易経数え歌

    1 乾為天 乾は創造の躍動 闇の中の最初の光の種。全陽で、最強の卦。龍の形。 乾にすべては始まる

1 潜竜の 目は胎内で 開かれる
  想いを練って 今は眠れよ

 とにかく何もかも力不足で時期早々。
 「早すぎる」ので妊娠占では流産、早産に注意。
 天候占は晴れ。之卦は天風?(こう)なので、風あり、思わぬめぐり合いの意からにわか雨の可能性。
 恋愛占でも情欲に流されがち。
 病占でも病状の進行が懸念されます。

2 小龍は 次にはにあり 大物と
  成るか 会うかは 徳しだい
3 三種の想い 竜は捨て 終日乾々 咎(とが)はなし 《注》
4 四苦八苦 まだまだ竜は 飛ぶけいこ
  分をわきまえ 天をにらめよ  《注》
5 飛竜 王の位 舞い踊り 天下の天子に あいまみゆ
6 亢竜悔いて、降りるのみ すべて 歩みは この通り

  用九の群竜 かしら なく
  その暴流こそ 竜という

 (↑ 用九とは、六爻すべてが変爻の陽。私もまだ出した事はありません。ナチス政権下のドイツで占ったら、こんな卦が出たかも。滅多に出ないので、大吉とする場合が多いです。1/279936ですか。
 暴流(ぼる)とは、仏教用語で、無意識の巨大な奔流です。これは意識の制御を失った大変おそろしい卦ですが、何か奇跡のような成功をする時、会社やチームが一丸となって燃え上がっている事が多いですね。吉凶は不明です。「角度を変えて」占ってみましょう。(←『当たり方・ハズレ方』をご参照ください。)もしこの卦が出たら、メールをください。判断に努力します。)


    2 
坤為地 坤は大地 すべてを産み 全てを呑み込む この世とあの世との通用門

1 こん の初は 気付かず静かに 降りる霜
  氷河のきざし  冬に備えよ
2 六二むに こん  学ばず 習わず 伸び 栄ゆ 《注》
3 三文さんもん 文士を よそお って  《注》
4 至坤しこん  いよいよ 愚をまとえ  《注》
5 坤五こんご  けだかく 世のかなめ
6 坤苦こんく  極まり 竜となり 陰の道さえ 喰いつくす

  用六 あまりに無為なれば
  すなわち竜の 姿なり

(↑ 六爻すべて変爻で陰。これも、見た事がない。滅多に出ないので、大吉とする場合が多い。前の卦、乾為天の用六をご参照ください。同じ占断です。)



    3 水雷ちゅん  屯は雪下に萌えるなり (四難卦をご参照ください。)

1 ひとつ 芽を出す 雪割り草 いづれ必ず 大木に
2 ふたば振り切る 足の雪 永きのちにぞ 九五に嫁(か)す
3 三(み)つけた鹿を森の中 雪に迷って 玉手箱 
《注》
4 よっつ よろしく王と組み 下の助けと 雪を割る
5 ごそり 顔出す 雪の原 少しく伸びて やり過ごす
6 六(む)りしてちゅんと 伸びるなら 凍てつくほおに 血の涙


    4 山水もう  なら学ぶ 内の刃を止める

1 初学では まず厳格スパルタ にして  様子ようす見て
  のちに適(かな)いし 教えほどこす
2  を迎え 男が仕切る 蒙多し
  されば子供も 家を支える 
《注》
3 富やほまれや不条理で 再三 夫を 替える蒙
4 四に並びなき 愚か者 恥に泣いても 咎(とが)はなし
5 学びの五(後) 末は博士か 名君か
6 智慧あらば 討つより護れ 蒙のすえ


    5 水天需 需は狙って待つ

1 最初には 普段のままで 淡と待つ
2 次にはそばで 準備して 非難されても あえて待つ
3 三途川 待てず飛び込む どざえもん
  向こう岸まで 気は抜けぬ。 
《注》
4 四を見て待つと 血の池ぬける
 論理的、物理的に考えて、「絶対にこの状況から抜け出せない」と思われる事が、人生のうちにはしばしばあります。ところが、善きにつけ悪しきにつけ、仏陀の言う通り、『この世界に永遠なるものは存在しない。』この状況にも、波があります。苦しいのに耐え、波を越えたら、一つの危機をやり過ごす事が出来ます。この卦のこの爻は、そんな時に出ます。
5 五ろり寝て 酒と肴で を待つ
6 終(つい)には待てず 向こうから 来たる悪にぞ 誠心に
 (原典に「まねかざるの客 三人くる。」実際の人か、状況か、それに対し誠意を持って対応すれば、ついに咎なし。債権者会議の爻です。)


    6 天水訟 訟は争って傷つく

1 初六の訟は 少々で しつこくなければ ついに吉
2 次には上に 噛みつくも 訟々恥じ入り 咎はなし
 (↑忘年会で社長のナベ蹴ってひっくり返し、その上どなりつけ、翌日あやまって許してもらった奴がいましたが、これはまさにそれです。)
3 訟を隠して 三度笠 危うけれども 平の道
4 長(おさ)の下 されど訟あり さからいて
  戻りつつしむ 平常の道
5 首長しゅちょう の五(語) 訟は英断 名采配(吉)
6 訟も昂じて 好訴症 家も畑も売り払い
  それでも吠える 犬のよう


    7 地水師 師は戦時下の道

1 下々の 軍律こそが 衆まもる
  いくさをするは 民なればなり
2 不敗の師 戦功栄誉 限りなし
3 みなごろし 我も味方も ふるさとも
4 温順で 四角い盤上 動きなし
5 師の王は まず言の葉(ことのは)で 敵を討ち
  長子(二爻の陽、実務担当者。)に いくさ 一任し
  他の将の言 防ぐなら みごと勝利し 咎もなし
6 いくさ終わって 賞罰は 功績よりも 人物に


    8 水地比 比は親しむ しみ潤す

1 比のはじめ まことゆかしき シンデレラ
2 二人とも 比し応ずこと 心より
3  わたせど 見渡す限り 仲間なし
  孤高をたもて 染まり比すより
4  い人は すぐ上にいる 比するべし
  下からから む 悪は切るべし
5 おさの 親しみそれは 個より公
  去るも追わぬが 衆つどうべし
6 無比の位に そりかえり 挨拶あいさつ しょうにも 顔がない


    9 風天小畜 小さく蓄え 事ならず

1 一歩出て 少し蓄え 引き返す
  本来あるべき 場所へ正しく
2 二つ歩いて 苦情を聞いて 少しとど まり 吉を得る
3 三歩進めど 止められて 人のせいだと 怒る畜生
4 四つようやく なん 廃し 上と合わせて ちく 進み行き
5 剛(五)の部下とも 助け合い 宝やまわけ 大成功
6 ムリせずに こと終えたなら 一休み 小蓄進めば 悔いがあるべし


