* 第8章  修行開始 *
「みんな時間通りにこれてよろしい 君達には2日間僕の修行に耐えてもらうことになる 覚悟はあるかい?」

「もちろんです」

4人はアスベル先生の問いに同時に答えた。

「まずは 精霊のことについて話そう 君達が今回契約しようとしているのは水の精霊 他にもいろいろな精霊がいるんだ」

アスベル先生は後ろの本棚から一冊の古い本を取り出して机に広げた。

見た感じは何処にでもある本っぽいがかなり価値があり 売値は数十万するそうだ。

「精霊は全部で5種類 炎・水・雷・光・闇 でも光と闇はある条件で出現すると言われているんだ」

「ある条件って何ですか?」

健一は興味を持ったのかいつもより生き生きとした感じで質問した。

「光は炎・水・雷と契約した者に力が与えられる 闇はアリスストーンがこの世に出てきた時点で・・出現するといわれているだよ」

「じゃ・・じゃぁ もうこの世界には闇の精霊が何処かにいるってことなんですか!?」

里奈が驚きを隠せない表情でアスベル先生に言った それもそのはず闇の精霊は他の精霊達と違い破壊を望むからだ。

「この本ではそのように書かれているけど 本当かどうかはわからないんだよ」

「嘘ってこともあるわけよね でももし闇の精霊が既にいたとしたらもう世界は滅んでいると思うわ」

早苗が初めてましなことを言ったと龍は思った。

「でも闇の精霊は特殊で人間と契約をしないと力を発揮できないといわれているんだ」

「ということは契約した時点でこの世界になんならかの影響が出てくるってことか」

健一が手を顎にあてていった。

アスベル先生が次のページを開くとそこにはアリスストーンの絵が描かれていた。

「あっ これってアリスストーン・・。」

里奈と龍は自分のアリスストーンと本のアリスストーンを見比べていった。

「実はアリスストーンと精霊は深い関係があるんだよ」

「それって 精霊達はアリスストーンに導かれるってことですよね?」

健一が自慢げ言った。

「でもそれだけじゃないんだ この話は秘密なんだけど君達にはいずれ必要になると思うから教えておくよ」

「いずれ・・ってどういうことですか?」

龍の問いに答えることもなくアスベル先生は話を続けた。

「アリスストーンを持っているものは世界の危機を救うと言われている そしてその方法は
水・炎・雷の三精霊と契約をすること・・・」

「先生何いってるんです?  第一世界の危機だなんてあるはずないじゃない」

早苗がいつもの調子で言う。

「君達が信じる信じないは別にいいとしてとりあえず話しておきたかったんだ」

アスベル先生はコーヒーを机の上に置き 机の中から杖と魔導書を取り出し立ち上がった。

「話はこのぐらいしてそろそろ修行といきますか」

「はい!」

4人は同時に杖を取り出し構えた。 「まずは初期呪文から教えようと思う この基礎ができないと元も子もないからね」

魔導書をペラペラとめくりながらアスベル先生は言った。

「君達がいまできる呪文はまだ 炎呪文のオルズだけだよね?」

「ええ まだ授業をうけて1ヶ月もたってませんし・・・」

と里奈が言う。しかし一人だけ違っていた・・・。 「僕ほかにもできますよ」

ニコッと笑い健一はアスベル先生に言った。

「健一は他にどんな呪文が唱えられるのかな? 一回見せてご覧」

「はい!」

健一の目はキラキラと輝いていた 早速杖をローブのポケットから出し唱えた。

「ブリズ!」

健一の杖の先から鋭くとがった氷のような物体が複数勢いよく飛び出した。

そしてそれは龍の足元で落ち 砕け散った。

「流石 1年生で優秀といわれているだけある・・もう氷呪文まで習得してるとはね」

アスベル先生は健一の頭をなでなでとした これが彼の褒め方なのだろうか 龍は少し幼稚だなと思っていた

「さて みんなも健一が今やった呪文 ブリズを習得しようと思う それでは杖を構えて」

4人は同時に杖を構えた。

「魔法は魔導書を読むのも大事だが 想像力も大事なんだ」

「そういえば オルズの時もろうそくの炎を思い浮かべろっていってたわよね・・」

