* 第18章  魔法雑貨交換所*
里奈がさらわれて約1週間が過ぎた頃だった。

そう 早苗と魔法街に行くという約束の日が来たのだ。

龍は寝ぼけながら支度をして 早苗の寮の前で待っていた。

「あれ?あんたにしては準備が早いみたいね」

寮から出てきた早苗は龍の背中をポンッとたたきながら言う。

「まぁ……うん」

「よし…んじゃ……早速魔法街に行こうか」

「あっ……うん」

早苗はぐいっと龍の腕を引っ張り龍を誘導するかのように歩き出した。

「あっわざわざ歩かなくても魔法でいけるんだった……」

「えっ…」

早苗の足がピタリと止まり バックから杖を取り出す。

「龍 あたしにつかまってて」

「えっ……うん」

「って何処掴んでんのよ 服でしょ服 別に手をつなげなんていってないじゃない!!」

「あー……ごめんごめん」

っさ と龍は手を離し早苗の服を少し握った。

それを確認した早苗は杖を上に向けて唱える。

「ジャラール 魔法街へ!」

2人の姿は薄くなり 数秒後には完全にいなくなった。



「ふぅ 到着っと……ってあれ?」

早苗が辺りを見渡すと龍の姿が見えない 何処いったのだろうと思いきや

足がグラグラするのを感じる。

「早苗……足どけてくれないかな?」

その声に聞き覚えがある早苗 ふと下を見ると龍がぐったりと寝そべっている。

「あっ……ごめんごめん……」

早苗は足をどけると 龍はフラフラと起き上がり汚れた服を手で払う。

「早苗 もしかして太った? やけに重く感じたんだけど気のせい?」

「はぁ!? 失礼しちゃうわ……こうみてもはじめの頃よりか痩せたんだからねっ!」

プイッ と顔をそむけ 早苗は一人先に歩き出す 龍も早苗に追いつこうとする。

すると早苗の足が急に止まった いきなりだったので早苗にぶつかりそうだった。

「朝ごはん 食べようか!」

早苗がいきなり言い出す。

「へっ?」

「ここ あたしのお勧めの場所なんだ……いいでしょ?」

「まぁ朝ごはん食べてないし いいよ」

「じゃあ 決まりね」

早苗は店の中に入り 注文を取る。

龍も適当に注文を取り一息ついたところで早苗が口を開いた。

「あのさ……今日あんたを誘ったのはある場所につれて行きたいからなの」

「って何処?」

「先日新しくできた魔法雑貨交換所ってところなんだけど…この店から近いらしいの」

魔法街の地図を広げ 指を指しながら説明する早苗。

「でもさ そこに行っても特に意味がないような……」

「何いってんの! 交換所で掘り出し物があるかもしれないでしょ?
 もしかしたら もしかしたら もしかしたら ホリジストの書物も見つかるかもしれないし……」

「ホリジストの書物が簡単に見つかるわけはないと思うけど……何もしないよりかは……」

龍の話の途中に さっき注文していた物が届けられる。

2人は食べながら交換所についてしゃべっていた。

交換所とは 自分の持っている物と相手の持っている物を交換する場所。
まずは自分の要らなくなった物をエントリーし 希望の物を同時に指定する。
その条件と見事一致した相手がいたら交換所から知らせが届く。
その後 もう一度交換所に訪れ 希望の物を受け取ることができる(一連の流れ)
尚、交換料金は 一つにつき300円と微妙に高いのが特徴

「ふぅ……お腹いっぱいかも……」

「俺もかな……早苗のお勧めだけあって……量がいっぱいだったな」

「何その言い方……」

「べ 別に……早くその交換所に行こうよ」

龍が先に席を立ち勝手に会計を済ます。

実のところ早苗は割り勘のつもりだったが龍がおごってくれるような雰囲気だったのであえて口に出さなかった。

2人が店から数百メール歩くと段々にぎやかな声が聞こえてくる。

どうやら交換所の前で並んでいる魔法学生の話し声のようだ。

早苗と龍は最後尾に並び自分の順番が来るまで待ち続けた。

1時間後ようやく 2人の番が回ってきた。

「ようこそ 交換所へ まずは現在のリストを見るのをお勧めするぞ」

店の奥から声がし いきなり2人の前に大きな本がドンッと置かれる。

興味深そうにページをめくっていると早苗が目を丸くした。

「あ……こ…これ すごい好条件じゃない!? 早速交換だわ」

早苗は本の横にあったベルを鳴らし 主人を呼んだ。

「おや……早速交換かい? 君の 星屑のかけらと命の杖とを交換だね?」

「はい お願いします」

早苗はバッグから星屑のかけらの入った小瓶を主人に渡す。

それを受け取った主人は奥の部屋に入っていき 命の杖を持ちながら姿を現した。

「はい これだね 交換料300円だね」

「あ……はい(ある意味ぼったくりだわね)」

しぶしぶ早苗はお金を主人に渡し早苗の交換は終了した。

「次は 龍の番ね……なんかいい交換あった?」

「うーん……」

最後のページの最後の欄で龍の手が止まった。

相手の希望の物を自分が持っているのだ。

でも相手の出す物が”古い本”と書かれている。

詳細には
”ある日大掃除をしていたらこの本を見つけました
 中身は意味不明な語が並べており読めません こんな本でよければ是非交換お願いします”

