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「かわいいひと」
和葉
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本命合格! 大きく書かれた絵馬の端に、私は『千紗のためにもねv』と書き添えて、言った。 「絶対。絶対に受かってよ」 「解ってるよ。早く大学生にならないと千紗先輩に置いてかれそうだし」 「そう思うんだったら、……智の受験が終わるまで、会うのはやめない?」 智が拗ねた顔で敷石を蹴りつつ、小さく頷いた初詣から二ヶ月。一歳下の彼氏と早く対等になるために受験勉強を邪魔しないという私の目的は、もはや有名無実化している。というのも、私がサークルの先輩である裕貴さんと急に仲良くなってしまったからだ。 「今度の日曜、映画観に行かない? 下北で千紗が好きそうな映画やってるよ」 「あ、それ観たいと思ってたんです」 彼の誘い文句は、いつも私の興味を引く。裕貴さんは、私が好きそうなものを見つけるのが上手いのだ。興味があるし、智と会えない寂しさも手伝って、私は彼の誘いを断ることができない。噂によると、裕貴さんも彼女と別れたばかりだそうだ。
「良い映画だったろ」 「はい、期待以上に面白かったです」 「同じ監督と脚本家が、学生時代に組んで作った自主制作映画があるんだけどさ」 「へーえ。観てみたいですね」 「ビデオ持ってるよ。観に来ない?」 ビデオを借りれば済む話なのに、私は誘われるまま裕貴さんのアパートへ行った。行けばどうなるかは、もちろん解っていた。 案の定、部屋に着いてまもなく私は彼にキスされた。心のどこかで望んだ通りの、優しく包み込むようなキス。智の、がむしゃらに私を欲しがるキスも嫌いじゃないけれど、私はこんなキスにも憧れていた。二歳年上の裕貴さんは、私が言って欲しい言葉、連れていって欲しい場所、して欲しいことを知っている。もっといろいろ、して欲しい。 と、私が全身の力を抜いた瞬間だった。 「裕貴、何やってるのよ」 部屋に女の人が飛び込んできて、叫ぶように言った。裕貴さんはギョッとして振り返ったかと思うと、さっきまでの体勢が嘘のようにそこに正座して、彼女を見上げた。 「戻ってきてくれたの?」 「戻ってこようと思ってたけど、やめる。やっぱり年上の女なんて厭なんでしょ。その若い子とよろしくやってれば?」 彼女は私を無視して裕貴さんを睨みつけた。自分の出る幕ではないと思った私は、逃げるように裕貴さんのアパートから帰った。 帰り道で、私は急に智が恋しくなった。彼女の前でしょげかえった裕貴さんの顔が、しばらく会わないと約束した時の智とよく似ていたからかもしれない。 智のああいう表情こそが自分の心をくすぐり続けてきたことを、思い出したのだ。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/10 10:57) |
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最後に智のことを考えるシーンをもう少し長くしたほうがいいと思います。 きっと伝えたいのはそこなんだ、と思うので。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/11 14:37) |
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| 在り来たりな題材ですが、文章力で補ってそれなりのものに仕上げている印象を受けました。ガツンとくる強烈な核を得た時にそれを表現できる技量はあると思います。ただ、それを得る、あるは掴むアンテナの感度を上げていく努力が必要なのかもしれません。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/12 00:53) |
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しっかりした文章力でなかなかだと思います。 良くある題材で、よくある話で最早小説、漫画、映画とあらゆるメディアでパターン化されたお話というのがいまいちでした。 オリジナリティーをだしてください。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/12 21:13) |
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とっても読みやすかったです。僕にはストーリーの批評はできませんから、それは他の人に任せます。 ただ、文章からその光景を想像する事ができました。良かったです。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/14 00:33) |
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割とありきたりですが、うまくまとまっていてよく書けているーという気がします。完成されている話です。
出来れば、もう少し新鮮味のある話を! ソツのない話でした。いい意味で。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/14 13:57) |
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| 山場である彼女が登場するシーンが流れ的に唐突に思えた。少女漫画にありがちなストーリーで心に引っ掛かる物が少ない。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/03/14 19:54) |
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| おお、あえてパターンを持ってきましたね。ご自身の作風に細かい感情の襞(←この表現がクサイ)をどこまで描けるかを挑戦されたかと。ううむ。恋愛モノはすっかりダメな読者ですが、これはイイ! |
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| □名は無いさんからの批評 (2004/03/23 01:20) |
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上手い、ですね。人物描写、感情表現。恋愛事は私には縁の少ない分野なので、思わずうなってしまいます。 智、という名前で女性を連想してしまったので、始めの何行か話に入り込めませんでしたが、普通に男女の間柄だったわけでした。
「!」を使っても良さそうな場面(部屋に女の人が飛び込んでくる場面です)で使わないのは意図があってのことなのでしょうが、勢いは感じられませんでした。台詞回しをより洗練できると思います。今でも良いと思いますが、是非。 |
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| □名無しさんからの批評 (2004/04/06 22:53) |
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| 話的にはよく見る感じがありますが、文章はきれいでした。文章が素敵だった分、ちょっと残念な気もします。次はもっとストーリーにもこだわってください。 |
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