* 第3章  旅立ち *
じめじめした天気 湿度はものすごく 龍は寝たいのに蒸れて寝れない状態だった そんな時に母の声がした。

「龍〜! なんかあんた宛に手紙がきてるわ 下りてきなさい!」

「え?俺宛に?」

龍はむくっと、ベットから起き上がった 自分宛に手紙がくるなんて滅多にない。

内心わくわくしながら階段を下りて1階のリビングに向かった。

「で・・、手紙って誰宛からなの? 新研ゼミとかだったらゴミ箱に捨てておいていいよ」

そういってまた2階に戻ろうとした時 母が重々しい感じで言った。

「アルケノス魔法学校から手紙よ」

「えっ?」

最近 龍は『魔法』というのに敏感だった それはあいつ ケロ助が現れてからというのは言うまでもない。

「アル・・・・魔法学校?」

「アルケノス魔法学校だケロ」

そこに割り入ってきたのは ケロ助 まだ寝起きなのか 右腕の包帯が首にぐるぐる巻きになっている。

「母者とうとうこの日がきてしまったケロね」

ぐるぐる巻きになっていた包帯を外しながら言った。

「ええ・・」

そこで龍は思った 最初ケロ助がしゃべった時に失神するくらいの驚きを見せたのに 今は平然としている。

一体どういうことなんだ?と思った。

「あのさ、母さんはなんでケロ助がしゃべっていることに驚かないの?」

「それは・・・」

母の言葉が濁った それを手助けするかのようにケロ助が付け加えた。

「母者も魔法使いだからケロ」

「えっ!?」

龍は驚きのあまり カチンコチンに固まってしまった 口はあんぐりと開いているままだ。

「母者は魔法使いでは珍しく 魔薬(まぐすり)も作れるケロ」

もう龍の耳には何も聞こえていなかった ただ、ただ 母さんが魔法使いだったことに驚いていた。

「ってことはまさか 父さんも魔法使い・・・とか・・?」

「そうよ・・お父さんも魔法使いよ それも魔法界では結構有名なのよ」

「そうだケロ 早川 健は上級魔法者であり 魔法界財務省のおえらいさんだケロ」

自分のことでもないのに自慢げにケロ助はしゃべった

「そうだったんだ・・・母さんは俺に嘘ついてたんだ・・」

なんだか龍は落ち込んでいるように見えた。

母は何かを決心したかのようにしゃべりだした。

「龍 あなたにすべてのことを話すわ よく聞きなさい」

何を言わずに龍はうなづいた

「早川家一族は全員が魔法使いなの 14歳になるとアルケノス魔法学校にいって魔法を習得して、卒業後は
禁魔法の取締りの役職に就くことになってるの。 だけどお父さんはアルケノス魔法学校にいたときに
ちょっと遊びすぎたみたいで ちょっとレベルの低い財務省の仕事に就いてるって訳。
で修斗はもう学校を卒業して 禁魔法の取締りの役職についたはずなんだけど 最近姿を消していて、
今は消息がわからない状態。 一応魔法警察に消息不明届けというのを出しているんだけど・・・・。」

「父さんも母さんも兄貴も魔法使いで 今は消息がわからなくて・・えーっと・・あー」

龍の思考回路はショート寸前だった もうちょっと国語の授業を聞いておけばとすこしばかり思った。

「簡単にいうと 龍は アルケノス魔法学校に入学するということだケロ」

「あーうん・・え・・え〜〜〜!!!!! でも学校はどうするのさ・・・ねぇ」

「それは大丈夫ケロ 魔法でどうにでもなるケロ」

そんなものなのかなぁと龍は思った だけどいつアルケノス魔法学校に入学するのか。

「いつアルケノス魔法学校にいくことになってるの?」

「あ  し  た  よ」

「あ・・・明日!? そんな急すぎるよ」

「でもあんた別に 学校もよくさぼってるし 急でも困ることないんじゃない?」

龍は言い返すことができなかった 何せいっていることがすべて正しいからだ。

学校は別に楽しくもないし、むしろ魔法という物に触れてみたいとも思っていた。

だけど龍にはすこし困ることがあった 里奈にどう説明したらいいのか

お別れの言葉とかどうしようか と・・・・。

そんなことをずっと悩んでいた挙句 既に日付は変わっていた。

「龍〜! 仕度はできたの? 早くしないとおくれちゃうわよ!」

「んぁ〜・・?」

龍はのろのろとパジャマから私服に着替えて 大きなスーツケースをクローゼットから取り出して

中身を確認した。 何故かすでに衣類はすべてそろっていた 夜に母さんが入れてくれたのだろう。

大きなスーツケースを持ちいつもの階段をいつものように下りて いつものように食卓についた。

このいつもは 今日で最後かもしれないと龍は少し思っていた。

昨日の夜に2年すれば帰ってこれるといったけど、本当に帰ってこれるのだろうか?

