プリム先生…!?」

「プリムって呼ばないでよ 私の名前は”リアム”」

「偽名……だったのね」

早苗は2人を引っ張り 本棚の後ろに身を隠す。

「あらあら……警戒しちゃって……」

リアムは本棚の隙間からこちらをじっと見て 不自然に笑う。

「私はマティス様の命令で アルケノス魔法学校に潜入したの でも大変だったわぁ
 あのプリムって言う保健員 結構魔法使えてビックリしちゃったし……
 あぁでも 結局殺しちゃったけどね それで上手くそいつに化けて今までやってきたわけ」

「一体何が目的だったわけ?」

「そうねぇ……あんた達の監視と あのカエルを殺すことかしら」

「まさか……カイスを殺そうとしたのは」

「そう 私」

軽い返事をし リアムはこちらに向かって歩き出す。

「でもねぇ 計算違いだったわ まさか水の精霊と契約できるとは思わなかったし
 あのカエルを殺せなかったのも誤算だったわね でも今はこの通り計算どおりだわ」

「計算どおり?」

「だって 後はあんた達をここで殺すだけだから……」

リアムの足音がピタリと止まり 自分達の呼吸する音しか聞こえない。

「よくここまで頑張ったわ でもここで終わり」

呪文を唱える声がし 3人は急いで もう一つうしろの本棚に隠れる。

「タウスト・バーン!」

本棚は煙を上げ 激しく燃える。

「アハハハハハ……」

その炎を見て リアムは狂ったかのように笑う。

「何処いったのかなぁ……ここかな? それともこっちかな?」

笑いながらリアムはあたりを見渡す。

「とりあえず一番奥の本棚に隠れて リアムが姿を現した瞬間に融合呪文ってことで」

龍が以外にも名案を思いつき 3人はリアムに気づかれないようにどんどん奥の本棚へと進んでいく。

「ここも違う ここも違う」

術を乱発しながらも なんだか楽しそうにリアムは次々と本棚を燃やしていく。

「まるで かくれんぼしてみるみたい……」

燃え残った本を手で粉々し クスクスと笑う。

「逃げたって仕方ないのに……本当に弱虫だね」

とうとうリアムが最後の本棚に差し掛かり 3人は杖をかなえ合わせ 詠唱する。

「この技 教科書の最後の方にあったけど 使えるのかしら」

「大丈夫……!」

「それじゃあ……いくよ!」

3人の杖が不規則に光り 周りをも光らせる。

「後はリアムが来るのを待つだけ」

リアムの足音が消えたのが分かると 息を凝らしあたりをキョロキョロと見る。

「みーつけた……ウフフフ」

「エレキ・ディフィジョン!」

杖から青白い電気が流れ リアムを感電させる。

「ぐああぁぁ!」

リアムの体は金魚のように飛び跳ね 本棚に激突する。

体からは煙が出ており 服も少し焦がした。

「痛いじゃない」

すぐに立ち上がると 頭に落ちた本を潰しながら 服を叩いてこちらをギロリと睨む。

「今のが精一杯の力じゃないよね……?」

髪を結んでいるゴムを外し リアムは言った。

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