    10 天沢履 履はに笑み 尾を踏めど噛まれず。精神的な危機の事もある。

1 最初には 平常どおり 踏みおおす(咎なし)
2 その次に 淡々と踏み 咎(とが)はなし
3 三度目に なめて踏みつけ 本気で噛まる
4 四九(よく)恐れ 慎重に踏み 踏みおおす
5 王様は 信念で踏み 危うけれ
6 六つかしき 踏み方 学び 穴を出る


    11 地天泰 泰は高いレベルでの安定 変化なし

1 泰平道 一族とともに 引き抜かる
  これから始まる 広大な道
2 の 二つ意にせぬ この想い
  天にもとどく 泰の本道(大吉)
3 三度の飯も 満ち足りて 泰 傾くも 憂慮なし
4 四(し)ずむ時 泰に集まる こころざし
  富に惹かれぬ 再生への意志
5 皇帝は その全権を 宰相に
  光り輝く 泰の王道(大吉)
6 泰平は 乱にはおよそ 耐えられぬ
  無理せず今は 攻めず守れよ


    12 天地否 否は八方ふさがり 打つ手なき時の処遇 闇市の社員の心得

1 否のはじめ 恥のあるのが まだ救い
2 否のひじり 二言目には 「善し」と言う
  言える徳なきゃ 彼に従え
3 三悪趣 恥で守って 切り抜ける
4 否の夜明け 暁光(ぎょうこう)みえて みな光る
 暁光( 夜明けの光 )と僥倖( 偶然のしあわせ )をかける。読みはともに、「 ぎょうこう 」。原典では「 幸運があれば、成功する 」と言う。しかし「幸運があって、成功する。」と占断する人は多い。
5 否の闇に 午後のひざしで 備えあれ
6 夜明け前 暗さを知って 否は終わる


    13 天火同人 同人どうじん とは自分と同じ人、友の事。 内の炎に 天は感応する

1 初めから 火を持てる者 わずかなり
  門よりいでて 友を探せよ
2 次には 小さく同人し これではおうち と 同じこと
  世界は多彩 広く交われ
3 三年狙えど 隙はなし 彼 同人(動じぬ)は 我のさいわい
4 よく求め 垣根こえたが 引き返す
  その道義心こそ 真の友なり
5 同人を はばむ邪魔者 熱で消し
  号泣するも のち笑い合う

6 同人の きわみはひとり その声は 露の光に 風の香りに 
《注》


    14 火天大有 大有は 大地をあまねく照らす (大いなる所有<本田済先生)

1 持ち始め ひとり ひたすら 悩み 成る
2 大型車 まこと有望 頼もしく
  二つの宝 積みてはせ行く
3 下積みが 登りつめたる 舞台(大)有り
  おてんとさまに いざやまみえん
4 君の下 剛を慎む 大有は
  智弁におごらず いや栄えゆく
5 名君 明智で輝きて 飾らぬ大有 世のひかり
6 ついに天 味方について 大有は
  ここにめでたく 吉の上なり


    15 地山謙 山の高きをもって 地の低きに下る これが礼節の始めである
 謙は、『均衡化きんこうか 作用』 えらい人がエラそうにしていたら、本当におかしく成ってしまいます。

1 最下位の 賢者 いよいよ へりくだり
2 徳ふたつ 明と謙とが 並びおる
  卑屈に遠い 真の謙とは (吉)
3 見事なる 功と労とを 誇らずに
  謙なる態度 高きほまれよ
4 へりくだる 上四は部下の おかげなり
  ゆめ謙遜を 忘る事なし
5 王の で へりくだる事 謙の道
  天下のすべてを 従えてゆく
6 ついに謙 仰ぎ見られる ほど高く
  戦い自分は 取り戻し得る


    16 雷地  準備万端 青信号 豫は喜びのよ アクシデントにのみ注意

1 一寸ちょっと 愛され 有頂天 それでは後が 続かぬよ
2 喜びは 二の次 本業 さわりなし
3 陶然と 蜜(三つ)におぼ れて 夢の中
  いそぎ目覚めよ よろこびがある
4 豫のかなめ 四周を和悦し 友つどう
  こころ開けば 更に得るなり
5 五ちそうに 病んで 苦しむ 豫の主賓
6 悲しみに 近きところ そは 豫(たの)しみの 過ぎたるところ


    17 沢雷随 人に、時勢に、周囲にしたが い、今は様子ながめの時

1 今までと 変わる事あり 随所(初)にて
  門よりいでて 広く交われ
2 二従(重)の望み 二兎は得ず
  卑近を捨てて 本命に
3 利を取って 情うしなうか その逆か
  参考(三爻)はなく 心に随う
4 おそるべし 上四をしのぐ 随などは
  誠意しめして 事なきを得よ
5 随の王 そは忠の道 義のこころ よき県令と 光り輝く
6 随の上 もはや主客は 論じ得ぬ


    18 山風  蠱は前任者の置きみやげ 皿の上にわいた虫 腐敗・壊乱を修復する道

1 父の蠱(子)は 早期発見 さいわいに 力不足も これ慎重で
2 母の蠱(子)は 教えさと しも穏便に 道義どうぎ 説くにも 声やわらかく
3 さん ざんに 蠱(子)を責むるのは 治すため
  厳しすぎるも またやむなき
4  わきにすぎる 修復者 何も出来ずに くされ行く
5  くろうに 先祖の偉業 立て直し
  皿に任せる 者もあるべし
6  の皿を 離れ上から 超然と ただ見渡せよ 食らう事なく


    19 地沢りん  流行作家の成功 上から下、大勢への態度 変わり目 機に臨み変に応ずるべし

1 のぞむ草月 一つ 腕につむ
  あなたの胸に どうか このまま
2 二つなき 命もかけた 考えを 日輪おてんとさま の 燃料にする 
《注》
3 三つ で釣っても 魚は釣れぬ 臨(凛)と恥じれば 咎はなし
4 四(よ)のなかの 実務をすべる 立場から
  いま現実に 臨み交わる(吉)
5 王あって ついに世界に臨む時 賢者をもち い 彼に任せる
  そは関心が 同じ事ゆえ(大吉)
6 立てば這え 子に臨(望)まるる 老教師


    20 風地観 頭を冷やせ 禅寺に行くよろし 観る道

1 初めて開く目 狭く る 浅き皮肉も 仕方なし
  若いだけなら さぞめでたかろ
2 二重まぶたで ぱちくりと おんも観るにも しおらしい
  娘なら吉 他は凶なり
3 三世を観 何を迷うか これからを
  知っているのに なぜ占った
 《注》
4 四(し)る いま理想の 体系を
  不徳わが身も 観て馳せ参ず
5 安寧の 五は魂が 心配か
  おのが周囲を 姿見に観よ
6 ついになれ  観られる立場 気をつけよ
  平素の言動 立ち居振舞い


