* 第22章  襲撃*
早苗は学校に着くと 里奈を肩に組んでゆっくりと歩き出した。

しかしいつもとは少し違った感じがする。

それもそのはず もう既に闇の精霊が復活し 魔法界では大変な騒ぎになっているからだ。

デマではないのか? これは禁魔法者の脅しではないか? と議論が交わされている状態。

無論 この学校にもそのことは伝わっており 生徒達は錯乱状態に陥っていた。

呼吸が整わないまま 早苗は保健室の扉をゆっくりと開ける。

最初に思ったのはいつもいるはずの プリス先生がいないということ。

「プリム先生いないのかしら……。」

疑問に感じながらも 早苗は里奈をそっとベットに寝かせる。

「やばっ……あたしも眠くなってきたかも……。」

早苗は椅子に腰掛けたまま 眠りについてしまった。



「おーい 起きろ!」

誰かの声がする と早苗は気づき 重いまぶたを開く。

その声の主は 龍であった…。

服も汚れており 顔にはすり傷が多数ついている。

「龍……?」

「やっと起きたみたいだね……。 ってそれどころでもないんだけどね」

意味深な言い方に 早苗は疑問を感じ腰を起こす。

「で……クリスの件はどうなったわけ?」

「あぁ……クリスは禁魔法者の仲間に殺された。 でも……。」

「でも…?」

龍の後ろからひょっこりと 自分たちよりかは年上の緑色をした髪の毛の青年が姿を現す。

早苗は見た瞬間 頭がのぼせた 自分でもなんでかわからないけど胸がドキドキする。

「あ…え… あなたは一体誰なの?」

恥ずかしそうに早苗はその青年に問う。

その質問に 含み笑いをし青年は答える。

「誰もなにも……ケロ助だよ 本当の名前はカイスだけどね」

「へ?」

「要するに カイスは人間に戻ったってわけなんだよ」

「あの話本当だったの!?」

その事実を知って 早苗は驚く。 あのカエルが人間だったなんて そしてケロ助(カイス)を見て胸がドキドキするなんて…。

「改めてよろしくな 早苗」

そっとカイスは早苗の手を握る。

「あーよろしく」

それに答えるかのように早苗も手を差し伸べる。

なんか早苗は胸がもやもやしていた。 うずうずして仕方がなかった。

まさかコレが恋なのかと 心の中で少し思っていた。

「里奈の方は今のところ落ち着いているみたい……もう少し様子見するらしい」

「そう……ところで今どうなってるわけ? なんかあたしがここに着いた時 すごい騒がしかったけど」

「そのことなんだけど……今からホールで緊急で集会があるんだよ」

「んじゃ……集会のある場所にいかないとね」

早苗は椅子から立って 保健室のドアを開ける。

続いて 龍そしてカイスと後に続く。

3人がホールに向かうと 既に全校生徒が整列している。

2人は生徒の間を掻き分けて自分のところに整列をする。

カイスはアスベル先生の横に座る。

すると校長先生が舞台に上り 咳払いし大声で言う。

「生徒諸君 たった今 闇の精霊が魔法界に召喚された!
 ただちに 魔法防御隊を作りこの学校を死守する!
 あと数時間もすればこの学校にも禁魔法者が訪れ大惨事を起こすに違いない」

校長先生は真剣な口調でいい 生徒達は無言で頷く。

「では 魔法防御隊のことは 今から渚先生に説明してもうからよく聞くように」

そういい残し 校長先生は素早くその場を去る。

聞いたところによると 上層部の緊急会議に呼ばれているようだ。

「えー…魔法学担当の 相田渚 です。
 今から4人一組のグループになってもらいます。
 そのあと学校を囲むようにグループに配置してもらいます。
 配置後すぐに 今自分が使えるシルド系の術を思いっきり唱えてください。
 一人でも欠けてしまうと 完全な防御が崩れる可能性があります。
 尚 先生方は各自 担当の区域に行ってもらうことになりますのでお願いします
 以上 私からの説明を終わります。」