上手く学校でやっていけるのだろうか? という不安が付きまとっていた。

もしかしたら魔法によって死んでしまうのでは? とそこまで思いつめていた。

今日は龍が一番好きな いちごのジャムパンとミルクティーを出してくれた。

何故かいつもよりかうまく感じられた いつも以上に時間をかけて食べた。

「母さん・・・俺帰ってこれるよね?」

食べ終わった龍はふと母に言った。

「何いってるの・・・必ず帰ってこれるわ そんな危険なところじゃないわ 安心しなさい」

「俺だってついてるケロ」

「ありがとう、ケロ助」

ぴょこっとケロ助は龍の頭の上に乗った。

「じゃぁ 母さんいってくるね・・・」

龍が背を向けた時 母が止めた。

「待ちなさい 龍・・・これを持っていきなさい」

そう言って渡されたのは 『半分割れた青い宝石の首飾り』と『紫色のカード』であった。



「何これ・・?」

「そのうちわかるわ・・そのうち・・」

「そのうちねぇ・・・」

龍は 青い宝石の首飾りをして 紫色のカードはポケットにしまいこみながらいった。

「ほら! そろそろ行かないと遅れちゃうわよ!」

「あ・・うん・・じゃあ 行ってくるね・・母さん・・。」

名残惜しそうに龍は言った。 それを後押しするように 母は龍の背中をポンっと押した。

龍は玄関の扉を開けて 新しい世界へと行こうとしている。

彼は今 希望と光とそして不安でいっぱいだろう・・・。

母は龍が見えなくなるまで見送り 家に帰った。

「この家も寂しくなったわね・・・。あたしも久しぶりに魔法界にいこうかしら・・。」

ニヤニヤと笑いながら ローブに身を包み どこからともなく杖を取り出し 母は姿を消した。

一方 母に見送られた龍は重いスーツケースをずるずると引きずりながら歩いていた。

街中の人はみんな 平然な日々を過ごすのに 自分はこれから魔法使いになろうとしている。

今誰かに 自分は魔法使いになるんです といったら絶対に信じてもらえないだろう。

どうして 自分はこんなことになってしまったんだ と少しばかり後悔もしている龍だった。

すると前方に見たことのある少女が パタパタと走っていた。

あの走り方 あの髪型 どう考えてもお向かいに住んでいる 沢田里奈 だ

ちょうどお別れの挨拶もできると思い 龍は声をかけようとしたが 里奈は急いでいるらしく

どうせとまってもくれないだろうと勝手に解釈して諦めることにした。

それよりも時間が迫っていることに気づいた龍は 走ろうとしたがスーツケースが重くて上手くはしれない

そんな時 ケロ助が呪文を唱えた。

「まかせるケロ 補助呪文 ジャラール」

唱えて少し立つと 龍とケロ助の体が透け始めて 目の前がまぶしくなり目を閉じた。

次に目をあけた時には 目的場所の胡桃駅に着いていた。

「あ・・れ・・? すごいやケロ助 こんな呪文もあるんだ ほんとにドラクエみたい」

「ドラクエ・・?なんだケロ?」

「あっ 気にしないで・・アハハハ」

「これ母者から受け取ったケロ」

ケロ助はここでは売ってそうにもない いかにも高級そうな紙を取り出し龍に渡した。

『胡桃駅の3番ホームに自動販売機があるでしょ 一番右上の端のコカコーラのボタンを5回連続で押して見なさい
ついでにいっておくけどお金は不要よ
そのあと路地裏に出るから それをまっすぐ進んでいくとバス亭があるからそれにのってね
これも お金は不要だから安心しなさい 母より』

「どういうことだ? これって俺をバカにしてるのか?」

「母者の言うことは真実だケロ 早く3番ホームにいってやるケロ」

よくしゃべるカエルだなと思いながらも 足は3番ホームに向かっていた。

すると本当に 母の手紙の通り 自動販売機がぽつんと1つだけ設置してあった。

そして その自動販売機には一人の少女がボタンをしている最中だった。

「あの子も魔法使いなのかなケロ?」

「え・・あのこって何処かで見たような・・」

龍は目があまりよくなくはっきりと見えず 顔がわからなかった。

その女の子は 何故か 5回ボタンをしているようだった しかも右上の端のコカコーラのボタンを・・。

押し終わったと思ったら その女の子は自動販売機に吸い込まれるかのように消えていった。

「え!? あ!? き・・消えた!?」

「そんなことはどうでもいいケロ早く 龍もやるケロ」

「はいはい・・分かりましたよ」

さっきまでは半信半疑だった龍だが 今さっき目の前で女の子が消えた場面を見ていたので

内心怖かった。 もしかしたらこれは 神隠しじゃないのか? とか さっきのは幻覚だったのでは?と。

でも押してみないと分からないのが現状 右上の端のコカコーラのボタンを5回ゆっくりと押してみた。

その瞬間 ボタンを押した手が吸い込まれていく感じがした。

「あ・・あ・・・吸い込まれてい・・」

「遅いケロ すばやくやらないと一般人に怪しがられるケロ」

「で・・でも か・・体が・・あぁ」

よほどケロ助はイライラしたのか 龍の学校に通っている不良 黒川 彰に下した ケロロパンチを龍の 脳天に食らわせた。 龍は一発で気絶した。

そしてスルスルと自動販売機に吸い込まれていくのであった。

次に目を覚ました時は 大きな路地裏だった。

でもなんだか違う感じだった 建物は日本っぽくなく どっちかというと西洋な感じ。

すこし歩くと バス停があるのに気づいた。

母の手紙どおりだった どうやらここはもう魔法界という別世界のようだ。

バス停には結構行列ができており 年齢層が龍と同じくらいに見えた もしかすると並んでいる人は全員

魔法使い1年生なのだろうか と龍は考えていた。

重いスーツケースを持って 行列の最後尾に並んだ。

前に並んでいる少女はなんだかやっぱり見覚えがあった いやどうみてもあの子だった。

「あのー・・ちょっといいですか?」

もしかしたら人違いだといけないと思い 敬語を使ってみた。

その声を聞いて振り向いた少女は 沢田里奈 であった。

「え!? どうして・・!? どうして龍君がここに!?」

「そんなこと言われても こっちもどうして里奈がいるのか知りたいよ」

そんな会話をしているともう迎えのバスが到着していた。

大きさはかなりのもので 普通のバスの3倍はあるようだ これなら電車です といわれてもおかしくない

くらいの大きさだ。

恥ずかしがりながら二人は一緒に行列にまみれながら バスに乗り込んだのであった。

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