    21 火雷ぜいごう 障害をかみ砕き 打ち破って進め
と書きます。

1 ぜいごうの 最初のつまづき のち の吉
2 二くき奴 いた って強し 強情で
  奥歯でかんでも ちょうど良いほど
3  ごと まるごと 肉を み 歯を欠き 痛いが かまうものか
4 四ぬほど硬い 肉の中 金の矢じりを 噛み当てる
5 五つごつ硬い 肉の中 黄金の山 掘り当てる
6 最後に こちらが かみ切らる 人の言う事 聞かぬバツ


    22 山火  賁は夕暮れの、黄金色こがねいろ 。装飾の奇跡。学問、芸術の爆発

1 賁のはじめ それはかざ らぬ 美しさ
  車から降り 歩むごとくに 
《注》
2  りあおげ 親方の指導 美術工
3 燦然さんぜん たる またた きの中の きらめきに 固執するなく 賁の道を行け
4 飾りなき  ろき馬   本来の
  妻をめとりに かせ を越え行く
5 五色ごしき の賁 それは身近な 田や畑 美しきかな 麦や稲穂は
6 最上の 賁は いかほどに 絢爛けんらん
  珠(たま)も黄金も ただ白 一色に


    23 山地はく  剥奪 中身からっぽ 剥ぎ取らる
 初爻の足元からどんどん剥ぎ取られて、六爻は象徴的です。しかし、易経が何故、『貞』やく 女性原理 の喪失を『剥』であると断じたかと言うのは、これは見落としていましたが、かなり大きな問題かも知れません。 

1 人倫の足元 それは『貞』の徳
  これ 剥すれば すべて 倒れん

2 次の剥 蔑視べっし が 進むのみ

3 三な 剥に なじみ落ち行く その時に
  はなれ難から 遠ざかるべし

4 何もかも 剥がれ取られて いよいよに
  四つ ひりひり 皮膚かわ剥(は)ぐべし

5 剥の王 小人(しょうにん)引き連れ 善に行く

6 てっぺんに 一つ残った 大きな実
  甘ければ吉 渋ければ凶

 (これではナゾの詩ですね。陰の極み、荒廃しきった世の中の、王の立場と言う意味です。人物しだいで大吉から大凶まで幅があり、このような立場の占者は、ヤル気が何より大切なので、自主性を奮起させるため、原典はあえて吉凶なしの占断としたのでしょう。
 さらに具体的な参考を易から得ようとする場合は、その人物について再度占ってください。)


    24 地雷復 帰り道 春の生命いのち  何もかも元通り 七日で帰る

1 ひとつ なじんだ 知りたくて
  もとの世界に おかえり おかえり
2 帰り道 ふたりたのしく なれた道
  見失うほど 行かずによかった 
《注》
3 再三  きて またかえ る ひと不在にして 利も害もなし
4 よくぞ帰った 群盲の 内より一人 ただ信念で
5 復の王 そは初心へと 帰る道 高い位で 中庸を踏む 《注》
6 無(六)に帰する 破滅への道 ひた歩む
  帰路 見つからぬのは 思い込みなり


    25 天雷无妄むぼう  天が雷で地を打つのは、何の作為さくい も意図もない。无妄は天地自然の大いなる運行

1 一抹いちまつ の 作為さくい も野心も なきゆえに
  おこなう事は みな かなうべし
2 不思議にも まかず刈らずに 得た者は
  狙った訳でも 望んだ訳でも
3 三(み)るべきを 怠る者は ただ無謀
  牛泥棒の 罪きせられるべし
4 よく貞の 道まもる事これ 无妄の美
5 五(い)つの間にかに かかりしやまい 薬なくして また治る
  无妄の道に 病も苦もなし (不調なら、病院に行ってくださいね。)
6 天のきわみで 先行く無謀 無計画にも ほどがある
  作為なきよう 作為する愚か


    26 山天大蓄 巨大な力を内に蓄えて、爆発の時期を待つ

1 最初には まだまだたくわ え 足らぬもの
  危うき事のみ 多くあるべし(ゆけば凶)
2 大願も 二の次にして 今はただ
  大きく蓄え 時を待つべし
3 ちく進む 意欲と準備と 慎重と
  三点(山天)そろえ 行けば吉なり
4 世の才と 自他 傷つける 慢心は 常にとともにあるものか
  しばしとどまり 大いに蓄せよ(吉)
5 大蓄の 五(後)はその牙を なだむのみ
  才 豊かなら 噛みはせぬはず(吉)
6 大いなる 蓄え とどむ ものもなく 
  天にとどいて 天を支える(大吉)


    27 山雷頤 おとがい あご 頤(い)は口の形 話せばわかる 口は災いのもと 食べて行く道だから就職に吉

1 貧なりと 言えど我が才 我が心
  口さびしさに ひとつ手離す( 凶 )
2 二つある 上と下との 食いぶちの
  上は応ぜず 下にいられず
3 惨憺(さんたん)たる 駄犬を飼えば アゴ強く
  ゴミはあさるは 子供は噛むは
4 世に追われ 丈夫 家族を食わすため
  土下座をしつつ 上に命ずる
5 社長さん 社員を食わせてゆけぬなら
  会長に任せ 今は退け
6 ご隠居が おもてに立つは 危ういが
  口は元気で 自由闊達


    28 沢風大過 背負った重荷(<黄小娥先生) 一歩しりぞいて荷を下ろせ

1 大過の初 ていねいの上に 細心を
  咎(とが)の付け入る スキなかるべし
2 老大家 若き息吹に ふたば萌ゆ
3 見た目には 太くたくまし 中央部
  その土台ごと 三(見)事 こなごな
4 重き荷を 強き柱で よく支え
  情の助けも 恥とするほど
5 老いての五 恋の歌でも 書き大過
  ただ美しく 吉も禍もなし 
《注》
6 ロクにリキ なけれど 大火を 消すと言う
  特攻隊を 誰かとがめん


    29 坎為水 かん は悩み 艱難の底 最低の時 穴の中。その替わり心的エネルギーは内側に充実し、発想や思索が産まれる。 (四難卦をご参照ください。)

1 坎難(艱難かんなん )の さらに最下位 底の底
2 坎難に 剛と中とで 望むなら
  冬のさなかに 少し得るべし
3 漕(こ)ぎ出せば まえにもあとにも 凍る渦
  三(身)動き取るな 危難さるまで
4-1 坎の世(四)は 神祭るにも ささやかに
  真心こめて ついに咎なし
4-2 坎の世(四)を すべる悪王 さと すには
  私室の窓より 花に託して 
《注》
5 穴のふち まだあふれ得ぬ 迷い水
  出口は近し 五(いつ)に抜け出せ
6 六力(無力)にて 坎のきわみに おるならば
  手も足も出ず 道もうしなう