端的に話すと 渚先生は忙しそうにその場を離れる。

そのあとアスベル先生が 4人1グループになるように指示を出す。

「決まったグループは私に報告をして 決められた場所に配置してください」

次々と生徒達は アスベル先生に報告をして配置の場所に移動をする。

最終的に残ったのは 龍と早苗 そしてカイスだった…。

「こうなることは分かってましたけど……どうでしょう? 僕とカイスを含めて4人というのは?」

「でも そうなると里奈はどうなるんです?」

「大丈夫! 里奈のところの区域は プリネイス先生が担当だから心配ないと思う」

「……はい」

龍は頷き 自分たちの配置するところを確認する。

場所は 学校の正面で正門の近くを担当。

「まぁ……多分禁魔法者がくるのは確実だとは思うけどね……何せ狙いはアリスストーンだから」

「でも多分大丈夫だとは思うけどな……あれだけの生徒の人数が同時に防御魔法を唱えたら
どんな攻撃でも壊すことは不可能だと思うけど」

「とにかく今は この学校を守ることにあるので 他の生徒達に遅れをとらないためにも
 配置場所に急ぎましょう」

4人は走って正門に急ぐ。

龍も早苗もそしてアスベル先生も違和感を肌で感じていた。

先ほどから なんか部外者の気配がすることを……。


4人が配置場所につくと 既にシールドが学校全体を覆っていた。

外はまだ 明るく 鳥の鳴き声がする。

こんな平和なのに 闇の精霊が復活したというのを理解しがたいのは確かだ。

4人もシルド系呪文を唱え 加担をする。

だがその直後であった……。

空がだんだん 暗くなっていく。

さらには紫色に空は変わる。

「なっ…どうなっての? 紫色の空なんて不気味すぎるわ」

「いきなりこうも天候が変化するなんて……変にもほどがあるな」

「ちょっとあれ見てよ!」

早苗が指を指すと遠方から箒に跨った怪しい集団がこちらに向かってくるのが伺える。

「こんなに早く くるとは思わなかったですね……。」

「さぁ……くるならきなさい!」

早苗は気合を入れる。

「私も加担します!」

4人は声のするほうに顔を向けると 里奈がこちらに向かってくるではないか。

「はぁはぁ……。 大体の状況はプリネイス先生から聞きました。
 私だけが寝ているわけにはいきませんし……魔法界の危機であればなおさらです」

「うん……じゃあ 里奈も加担してくれるようですし 僕は本来の配置に戻ります
 この区域は君たち4人でお願いします では後ほど会いましょう」

アスベル先生はニコリと微笑んで 走って学校の中に戻っていった。

「えっと……ケロ助君だよね?」

「あぁ……でもなんでわかったの?」

「いえ……そただそんな感じがしたんです」

「里奈 この人には列記とした名前があるのよ カイスよ カイス」

早苗はカイスに目を合わせないで指を指す。

「カイス君 よろしくね」

「こちらこそ」

2人は握手をし 里奈もシルド系呪文を唱える。

箒に跨った集団は シールドの数十メール手前で停止する。

「ほぉ……準備は万全ということかな……。」

「早く この闇の力を試したいわ…。」

禁魔法の集団の指揮官が一歩前に進み 各自に指示を出しているように伺える。

すると学校からサイレンが鳴り始める。

「いまだ 行け!」

指揮官は下級禁魔法者たちに 言い放つ。

それと同時に 何百もの禁魔法者たちが シールドに向かって術を放つ。

「ハハハハハ……どうだ見たか! これぞ禁魔法というものだ!」

闇の精霊の復活のせいなのか あまりにも威力の強い攻撃で 続々と生徒達がはじかれる。

「っく……なんて力なの……これじゃあ持っても数分じゃない!」

「やばい! シールドの威力がどんどん下がってきている」

段々とシールドが透明になっていくのを龍は目でわかる。

数分後にはシールドが完全に解かれ 禁魔法者は一斉に学校に攻めてきた。

「こうなれば全力で戦うしかないよな」

カイスは力を解放すると共に 紅の指輪が光る。

「ディル・ボルズ!」

「へへ…… そんな術じゃ無理だ!」

禁魔法者は杖を取り出し術を唱える。

「フレイム・ハート!」

二つの炎は入り混じり 相殺する しかしながら残り火が4人を襲う。

「ディル・シルド──!」

