* 第4章  アルケノス魔法学校 *
バスの中はまるで電車のようで広々としている。 多分100人は乗れるぐらいの広さだ。

二人はちょうど四人部屋の小部屋をみつけてそこに座った。

座る時にむにゅ という音がしたが龍は気にしなかった(どうやらケロ助を踏み潰してしまっているようだ)

「龍君が魔法使い目指していたなんて 本当にビックリだったよ。」

「俺こそ まさか里奈が・・・。」

龍は今までのことをすべて里奈に話した。 そして里奈もどうして魔法使いになろうとしたのかを話し始めた。

「私が魔法使いになろうとしたわけは ただひとつなの それはお母さんを楽にさせてあげること。」

「そういえば里奈の母親は体調が良くないってよく聞いたけど そんなに悪いのか?」

「うん だから魔法使いになって お母さんの具合が少しでもよくなる魔薬を作りたいの。」

なんか龍の成り行きで魔法使いになる という理由とは違い 里奈の理由はちゃんとしっかりしている。

俺なんかがこんな理由で魔法使いを目指しているとか言ったら それこそ里奈に失礼だ と思った。

ちょうどそのときだった。 バスの入り口から 騒がしい音がした なんだか人がこけた音っぽい。

そして足音がこちらにだんだん近づいてくるのがわかる。

「うわぁ〜どこも席空いてないじゃない!! どうなってるのよ!」

「そんなの僕に聞かれても・・・」

「あんたが忘れ物した っていうから待ってあげてたのに 何なの!? その口の聞きかたは!!」

「はいはい ごめんなさい 僕が悪いございました。」

「わかればいいのよ わかれば」

「えっと ここあいてるんですけど・・よかったらどうぞ。」

そう言ったのは里奈である。

「え? 本当にいいの?」

といっている間にずうずうしく既に里奈の横に座っていた。

「あ・・あたしは 宮内早苗 よろしくね! でそっちにいるのが同級生の 加藤健一」

「そっちって まぁいいけど とりあえずお二人さんよろしく。」

「俺は 早川龍 よ・・よろしく。」

「私は 沢田里奈 よろしくね。」

一通り紹介も終わって 龍は家から持ってきた漫画を読もうと思ったときに 早苗が変な雑誌を取り出した。

「ねぇねぇ みんな知ってる? この雑誌」

さぁ? と3人は首をかしげた 早苗は自慢そうに話を続ける。

「えっとね この雑誌は 『週刊 魔法界速報』 っていう名前なの!」

だからそれがなんなんだ と龍は思ったが いや他の二人も思ったはずだが あえて言わなかった。

どうせ言ったら 言ったで怒るのが目に見えて分かるからだ

そんなことも知らずに 早苗はマシンガンのように喋る。

「それで 今週のTOP記事がなんと 禁魔法の話題なのよ!」

「禁魔法?」

龍はなんのことだと言わんばかりに尋ねた。

「えっ!? あんた禁魔法も知らないの!? そんなんで魔法使いになれると思ってるの!?
馬鹿だわぁ〜」

「馬鹿って言うなよ! 二人は禁魔法って知ってるのか?」

「うん」

と二人同時に頭を縦にふる。

「ほんとあんたは駄目駄目だねぇ じゃぁ親切なあたしがあんたに教えてあげるわよ!」

「いや 別にいいけど」

「はぁ!? 何その言い方 もういいわよ 教えてあげないんだからっ!」

「まぁまぁ 早苗そんな興奮しないでね ね?」

里奈が早苗をなだめる 早苗の興奮は冷めないと判断したのか代わりに健一が禁魔法について教えてくれた。

「禁魔法それは字からしてもそうだけど 魔法使いが決して使ってはならない魔法のこと
でも使うといっても誰もその使い方は知らないし 無論禁魔法が今現在あるということもわからない。
言わば謎に包まれてるって感じかな? でも最近の魔法監視官によって少しずつ明らかになってるのは確かだけど・・。」