   30 離為火 離は明 明知 文才 現れる 喧騒 別離 火は何かに付いて燃える。人も何かについてしか、考えられない。外に発散している時には、心的エネルギーは内側には空っぽになっている。

1 日(火)のはじめ 物は見えぬが 気ははやる
  飛び出す前に まず行く先を
2 二見浦 闇を払いて 地を照らす (大吉)
3 三時には 日の傾くは 常の事
  挽歌つぶやき 飲んで想えよ
4 世から火が 消えなばすぐに 地位狙う
  姦臣たちまち ほふられるべし
5 離の王は 上と下との 管理職
  つらき憂(うれ)いが 身を守るべし(吉)
6 離のきわみ 明と剛とを 兼ね備え
  遠征しても 手柄あるべし

   以上、上巻でした。03'09/03


    31 沢山かん  新婚のよろこび(>黄 小娥 先生) これ以外の表現を、放棄します。「お手上げ」です。

1 寒暑(咸初)まず 足の指先 むずむずと
  新しい季節 来るを感じる 
《注》
2 足と胸との 二心(ふたごころ) 咸の文字には 心なし
  とどまれば平 行けば凶なり
3 口先スズメと 盲動犬の あとを無思慮に ついて行く
  見る人も恥じ 想い閑散
4 上に媚び 下に劣情 ふらふらと
  感じるままは 弛緩(しかん)に過ぎる
5 五(いつ)みても 仏頂面ぶっちょうづら の 無感動
  咎もなければ 志(こころざし)もなし
6 六(む)くつけき 男が声も 高らかに
  敏と感じる ままに ことほぐ


    32 雷風恒 日常性 夫婦の道 恒(つね)の道 忙しい回転の中の安定

1 最初から 夫婦になろうと言われても
  あなたは誰あれ? 私、知らない。
2 かみなりと 風も お前と このおれ
  恒に動けど 二人 夫婦だ
3 恒の道 三日で きる バカ夫婦
  いったい君らは 何が望みか
4 よきに見え 忍従努力にんじゅうどりょく も 恒なるが
  心なかれば 得るもなきなり
5 いつでもあなたの 言う通り それが私の恒の道
  ここまでくれば 自由律どどいつ
6 今われ 激しく回転する独楽コマ の その軸の上に立っている
  一瞬の後には すべて砕かれん 
《注》


    33 天山とn  夜逃げの道 逃げるが勝ち

1 最低の 夜逃げは実に 逃げ遅れ
  静かにしていて 事なきを得る
2 二人とも 善こそわが主 この世界
  遯(とん)と意を得ぬ もはや 野に去る
3 夜逃げには 社員・妻子が 心配だ
  バイト・愛人 三(み)つくろうべし
4 惜しまれど 今が去るべき 時ならば
  四(よ)き引き際を 得たりとぞ思う
5 定年後 なすべき事を 果たし終え
  五(いつ)に正しき 暮らし始まる
6 最上の 六位(無為)の 自然じねん の 美に遯す


    34 雷天大壮 盛運期の注意事項 たけり狂う雷 自分の心のじゃじゃ馬ならし

1 たいそうな 理念に燃えて 進み行き
  一人苦しむなら まだ良いのだが
2 (二)普通なら 調子に乗って 先走る
  ところ とどまる 壮士なりけり
3 最壮期 君子は破れを 整えて   馬鹿はそのまま 壁に突っ込む 
《注》
4 よんどころ なき 壁さえも 打ち破り
  進み行けるは 冷静の壮
5 (五)いつにしか 壮も盛りを 過ぎたれば
  咎もなければ 得るもなきなり
6 強弩の末勢 薄絹の から み付きおる 大壮に
  悩み処すなら 悔いは無と成る(吉)


    35 火地しん  日の出の勢い 破竹の快進撃

1 晋と伸び ひとつ殴られ 地にかえる
  まだ悠々と すごすべき時
2 次を見て 晋(すす)み行けども 闇の中
  アマテラス見て 助けささえる
3 身(三)を越えて 出すぎた晋は 民草の
  ために腐心す ために 輝く(吉)
4 よく肥えた ねずみの職業 食べる事
  貪欲と怯懦で 破綻へ晋(すす)む
5 損得は 今も昔も (五)いつまでも
  案ずるなかれ 晋(すす)むなら吉
6 てっぺんに まで晋み行き ハエを打つ
  転ばぬけれど ちょっと恥ずかし


    36 地火明夷みんい  日没 明るさを夷(やぶ)る 太陽が地の下にある暗君の時代

1 暮れて道 けわしき夜の 始まりぬ
  闇 暗くとも 染まる要なし
2 歩けない 助けてくれたら 逃げられる
  二(荷)車を呼べ! 明夷から去る
3 明君が 暗帝を討つは 民意(明夷)だが
  帝(三かど)狩るには 急ぐべからず (成功して吉。慎重にね。)
4 暴虐な 明夷の牙を 避けるには
  四(よ)くふところに 忍び込むべし
5 太陽は 暗く夷(やぶ)れて 地に潜む
  後もしばしも 燃えざるはなし(末吉)
6 暗君が 栄えおれたは 闇のせい
  ついに夜は明け 悪は地に落つ


    37 風火家人 家の中 家を守る 家の中の火を守る ひきこもり
 「あなたを待つてゐる火のよう燃える」と山頭火が詠んだのは、まさに風火家人の火。黄 小娥先生は一言で『火を守る女』と。

1 家族にも 初めが肝心 身を律し
  適度に厳しく また暖かく
2 二コニコ 母さん 家のぬし 産み育てては 憩わせる
  女性原理の模範生 立場によって 吉凶わかつ
3 見事に家を 治むには 厳しすぎても ちょうど良い
  妻子のたえず さざめくは ついに笑えぬ事となる
4 四(よ)く家を 富ませる法は 他になし
  今日のこの日を 地味に働く(大吉)
5 王様は 王女の家に 至りつき
  愛し愛され すべてまとまる
6 家の長(おさ) 家族に与える 両の根(こん)
  慈愛は熱意と底力 威厳は誇りと向上心
  げに家族とは おのが姿よ(吉) 
《注》


    38 火沢けい 火と沢(水)異なったもの同士の調和 けいは「そむく」。何もかも食い違う時期 小さな反目があるので小事に吉 大事は不可
と書きます。

1 一(意)に そむき 去りし望みは 向こうから
  反目ケイ の時には 悪人にさえ会う(吉)
2 そむく中 君臣二人 会いがたく(火沢)
  探し求めて 路地裏で遭う(吉)
3 三(み)動きも 取れぬおかげで 疑われ
  刑(けい)を受けても 後に報わる(吉)
4 世にそむき とり残されて 敵と組む
  危うけれども 警(けい)戒して無事
5 けいの王 力なけれど 親族の
  応援ありて 楽に蹴散らす
6 ばけものと おぼしき者を よく見れば
  強き味方ぞ 雨の降り けいは終わらん 
《注》