「そのとおり 早苗 今回想像してもらうのは 氷だ」

アスベル先生は杖を構えて目を瞑っていた。

「そして 唱える・・・・・オルズ!」

健一同様 複数の氷が飛び出したが一つ一つの大きさと数の多さが圧倒的だった。

「す・・すごい」

思わず龍は意識していないのに言葉がでてしまった。

「さぁ 仕切りなおしにもう一度杖を構えて」

「ブリズ!」

4人は同時に唱えた 龍は氷は氷だがスケート場の氷を思い浮かべていた。

「あれ・・?」

3人は無事に杖から氷が複数飛び出し 辺りに砕け散っていたが龍の杖からは何もでなかった。

「龍・・どうしたんだい? もう一回唱えてみて」

「はい・・」

龍は肩を落としもう一度杖を構えた時 アスベル先生の表情が変わった。

「龍 杖を降ろしなさい 辺りを見渡してみてごらん」



龍は言われたとおりに見渡すと なんと龍の周り一体が凍っていた。

想像していたとおり スケート場みたいな感じになっていた。

「龍すごいね 僕よりもすごいや」

健一は口では龍を褒めたが表情は褒めているような感じではなかった どちらかというと悔しがっている顔だった。

一方里奈は笑顔いっぱいの表情で すごい! すごい! と連呼していたが早苗は はいはい とさげすんでいた。

「今龍が唱えた呪文は ブリズーラと言って中級呪文なんだ もっと修行すればひろく範囲を凍らすこともできる」

それを聞いて 健一はむすっとした表情をした なんでこいつに負けるんだ 毎日毎日魔導書を読んではがんばっているのに

あいつは何もやっていないのに僕をはるか超えている うざいうざすぎる。

健一の心が憎しみでいっぱいなことに龍達は気づいていなかった。

「それじゃあ 今度は防御魔法だね これはのちに魔法学でもやるけどまあいいか」

アスベル先生は今度は違う本を本棚から取り出して ページをぺらぺらめくっていた。

「そういえば君達はどんな種類の魔法が知ってるかい?」

「攻撃呪文 防御呪文 回復呪文 補助呪文ですよね?」

健一がスラスラと答えた まるで本を朗読しているかのような感じだ。

「そのとおり 一応はあってるけど もう一つあるんだよ」

「もう一つってまさか 禁魔法のことかしら」

早苗がとっさに答えた アスベル先生は笑顔で正解といいまた本に目を戻しページをめくった。

「基礎知識はあるかどうかちょっと試しただけなんだけど簡単すぎたかな よし始めようか」

アスベル先生によると 今度は盾を想像しなさいと指示した。 4人は指示通り想像をした。

「想像はしたかい? じゃあ行くよ シルド!」

「シルド!」

唱えたのはいいが 先生も4人も何も起こらなかった 特に変化もなかった。

「先生 これって失敗ですか?」

龍が問いただした。

「じゃあそのまま僕に直進してきてごらん」

アスベル先生のいっているように龍は先生に向かってあるきだした。

「で・・・なんです・・痛っ」

龍は勢いよく何かに当たって倒れた おでこは赤くなっていて涙目だった。

「龍は馬鹿だな こんな呪文の効果も知らないなんてね」

健一が皮肉にいった いつもの顔とは何かが違い龍はすこし恐怖感を覚えた。

「ほんと健一の言っているように あんたは馬鹿ね この呪文は魔法学で聞いたことあるでしょ」

龍は初耳だった なぜならいつも授業という授業を寝ていたからだった。

「龍君 保健室いく?」

里奈だけは龍のことをからかわなかった そんなところに龍は少し違う思いが実っていた。

「あー大丈夫大丈夫 これくらい」

慌てて龍は立ち上がり 大丈夫と言わんばかりに笑った でも実のところはズキンッと額が痛かった。

「そろそろ今日は終わりにしようか 明日の早朝にここにくること」

「はい!」

4人は一緒に書斎のドアを開いてそれぞれの寮に戻っていった。

「それにしても龍はすごい・・・一体彼は・・・」

アスベル先生は考えながらまた飲みかけのぬるくなったコーヒーを再び口に含んだ。
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