と書かれていた。

「もしかして もしかすると……ホリジストの書物かな?」

「そんなわけないじゃない……そんな簡単に見つかると思ってんの!?」

「さぁね……当たって砕けろ かな」

そう言って龍が取り出したのは 母親から貰った”紫色のカード”であった。

早速早苗と同じようにベルを鳴らすと主人が姿を現した。

「本当にこれでいいのかい?」

早苗の時とは違った反応を見せる主人。

「これでいいです……」

「そうかい……君のカードと古い本を交換だね 交換料300円ね」

龍はお金をポンッと置き 主人が出てくるのを待った。

数分後 主人がゲホゲホ咳き込みながら姿を現す 手には古ぼけた本を持っている。

「はい……これで交換完了だね……本当にこれでよかったかい? こんな古い本……」

「いいんです……どうせそのカードいらなかったし」

「じゃあ 交換も すんだことだし 学校に戻りますか」

早苗に腕を掴まれ またさっきの道に戻る。

「でさぁ……その古い本の中身なんなの? 気になるから今見せてよ!」

龍のバッグを勝手に開き早苗は本を開きじーっと見つめている。

うーんっと唸りながら龍に向かって投げつけた。

「全然読めないわ……一体何処の言葉なのかしら……あんた300円損したわね」

龍を小ばかにし あきれた様子を見せる。

代わって龍は その本のページをめくり 読みはじめた。

「この本が読めるということはお前はアリスストーンに選ばれし者だと言うこと……
 この書物には太古の呪文”ホリジスト”の習得の仕方が書かれている……だってさ」

「だってさって……あんたまさか読めるの!?」

「うん……なんかよく分からないけど読める……」

「嘘……嘘でしょ! いくらなんでも話が上手すぎるわ まぁとりあえずアスベル先生に一度見せたらどう?」

「言われなくてもそうするつもりだよ」

少し不機嫌そうに 本をカバンにしまう。

「んじゃ学校に戻るわよ」

早苗は再びバックから杖を取り出し 呪文を唱えた。

「ジャラール!」

そう唱えると2人の体が透け始める やがて2人の姿は消えた。

その後すぐ 何者かがひょっこりと顔を出し 2人がいなくなったのを再確認すると大通りに姿を現した。

「ふぅ……なんとか上手くいったみたいね……あとは龍のがんばり次第ね……」



女の人はジャケットのポケットから紫色のカードを取り出し ニコリと笑った。



学校につくと ずっと龍は里奈のことを考えていた。

この魔法を習得すれば 里奈の呪いを解くことができると。

しかし里奈の行方は現在不明 とにかく今はこの術を習得することに専念するしかないと思っていた。

龍と早苗はそのまま アスベル先生の書斎に向かおうとしたとき 早苗は一人の生徒にぶつかった。

「ちょっ痛いじゃない! 何処見て走っているのよ!」

「ご…ごめんなさい で……でも今はそれどころじゃないんです!」

あんたの都合なんてどうでもいいわ と思ったものの

周りを見渡すと 生徒達 ましてや先生たちまで忙しそうにしているのが伺える。

「で……何かあったの?」

龍が優しくその生徒に問いただす。

「実は……闇の精霊がもうすぐ復活するらしいんですよ!」

「えっ!?」

「まっまさかね……闇の精霊なんて古来の話に過ぎないでしょ!?」

「と…とにかく……今は忙しいから」

その生徒は足早に二人の反対方向に向かって走り出した。

龍と早苗は アスベル先生の書斎に急いで向かった。

書斎のドアを開けるとアスベル先生は深刻そうな顔でこちらをチラリと見た。

「龍に早苗ではありませんか……ちょっと今忙しいので また夜に来ていただけませんか?」

「その忙しい理由って 闇の精霊のことですか?」

「おやっ もう生徒に情報が漏れているのか……」

「はい 闇の精霊が復活するとか……」

「お二方は何故里奈がさらわれたがご存知ですか?」

「それと闇の精霊がそもそも関係しているのですか?」

龍が聞くと アスベル先生は姿勢を正して教えてくれた。

本人曰く あくまでも予想だということらしい。

里奈をさらう理由で最もありえるのは 「アリスストーン」が目的。

しかし何故里奈までさらう必要があるのか? そしてアリスストーンの使い道は?ということになるが

それは 里奈の潜在能力とアリスストーン+禁魔法で莫大な力をアリスストーンから抽出することが可能らしい。

そしてその抽出した力を禁魔法者の誰かに与え 闇の精霊を召喚させるということ。

多分 室長はその実験台だったかもしれないと アスベル先生は考えている。

「そんな……もしそうだとしたら一刻も早く里奈を助けないと 室長の二の舞いに……」

「それがね……昨日ある禁魔法者から手紙がきたんだよ」

「だ……誰なの?」

「クリスだケロ」

アスベル先生の肩にいきなり飛びつきケロ助は言った。

実はこの手紙の宛名は「ケロ助」らしい。

「な…なんでケロ助宛に 手紙が届くわけ? クリスと会ったことないはずじゃ」

「まさかあんたまで禁魔法者!?」

「人聞きの悪いこと言わないでほしいケロ 実はクリスと俺は旧友だケロ」

「はぁ!?」

動揺を隠せない2人 じゃあまさかケロ助は……と思い始めた時にアスベル先生が口を開いた。

「本当はケロ助という名前ではなく カイス という列記とした人間だったんだよ」

「人間ですって!? このカエルが?」

「元は人間……今はカエル 一体ケロ助に何があったのですか?」

「ケロ助 いや カイス そろそろこの子達に話すべきなのではありませんか?」

「ふむ……そろそろ話すときかもしれないケロ」

ケロスケは書斎の机に飛び移り あぐらかき 過去のことを話はじめた……。

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