    39 水山けん  「蹇を見てとどまるは知なり」と言うほど悪い卦。周囲も最悪なら、こちらも最悪やる気なし。真冬のセミ。四難卦をご参照ください。

1 最初から 進めるような 時でなし
  来るよろこびを 待ち迎えけん(蹇)
2 侍者じしゃ の身で 大事な方の 険(蹇)難を
  お救いするに 吉凶はなし
3 蹇を越え 進み行く先 甲斐(かい)はなし
  戻り身内(三うち)と 安んじてあれ
4 世の蹇を 救いたくとも 力なし
  強き仲間の 現われて成る
5 極悪の 蹇の時にも 正しくて
  意気 忘れなば 助け群れ来る
6 蹇の先 危うけれども 足もとの
  貴人に会いて 手柄さえある


    40 雷水解 待ちに待った雪解けの時 問題を解く道 反対に解散・解雇などの暗示もある。

1 つらい事 解け初めたら 腰が抜け
  友も師もあり また歩き始める
2 両の手に 金の矢を得て 悪を解く
  狙いは上下と 君の上とに 
《注》
3 身に余る 位について 解け滅ぶ(凶)
4 剛直で 卑しからずも 気が弱い
  悪しき友との (四)しがらみを解け
5 王様の 身分で解くは 悪しきもの
  おのがそばから 遠ざかったか
6 猛禽の 矢のごとく飛び 迫るもの
  高きに射止めて 解は終わりぬ


    41 山沢損 自己を損じて他に与える時 公の道 損して元取れ

1 義において 我がこと損じ 走り行く
  助けもいちいち(一々) 思慮めぐらして
2 大切な ものを守りて 損なわず
  二人には 与えぬ事が ために成る時
3 三人の 烏合で行けば 友損ず
  求める時には 単独で行け 
《注》
4 世の中で 損ずるべきは 病なり
  はやき手当てが げに喜ばし
5 虚心にて 世界を思う 損の君
  神仏も魔も いつ(五つ)に支える(大吉)
6 損(へら)しすぎ 増やしはじめる 最後には
  戦乱すぎて 国境もなく 《注》


    42 風雷益 公共事業 公の利益を優先する時 動き多く物事よく進む

1 大事業 始まる時ぞ めでたけれ
  力不足も 上から益さる
2 誠意いま 上に通じて こと回る
  神仏も魔も 益に(二)集うぞ (大吉)
3 凶多し これを仕事と 見定めて
  菓子折り持てば ご利益を得る(吉)
4 世に告げて もし中庸を 踏むならば
  益されるべし 遷都さえ成る
5 益せんと 思う心の 王様に
  民草こたえて すべて通らん(大吉)
6 強欲の きわみに立てる 者などに
  益する者なく ゲンコツの雨


    43 沢天かい  孤独の危うさ

1 いさみ足 勝てぬ戦に 甲斐(夬)はなし
  善のためなら 必勝を期せ
2 厳戒に(夬二) 暮れても励み 敵を討つ
  夜襲受けても じき蹴散らすぞ
3 討つ時は 顔には出さず 飄々ひょうひょう
  味方さん(三)ざん 懐(夬)疑するほど
4 進み得ず おられもせぬに 聞きもせず
  立場を解し(夬四) 後に従え
5 暖かく 包むべきをも 斬らんとす
  悔悟(夬五)すべきは わが身なりけり
6 独裁者 怒号のこだま 返り来て
  答える者は 皆無(夬六)なりけり


    44 天風こう めぐりあい(<黄 小娥 先生) 太母に近い強烈な女
と書きます。
  夜空の星々が、私達がこの世でめぐり合う人々だとすれば、一瞬にきらめいて、「あっ」と軽い驚きが口からもれたとたん、消えてしまう流れ星は、それだけに長く忘れられないのです。
 また、メロメロのドラマのように、異常なまでのすれ違いで消えて行く恋にも、この卦が出る事があります。
 要するに、縁がないのですね ……… しかし、『縁がない』とは、どう言う事でしょう? この場合、あなたと同格の異性、あなたの半分ではないと言う意味です。
 他のものを自分の半分と思い込んでいるのは、それは非常に深い、心の孤独によります。だから原典は『嫁とりには凶』としています。
 あなたはその人の事を、自分の過酷な運命、孤独な魂のすべてを償(つぐな)う、唯一の存在と思っているのですが、それは実は、恋人の仕事ではなく、あなた自身の仕事ではないでしょうか? それが出来た時、はじめて自分の半分を捜す旅が始まるのかも知れません。
 エッセイ
『天風こう五爻の謎』をお読みください。

1 やせた豚 こうも激しく 跳ね回る
  育たぬうちに ひとつしばれよ
2 客に出し 後(こう)悔するは この二つ
  腐魚 隠妻は 自身でめしませ
3 進み得ず おられず 親しむ悪もなく
  あまかぜ(天風)こうも 身(三)にしみるのか
4 世を捨てて 世に捨てられて やる気なし
  立てど効(こう)なく 民は踊らず
5 高(こう)貴なる 者は心を 想いから
  護し守らねば 隕(お)つる事あり 《注》
6 肩書きや 外交辞令の お付き合い
  高(こう)位でろく(六)に 情も通わず


    45 沢地萃  人が集まるオアシス 盆 正月 クリスマス 祭りのような非日常性 宗教的なイベント
 人が集まる事による、歓びと問題。 何故か裸身の形だと言う。
 ペルソナを脱ぎ捨てる事から、上記のような解釈が生まれたのかも知れない。

1 藪の中 子猫いばらに はばまれる
  一声なけよ 家族 萃(あつ)まる
2 二つなき 神 その真心で まつるよう
  すい上げられる はきだめのうち
3 何故かしら あつまる時に すれ違う
  サンピンよりも 遠き賢者へ
 《注》
4 寄り来たる 小国の群れと 大国の
  はざまにありて 福を萃(あつ)める(大吉 いまの幸運で、急いで破れを取り繕いましょう。)
5 ひと萃(あつ)め 王となれども 冷淡な
  者には徳を 修め示せよ
6 楽しげな お祭りの時に 泣く孤独
  隠居 意固地を 改めるべし