「へぇ・・そんなのがあるのか なんか奥深いな魔法って」

のんきに感心していると  ようやく興奮が冷めた早苗が雑誌をこちらに見せながら言った。

「最近 魔法界では変なことが起きてるの この記事もそうなんだけど 何者かに殺されたみたいだし
 死体には何故かアスタリスクのマークが刻まれていたとか・・・。」

龍はびびった 母に安心しなさい といわれたのに魔法界がそんなにもおぞましい所なんだということを

そのあとも散々早苗に馬鹿にされ 健一と里奈は魔法界についていろいろなことを教えてくれた。

話題が底をついた時 ちょうどタイミングがいいのかどうが分からないが どうやらアルケノス魔法学校の駅についたみたいだった。

バスの窓をみると 丘の上にそびえ立つ 大きな家らしきものがある。 それが龍達が入学するアルケノス魔法学校だ。

龍達を含む新入生はバスから降りて 先生のあとに着いて行った。

道のりは険しく 大きな石ころがたくさん転がっている ここまできて山登りというのはどうだろうと・・。

30分かけてようやくアルケノス魔法学校の入り口に着いた 生徒はみんな ぜえぜえと息が荒い。

そんなのをお構いなしで 先生は門を魔法で開けて中にはいっていく それを追うかのように生徒も中に入っていった。

最初に案内されたのは 大広間で食事の用意を完備してある部屋だ どうやらここが人間界でいう体育館なのだろうか。

先生の指示で席に座り 好きな物を食べてもよい ということで生徒達はそれぞれ食べ始めた。

「すごい・・こんな料理食べたことないよ・・」

「うん・・この肉本当においしい・・。」

龍と里奈が感心していると 向こうの方がざわざわしている なんだろうと思いそっちの方をみると

そう なんと 黒川 彰 がいたのだ。

1年上なのに何故同期なのか というのが疑問にあがった時に 急にバッグの中からひょっこりケロ助がでてきた。


「何処にいたんだじゃないケロ 龍に踏み潰されるかとおもったケロ」

「なんとこと・・? 踏み潰されるって・・」

「もういいケロ それよりなんだか騒がしいケロ 何かあったかケロ?」

「それが・・・。」

龍は騒がしい方向 つまり 黒川 彰 のいる方向を指差した だがケロ助は動じなかった。

「もう知ってるかもしれないけど 黒川 彰は留年してるんだケロ」

「りゅ・・留年!?」

そう 黒川 彰 は去年ここに新入生として入ってきていたのだ 普通なら 2年生になっているはずなのだが。

去年何かしら問題を起こして 留年になったみたいだ。

でも黒川は魔法がまだ使えない状態だ 多分真面目に受けていなかったのだろう。

「ふぅ・・いっぱい食べたわ 本当においしかったわ」

早苗がポンっとおなかを叩く まるで狸だと龍は思った。

「何じっとみてんのよっ! もしかしてあたしに気があるのっ!?」

「はぁ?」

「あたしあんたみたいな弱い男には興味なんか全然ないんだからね!」

「俺もお前みたいな奴 気にもしないよ」



二人はどんどんエスカレートしていった その騒ぎは黒川 彰の耳にも聞こえていた。

「お前・・俺様を殴った奴だな?」

龍と早苗の後ろに 大きな男の姿があった

「黒川・・彰」

「えっ!? 知り合い!?」

「てめぇ あの時の屈辱 今晴らしてやる!! 覚悟しろ!」

黒川の鋭いパンチが龍の頬にヒットした その衝撃で龍は イスをひっくり返して倒れこんだ。

「龍君大丈夫!?」

里奈が龍の近くに寄る。

「いった〜 何するんだよ!」

「あーまだ気がすまねぇ いっそうのこと殺してやってもいいがな」

さっきの龍と早苗の口論よりも もっと大きな騒ぎになっていた 新入生全員が二人のことをじっと見ていた。

「まぁいい 今日のところはこのくらいにしてやるよ 早川君よぉ〜!」

最後にゴツンと一発 頭を殴られて 黒川は自分の席に戻っていった。

食事の時間はもう既に終わっており 料理はいつのまにか姿を消していた。

龍はちょっとがっかりした もうちょっと食べておけばよかったと・・・。

「食事は終わったけど これから何をするんだろう」

と健一が口を拭きながら言った。

「さぁね? 校長先生の挨拶とか?」

興味なさそうに早苗が言う。

「あ・・・龍君 見て見て!」

里奈が前の方を指さす

今まで何にもなかったところに突如 長細いテーブルが出現し それと同時に先生達と校長先生が姿を現した。

一気に大広間はざわつく。

そして校長先生が生徒達の前に赴いてこう言った。

「ようこそ諸君 アルケノス魔法学校へ」
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