里奈のとっさの防御により被爆を避けることができたが これは4:1の例。

これ以上自分の区域に攻められたらこちらの勝機が確実にない。

「とりあえず 一人一人確実に仕留めることにしたほうがいいわね」

「いや それよりも4人で強力な融合術を唱えたほうがいいと思う」

カイスの一言に 早苗は反論もせずに はい と答える。

「じゃあ 3人とも俺の杖に重ね合わせて!」

言われるとおり 3人はカイスの杖に合わせる。

「フレイム・ディフィジョン!」

カイスが唱えると 火の塊が出現し 段々大きさを増していく。

そして思いっきり バッドを振り回すようにスィングする。

火の塊は空彼方に飛んでいき この術は失敗だとカイスを除き3人は思った。

「なんだぁ? その術は……ふざけんじゃ……」

禁魔法者は上から何かが降ってくるのを感じ 空を見上げる。

次の瞬間 空から 無数の炎が猛烈なスピードで落下。

「な…なに!?」

避ける間もなく 禁魔法者達に次々と炎が降り注ぐ。

「ぐああぁぁぁっ───」

禁魔法者は地面に打ちつけられ 火が肉体を燃やしつくす。

一気に4分の1ぐらいの禁魔法者を戦闘不能にしたのはいいのだが 唱えた4人も相当力を放出していた。

この4人の技によって 一旦禁魔法者は古の森の木々に姿を隠し しばしの間様子見をしていた。



先ほど3人の持ち場を離れた アスベル先生は本来の配置の場所に急いで向かっていた。

「もしも禁魔法者が校内に侵入したら 僕たちが守らないと……」

走りながらアスベル先生は呟く。

アスベル先生が配置の場所につくと 何故か持ち場の違う 渚先生がそこにいた。

「あれ…? どうしたんですか? ここは僕の持ち場のはずですが……。」

「それは分かってるわ……。でもさっきからこの周辺から気配を感じるのよね
 先生もそう感じませんか?」

そういわれて アスベル先生はふと思い出す。 さきほどもここを通った時に変な感じを覚えたのは確かなことだと。

「はい……僕もさっきここを通った時に 違和感を感じましたが……でも何かの気のせry」

続きを言おうとしたアスベル先生に 渚先生はアスベル先生の口を押さえる。

「どうひたんでしゅか?」

「黙ってて!」

渚先生の強い口調に アスベル先生はだんまりする。

数秒後何かが分かったのか アスベル先生の口に当てていた手を解き壁に向けて術をとなえる。

「オル・サンダ!」

「ちょっと先生 何をしているのですか!?」

アスベル先生は 渚先生の腕を掴み投げ掛ける。

「壊れた壁のところを見てご覧なさい……いるでしょ誰かが……」

「いるって 生徒達はみんな配置についているはずでは……」

アスベル先生はおそるおそる 壊れた壁に近づこうとした時に 足元から植物が湧き出す。

「オル・ボルズ!」

あわてながらも術で生きた植物を焼き払ったが いまいち状況が掴めない。

「さぁ……出てきなさい 禁魔法者!」

渚先生の呼びかけで 奥からめんどくさそうに何者かが姿を現した。

緑色の髪をしていて 結び方はツインテール。

服は結構おしゃれな感じの女の人。

「あれぇ? 上手く隠れてたのになぁ……
まぁ わたしのぉ ペットちゃんが 早く人を食べたくてうずうずしてたところだったけどぉ」

「君はたしか コレウスでは?」

「正解!正解! ピンポーン! なんでぇ分かったのそこの 眼鏡さん」

「いや……少し前に 魔法モデル雑誌 に載っていたような気がしてね」

「あぁ……そんなこともしてたっけ? でもその話はもうおしまーい
 あたしがここにきた理由はただ一つなのぉ」

コレウスが続きを言う前に 渚先生が先制攻撃をしかける。

「ディル・サンダ!」



コレウスは逃げず 両手を大きく広げ 術を堂々と受ける。

「まともに術を受けたですって!?」

予想外の行動に渚先生は動揺を隠しきれない。

「多分……効いていないようですね」

2人はコレウスから距離を置く。

電撃によって逆立った髪の毛を整え コレウスはニヤリと笑い二人に言う。

「あたしの来た理由わね……ペットの餌がたくさん落ちているからなの」

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