    46 地風升 一歩ずつのぼり進む道 春の草木 芽が出る意から懐妊を意味する 南征(離の意。学問・芸術・企画等)によし

1 種ひとつ 土と風とで 発芽する
  おひさま高く 高くのぼらん
2 まごころの かみに通じて 吉祥きっしょう
  余慶の二つ でかなうべし
3 平原を  けるがごとく のぼ りゆき
  見(三)渡す限り 妨げるものなし
4 山門に のぼり 覇権を争わず
  世(四)の王 天と こころ通わす
5 王あって 下の賢者と 歩を合わせ
  階梯(きざはし。階段の事。一歩ずつ)升る すべて成し遂ぐ
6 のぼらんと する気持にて 目はくらむ
  高きで思え 足許のこと


    47 沢水困
 困窮 何を言っても信じてもらえない。口、囲いの中に生えた木。伸びようがない。四難卦の一つだが、易経はこれを吉とする。一切をふさがれた時に、どれだけ人生を楽しめるか? それは自分の内面性と親しむための貴重な時期であると。
 困窮の時期にこそ、自分の内側の充実と欠落が、具体的に見えてきます。良い時も悪い時もあっという間に過ぎ去り、人間、すぐに死んでしまいます。いそいで人間に成らなければ、ちゃんと死ねません。これが一番深刻で、笑えない事ではないでしょうか?
 「雨の日に家の中で、あなたは何が出来ますか? 雨の日に身を宿す家を、あなたは持っていますか? なければただの、馬鹿ですよ。」
 「晴れていなければ、あなたは何もやる気が起こらないのですか? からっぽの、証拠ですね。」
 と。易経はシビアです。
 しかし人間、ある程度の幸福感や目的がなければ、やる気も何も起こらないと言うのが本当です。例えば運動でも、体調の悪い時に無理をすると、長い間、回復できない傷を負います。調子の悪い時、やる気が起こらないのは、これを感知する能力だと思います。
 けれども、逆境にびくともせず、物事を成し遂げて行く人たちには、脱帽ですね。誰でもある程度これが出来なければ、生きて行けません。そう成るための、練習の時期です。(四難卦をご参照ください。)

 

1 ひとつ座るも ままならぬ
  目も耳もみな ふさがれて 長い困苦に 投げ入らる
2 饗応と 高い地位とを 両手にし
  困るくらいの 慶びが来る
3 前にがけ 後ろにいばら 家はから
  身(三)の置き所なく 深く困しむ
4 困しめる 下を救うに 邪魔があり
  ようやく遅れて ついに手を取る
5 五体は満身 創痍 せど 笑みてほまれに 困しめり
  人みな感じ発揚し まつりの華は ここにあり
6 つる草に からめとられる 困しみに
  むつかしきを捨て 善に戻れよ


    48 水風井 人うるわせる井戸の道 同じ所の行き戻り。 
《注》

1 井戸の底 泥にまみれた 古井戸は
  捨てられた後 忘れられけん
2 二分にぶ の水 フナしか住まぬ 井戸の底
  繩もつるべも 付ける要なし
3 清き井戸 ただ美しく 隠れおる
  見る者あらば ともに福すに
4 弱き井戸 その内側を 補修する
  休みしのちは 汲めよ尽きぬぞ
5 ごうと湧き ぐうと飲んでも その井戸は
  微動だにせず 世界うるおす
6 無限にも 水をたたえて あまりある
  井戸を少しも 惜しむべからず


    49 沢火革
 革命 変化 変革は、人々に信じてもらえて、はじめて成功する。何故この卦が『革』かと言うと、(沢のたまった)水に、熱を加えるからでしょう。火と水で激しいものです。
 原典では、毛皮を革にする大変な工程、また、秋になって動物が紅葉のように美しく冬へと衣替えする様子にたとえています。変革とは、本来ある姿を掘り起こすもの、状況の変化により、内側から現れるものと言う事でしょうか。
 黄 小娥先生は、「君子豹変」と言う語が、易経原典の言葉である事を紹介し、易がいかに身近で大きなものかを述べるのに、やぶさかではありません。頭が下がります。
 「君子豹変」とは、君子はあざやかにすべてを変革する。と言う意味ではないか? ……… 『エッセイ』の『君子豹変』を、ご参照ください。

1 変革は これから始まる 今は待て
2 大局と 世論見通す 両の目で
  悪の衰え 待ちて革せよ
3 革すべき とき満ちれども あやうけれ
  三度衆議し 固めて進めよ
4 改革を 成功させる 四つとは
  勇気 慎重 人望 信念 (困難ですが、大いに吉です。
5 革の王 大人虎変 あざやかに 占う前に 吉の上なり
6 改革も 終われば特に やる事なし
  君子豹変 小人革面(しょうじんかくめん) 
《注》


    50 火風てい
 ナベの道(なにやら深そう)。鼎とは三本足の器で、煮炊き物をする祭祀用の道具。三者鼎立。なごやかにナベを囲む。三の象意からか、独立、頭領運、冒険、始まりのニュアンスがある。

1 最初には ナベひっくり返して ゴミを出す
  道ならぬ恋 嫡子得て吉
2 ナベ煮んと するに下から 水かける
  フタ(二)し守らん 具とわが身とを
3 ナベの耳(三々) 取れてお料理 食べられず
  美味なるがゆえ 後にすくわる
4 弱き足 重きナベにて へし折らる
  他に任せるか、補佐をつくべし (このままでは凶)
5 ごうごうと 火の風きたり  に迎え
  おナベは 煮えて やすく食べらる(吉)
6 珠のごと 硬く律して 柔和なる
  光はなちて 鼎は煮おわる(大吉)


    51 震為雷 声あって形なし(腰を抜かすが実害はほとんどない。)笑い話になるよ

1 雷が 一つ鳴っても 聖人は
  畏れつつしみ 更に得るなり
2 逃げのびる 激震の中 山奥に
  財失えど じき戻るなり
3 惨状に 腰を抜かして 震い行く
  その畏れこそ 吉に導く
4 ふる いても 良く震い得ず 立ち消ゆる
5 震災後 またの地震の はざまにて
  行けず戻れず 中を踏み吉
6 震え上がって 六に目も 見えず行くなら 無残なり
  隣家の震災 我が事と 受けぬ事こそ 凶の元
  助けを求む 妻よりも 震えおるなら 婚も破か


    52 ごん 為山 止めて、止める。山また山 動かざること山のごとし 分け入つても分け入つても青い山(←山頭火) 孤独の卦 こつこつ一人でする仕事に吉 複数でする事に凶 (四難卦をご参照ください。)

1 ふもとより 山を見上げて 足なえて
  善にやすらぎ 平にとどまる
2 山ふたつ 今は上下の 言いなりに
  とどめ置かれて 実に不愉快
3 山々々 上下左右に つばき して
  みなに憎まれ 泣き狂うべし
4 とど まらぬ 世にかろうじて わが身のみ
  とどめ置き得る 立場なりけり
5 艮の王 天下をとどむ 不才の徒
  言つつましく 筋に沿い吉
6 山の高きの いただきの とどま る事の けだかさよ
  鹿もひばりも 猛禽も 至れぬ高みに そびえ おる


