「東京旅行」
リンダ
 趣味は読書。小説も漫画も。映画とかお笑いなんかも好き。そんなインドア派の私が(温厚さだけが取柄だというのに)今、いつになく猛烈に怒っている。
 昨日、「たまにはいつもと違うデートをしてみよう」なんて言って、陽介が私を誘い出したのは竹芝だった。
 金曜の夜。ベイエリア。いつも家でDVDを観たり、たまに外に出てもマンガ喫茶に篭ったりしている私たちには、どれをとっても敷居が高そう。だけど、女子として少しは憧れていたオシャレなデートが実現することに、私は期待し、興奮していた。
 なのに、陽介は金欠を理由に夕食をファーストフードで済ませ、食後に公園を歩いてみても、ムードなし。なぜか大きいリュックを背負って歩く彼の姿が、場違いにすら見えた。
 情けなくなって、もう帰りたいと私が思い始めた頃、陽介は急に「そろそろだ」と私の手をとって足早に歩き出した。その勢いに驚いて、何も言えずについていくと、やがて到着したのは客船ターミナル。陽介はいつのまにか予約していたらしい乗船の手続きをさっさと終え、船に乗り込もうとした。意味不明。
「ちょっと、どこ行くつもりなの?」
「ミクラ島に、イルカを見に行くんだ」
 ますます意味がわからなかった。確かにイルカはロマンチックな気もするけれど、私はそのミクラ島の名前さえ知らなかったのだ。
「その島まで、どのくらいかかるの?」
「朝までには着く」
「は? 私、着替えも何も持ってないよ」
「大丈夫、俺のリュックに入ってる」
 半同棲状態だからって、人のものを勝手に持ち出すのもどうかと思った。でも、ここまではとにかく許すことにした。陽介が私にサプライズをと考えて、やったことなのだから。
 ただ問題はその後。
 早朝、船は悪天候のためミクラ島に接岸できなかった。小さな島ではよくあることだと、旅慣れたふうの女性客が教えてくれた。でもそれで気が済むわけでもない。
 船はやむなく八丈島まで行き、天候の回復を待つ他の客たちはそこで降りた。でも私たちはそのまま折り返すことになった。これも陽介のせい。陽介が明日バイトだから、今日中に東京へ帰らなければいけないのだ。もはや私の口からは文句しか出てこない。
「振り回されっぱなしの私は、結局なんなのよ? イルカほどロマンチックじゃなくていいから、私は普通にオシャレなデートがしたい。東京がいいよ。東京から出たくない」
 その言葉に、陽介はニヤッと笑った。
「良かった、御蔵島も東京都だよ。また来ような。おまえと一緒にイルカ見たいんだ」
 何を呑気に! 呆れる……でも憎めないや。
 降参気分で私は少し優しく言ってあげた。
「今度はちゃんと一緒に旅行の準備してね」
 私だって陽介と一緒なら本当はDVDもイルカも楽しい。そして東京はこんなに広いのだ。
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□帯刀さんからの批評 (2006/11/15 13:10) フォント
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綺麗でまとまった文体。ただ発想は極普通のものであるし、表現もこれといったものはない。それは一人称にしてみても、描写が極端に無かったことによるものだ。構成という形でまとまっているから読み物としてはいいのだろう。
ある程度移動している説明部分を削り、逆にシーンを一場面綺麗に描写してみてはどうだろうか。
□帯刀さんからの批評 (2006/11/15 13:13) フォント
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この批評の付け方に馴れていないせいか、間違った評価をつけてしまった。その点申し訳ない。
こちらが正しい評価の内容だ。
□名無しさんからの批評 (2006/11/16 21:00) フォント
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こういう作品は好きです。
脱力系の二人が、柄にもなくロマンを求め、結局無駄足になる。バイトの為にイルカを諦め帰る…その堅実さは泣けます。そんな男を認めてしまう主人公は根っからのインドア派。「そして東京はこんなに広いのだ」実に素晴らしい。
内向きでありながら二人の関係の
豊かさが心を打ちます。
□名無しさんからの批評 (2006/11/20 13:13) フォント
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「東京がいいよ。東京から出たくない」という台詞が辻褄合わせのような感じがして残念です。
もっと自然に出たような台詞であればよかったかなと。それから男の子がニヤッと笑ったのにはどういう意味があるのかが曖昧。そういう意図があったとは思えないので、その辺りの表現はきちんと詰めた方がよかったのではないかと思います。
□名無しさんからの批評 (2006/11/21 22:40) フォント
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竹芝っておしゃれスポットなんだ。。。知らなかった。。。
私にとっては作中あるよう、あくまで船着場(この表現:笑)なもんでして、予測の範疇でこじんまりと話が終わってしまいました。
広さをアピールするわりには、話に広がりが感じられなかった。「私」の台詞も、「話がこうだから、こういうことを言う」という、説明くささが前に出て、臨場感がない。
作品の広がり具合からすると、都下も西東京市くらいまでの広さしか感じられない。
話にあった雰囲気を盛り込ませれば、絶対よくなる。
□名無しさんからの批評 (2006/11/24 05:36) フォント
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もうすこし、いろいろ整理した方がいいと思う。
題材はいいのだけれど、ごちゃごちゃとしていて、分かり難い。
□名無しさんからの批評 (2006/11/28 12:50) フォント
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話はわかりやすいが心情がわかりずらい。
□名無しさんからの批評 (2006/12/10 00:31) フォント
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発想は安易。
表現は及第点。
つまり、個性を感じない。

もし意図的に分かりやすい話を書いたのだとしたら、巧いと思う。
□名無しさんからの批評 (2006/12/11 19:05) フォント
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無理なくまとまった、わかりやすい作品。
読み物としての印象は弱いが、背伸びしない安定感はある。
□名無しさんからの批評 (2006/12/17 16:12) フォント
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なんか雰囲気でてるなぁ。と思いました。
ダメな男と一緒にいてしまう女子をよく表現できていると思う。
□名無しさんからの批評 (2006/12/21 19:40) フォント
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もったいないなぁ、と思いました。発想はすごくいいと思うのにどうにも何か物足りないです。
構成にもう一ひねりほしいなぁ、なんて思ってしまいます。
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