    53 風山ぜん 漸(すす)む 少しずつ、とどまり従いながら進む 女とつぐの卦 いちいち手順を踏み、婚姻へと進む。これは次の『帰妹』と対応しています。『漸』は飛び立って、嫁ぎゆく。それが一人の男へか、崇高な理念へかは知りません。しかしそれはまるで、水鳥が泥沼から、天高く飛翔するようです。原典ではこの様子が美しく表現されています。

1 水鳥の 陸に上がるに 逡巡し
  お叱(しか)り受くは 危うきがため
2 水鳥は 岩に上がりて 楽におる
  両の翼は 次に飛ぶため
3 丘陵に 参じ水鳥 われ忘する
  夫は妻を 妻はわが子を
4 水かきで 木に登るのも 水鳥が
  風に乗るため 良き風を得る (吉)
5 水鳥は 王の玉座へ 進み行き
  不妊の末に ついに産み出す(吉)
6 みなとりの どこまでも高く 無碍に去る
  凡俗その羽 たてまつるのみ 
《注》


    54 雷沢帰妹きまい  「帰(とつ)ぐ」と読ませるのは、女が嫁ぐとは、本来の場所に帰る事だからという。これは前卦の『漸』と対応しています。帰妹は本来の場所におさまりゆく事。それが一人の男のもとへか、崇高な理念へかは、知りません。 妹(少女)の結婚 情のみのつながり 積極的なお嬢さん 遊びの恋と言う意味も………
1 脇に沿い 婢女はしため ひとり 嫁ぎ行く
  分に応じて 運も応ずる
2 不貞なき 妻に夫は 淡白で
  隠者のごと帰 妹(毎)日の善(吉)
3 参じ馳せ 愛を求めて きりきりまい
  頭冷やして 出直して吉
4 よもや君 長く孤閨を 保つとは
  貞淑のもと 幸 舞い(妹)降りる
5 皇帝の いも  家臣へと 嫁ぎ行く
  飾りなけれど 光り輝く
6 婚礼と 書かれし箱を 開け見れば
  無のたたずまい 煙さえ出ず


    55 雷火豊
 衰微する帝国 暗黒の真昼 王座維持、横綱の苦労 豊かな時には何が欠乏するか? 秋、収穫の時 冬に備えて急げ 学問・芸術には実りの大吉
1 下っ端が 豊かな王に 会いに行き
  心合わして 進み行くなり
2 豊かなる 智慧もて愚王に 近づくに
  二つの労苦 心せよ
  嫌疑受く難 蒙ひらく労
3 日中に 星も豊かに 見える時
  得るはなけれど 義に咎はなし
4 暗愚なる 王に仕える大臣は
  よき智慧を持つ 下に聞くべし
5 暗君も 才豊かなる 賢人を
  護し使うなら 明に栄える
6 ろくに字も 読めぬ上様 豊かなる
  お城にこもり 愚をみがきゆく(大凶)

  


    56 火山旅 孤独な旅人 旅の不安 旅の孤独と不安に耐える強さがある 人生を旅にたとえたような卦 また、旅する時のように、よるべない寂しい気持で、どこまでやれるか試される時期。学問・芸術関係には良い日旅立ちの大吉

1 欠乏の 度(旅)にいちいち こまごまと
  ちまちましおり 災いを取る
2 果てしなき 旅路の途中 宿につき
  部下と宝の 二つ手にする
3 旅の中 頼りの宿に 焼け出され
  みぐるみのみに 部下も離れる
4 旅すれば ここはあなたの 故郷と
  良く遇されど 異郷なるかな
5 矢をはずし また旅々と 射つならば
  王に献さる 獲物射止める
6 旅ガラス 仁義忘れて おごるなら
  巣焼かれ 財も 無(六)に帰するなり


    57 巽為風 風はすべてに従い、すべてを従える。 女性原理の山場。コレー(娘) でもヘカテー(母)でもない、デメテル(女) 。 優柔不断 巽も謙とともに「へりくだる」

1 風ひとつ 行きつ戻りつ 卑下に過ぐ
  武人の従順 あるじは信念
2 巽順を ふたつ重ねて へりくだり
  卑屈にならぬ 芯の強さよ
3 巽順を みっつ重ねて 足が出る
4 よく風と 王に従い 功奏す
  狩りて大猟 主も客も 我も満ち足る
5 巽の王 始めなくして 終わりあり(初め悪くても後に吉。)
  庚に後れる事三日、先立つ事三日。吉。
 (ナゾの爻です。自分なりに納得できるように、庚のイメージで今度、解きます。本田先生も立野先生も「改革はていねい・慎重に」と言う解釈。)
6 巽順の きわみは主体 放棄して
  それは従う 事でさえなし(凶)


    58  兌為沢だいたく 兌はよろこ ぶ 兌は少女 咲き誇るランの花のような笑い 飲食、水商売。兌は外にやわらかく、内には強いものを持っている。口先を使う商売。ジャーナリスト  口舌、口難の卦 小事に吉、大事に凶。浅い喜び、成功。中途挫折の暗示がある。黄 小娥先生は、ただの一言、『笑いころげる少女』と。

1 兌の初め 和して喜ぶ 我も
  上下関係 猫にゃわからず
2 兌の強さ 不二のまことの なせるわざ
  ひと喜ばす 道の尊さ(吉)
3 打算(兌三)にて ひと喜ばす 味気なさ
  哀しみだけが 返りくるなり
4 よこしま な よろこ びにひかれ 迷えども
  目を上に向け やまい断ち切る(吉)
5 王様は よろこ ばす者に 囲まれて
  気付きし時には 裸のバカ様(凶)
6 兌は本来 高く支配す ガラでなし
  王と補佐とを 引きて喜ぶ 
《注》


    59 風水かん  渙は散らす 氷河割れて船、港を出る形(上は巽木、下は水で船の意。渙の字義は氷が溶けて割れる事。)小から大へ 散乱・離散・まとまりがないなどの意味もあり、その場合神仏を祭る、渡航するなどが勧められている。が、基本的に相当良い卦。王は廟(聖所・執政所)におさまりおる

1 散りはじめ 走り救うに すぐ上の
  強き馬にて 統(す)べまとめけん
2  げ散りぬ 時に降り立つ 安息所
  得て静かなり 何もかも善し
3 身を散らす こころざし のため 人のため
  効きめなくとも 後悔もなし
4 私を散らし 公に集いて 丘陵きゅうりょう
  ひかり輝く 大いなる道
5 王の言 汗のごとくに ほとばしる
  少貨散らして 大利得るなり
6 無残なる 気を吹き散らし カヤの外


    60 水沢節 すこやかに 伸びゆくものよ 竹の節 ……… 節度・節制・節約 みな自己を律して一歩づつの意。計画性が重視される時。節制の卦は、過度の節制を注意する。と言うのも節制(計画)は伸ばすためのもので、殺すためではないから。節はよろこび(兌)のために、止める(坎)もの。( 例 「あしたは忘年会だから、今日は五合くらいにしておこう。」など。)←こう言う奴が、節の卦を引きますように。黄 小娥先生のバイトさんは、あの時代にこの卦をローンと関連づけて考えておられるっ。すごいですねえ。

1 中庭で こねこ一匹 外のぞく
  いま節するは いずれ出るため(吉)
2 節に過ぎ 出るをこらえて とき失す(凶)
3 身を越えて 節を守れず 泣き叫ぶ
  誰かを責める 事も出来ずに
4 節の道 上の感化で やすらかに
  自然に伸びて 願い手にする
5 自らを 節し甘美に 過ごしおる
  王に親しみ 民も満ち足り 思う事
  ありて行くなら また尊とばる
6 やむなきと 言えど あまりに節に過ぎ
  ついにくびれて 死へと流れる
  善に悔いなし されど生きろよ

 (この六爻、本田先生は、「悔亡」を『悔ゆる時は亡ぶ』と、あえて読んでおられます。合掌モンです。信念に従えば、困窮して死ぬほかはない。しかし、死ねば信念を通せない。状況によるでしょう。でも、あなたはこの二者択一に答えられますか? 答えられなければ、冷静に死を回避するのも一手ですね。)


    61 風沢中孚ちゅうふ  孚は強きまこと  鳥が卵を抱くかたち 強く想いを抱く 幸田露伴は中孚を「接吻のかたち」と言ったと、黄 小娥先生が紹介した通り、熱烈な相思相愛 簡素なお供えでも神に思いが通じる→ 「少々状況や物資が不足していても、情熱と達成への意志で、願い事亨(とお)る」と言う解釈は、どうでしょう?

1 愛そうと ひとつ考え 決めたなら
  浮気の水を 追い払うべし
2 天上と 地に隠れたる鳴鶴
  二声呼応し ともに翔けゆく
3 さんざんに 喜怒哀楽し 常ならず
  こころ浮(うわ)つき 泣き笑いする
4 十四夜 まこと 満ちるも 日は近し
  私と小を断ち 公に進めば
5 王の孚で みな手を取り合って 歓喜する
6 まごころ も ここに極まり にわとりの
  声のみ高く すがた地に落つ(凶)


    62 雷山小過
 意欲の少し、過ぎたるかたち。まわりが追いつかない。小(陰・悪)が過ぎた時代 沢風大過はひどく重かったが、これは小過。ちょっと重い。小過は大坎のかたち(二卦ごとに見ると、坎のかたちに成る。)また、翼を広げて飛ぶ鳥のかたち。我々の人生を飛ぶ鳥にたとえると、空中に休まる所はない。しかし、あこがれに向かって飛ぶために、我々は生きている。でも、この卦が出た時は、空ばかりを見すぎている時です。飛ぶ鳥は大地に降りて安んじてあれ。
 「飛鳥、声を残す」自分の人生を占って、この卦を得た事があります。ちょっと、ジンときたが、考えたら誰の人生でも、そうですねっ。(笑)
 この卦を得た時には、「『意欲や願望』の過ぎたるは、失敗する。反対に、『慎重・ていねい』は、少し過ぎるくらいにして」、大吉を得られます。

1 ひな 鳥や 何故にはばたき 行かんとす
  空は呼べども 宙に場はなし
2 振り抜ける 飛鳥のごとき 球筋は
  狙い目を過ぎ 芝には届かず(咎なし)
3 見えぬ網 強き翼の 飛ぶ鳥も
  絡め取られて ほふらるるなり
4 世は暗し 鳥は飛ばぬに 悪に遭う
  しばし地虫と 咎なくすごせよ
5 いつまでも 雨を降らさぬ わが心
  胸の奥から 引けど足るまじ
  少し過ぎたり 浅き心に
6 小鳥には 過ぎた高みに 無理に飛び
  矢にかかるのは 尊大の罰


    63 水火既済きせい
 すで に済む 何もかもが完成する 下の火で上の水が暖められ、めでたい。全爻が正で応と比がある一種の理想。易経がこう言う良い卦に文句をつける事は、みなさんそろそろ予想がつくのではないでしょうか? そう。「完成した後は、乱れ衰えるのみ」ですね。これからの衰微に備え、現状維持に専念すべきで、新規に開始する事は凶です。六爻すべて、警告的です。しかし、変爻なしでこの卦が出た場合、何もかもがととのい、大々吉です。恋人は結婚し、事業は成功し、受験には合格し、人間関係も円満です。(変爻が出た場合、もちろん変爻の意味を取ってください。)

1 すで に川 渡る初めに 水に落ち
  引き返すため 溺れずに済む
2 治世には 既に能臣 出辛いが
  待てば機会と 失せもの帰らん
3 英雄も 悪を討つには 心して
  3年かかる いくさ済むまで 
《注》
4 夜っぴいて 既に水もる 舟の世話
  怠ることなく 無事を得られん
5 既に波 大きく越えて 下りゆく  注
  ごちそうよりも 心の手料理  注
6 無残なり 既に理想の 過ぎたるは
  楽園の長(おさ) 冒険し敗れる


    64 火水未済びせい
 いま だ成らず。水の上に火を置く。全爻不正。されどすべてに応・比あり。まったくチグハクで混乱しているが、すべてに手がかり、足がかりがある。成りそうで成らない責任放棄、中途挫折の暗示があるので、最後まであきらめずにする、出来るまでする事が肝心な時です。易経最後の卦は、創業期の混乱を彷彿とさせます。いつか「成り終る」ための混乱で、その状態が前の『既済』でしょう。黄 小娥先生は、易経が既済ではなく未済を最後に持って来た事に対する感慨を、美しく述べておられます。 
《注》

1 いまだ我 あまりに若く 傲慢で
  軽挙妄動 一つ恥かく
2 いまだ時 成らずと知って 不確ふた(二)し かな
  川を渡らず 福を得るなり
3 いまだ場は 整わぬのに 行くならば
  上下と長(おさ)の 三者に諮れよ
4 いまだ悪 境を越えて 攻め入りぬ
  よく平らげて 太守にぞなる
5 いまだ 王の位に 座するのに
  周囲にかしずき 周囲は助くる(大吉)
6 つい に成り いまだ生きてる この私
  駄酒あおれど 飲みすぎるなよ(吉 −乾杯−)

 04-01-07 02:55 出来ました。
 いま初めて、自分の筆名の意味を知り、驚く。
 ちょっと、げっぷ。そしてちょっと、さみしい。