「夢現・夜(むげんや)」
U-1
 気付くと、そこは薄暗い山小屋の中だった。俺は木造の小屋の天井にある梁を見るようにして、毛布の上に横たわっていた。腕時計は零時を指している。
おかしい。確か俺は登山の最中に猛吹雪に見舞われて仲間とはぐれ、遭難してしまったはずだ。その俺が、どうして山小屋の中で眠っていたのだろうか。そういえば、一緒に遭難していた喜久子は何処へ行ったのか。寒さに軋む身体を起き上がらせて周囲を見回した。
いない。何処にあるのかも分からない山小屋の中でたった一人きり。時刻は夜の十時。もう外へ出ることは出来ない。強烈な不安感が俺を襲った。恐怖で気が狂うかと思ったそのとき、ふと、暗がりから喜久子が現れた。
「喜久子、何処へ行っていたんだよ。心配したじゃないか」
「ごめんね。あの隅のところで二人分の食料の確認をしていたの」
「あ、もしかして、俺をここに運んでくれたのって……」
「そう、私だよ。孝之ってば、急に気を失っちゃうんだもん。びっくりしたよ」
「ありがとう。本当に助かったよ。お前がいなかったら、今頃俺は……」
「そんな改まらないでよ。照れるじゃない」
喜久子はいつもどおりの微笑を返してくれた。こんな特殊な状況でも、いつもと変わることのない喜久子の存在がとても嬉しく感じられた。喜久子と話し合った結果、今晩はここに留まって、明日、救助隊が来るのを待とうという結論になった。そこで、二人は寝ないようにするために話し明かすことにした。内容は他愛もないこと。普段二人でしている会話となんら変わりない……

彼女と話し続け、もうすぐ朝になろうとしていたときだった。俺は突然の強烈な睡魔に襲われ、話すことが困難になった。喜久子はそんな俺を見て、悲しそうに微笑み、そして、「ごめんね」と言った。(泣きそうな顔でそんなことを言うなよ。さっきまであんなに楽しそうに話していたのに)
俺の意識は途絶えた。

朝になり、救助隊の人たちが俺を迎えに来てくれた。これでやっと山を下りられる。たった十二時間くらいのことだったが、俺には非常に長い時間に感じられた。これから病院へ行って検査をし、それが終わればまたもとの生活に戻れる。ただひとつ。喜久子がいないということ以外は……
俺が救助隊の人に起こされたとき、小屋には一人の人間しかいなかったらしい。喜久子に関して尋ねた所、彼女は昨夜の零時前にズボンにセーターという格好で管理小屋にやってきたそうだ。その後、彼女は俺の居場所を伝えて息を引き取った。ひどい凍傷だったらしい。俺はただ泣いた。俺を暖かく包んでいた女性物のコートを抱きしめて。
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□名無しさんからの批評 (2004/01/10 16:35) フォント
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私、実際に遭難者を拾ったり、自分でも遭難しかけたり、凍傷になりかけたりしたことがあるんで。
ちと、現実的でない表現が目立ちました。
「フィクション」は現実より現実味のある世界を構築するのがポイントかと思うので、その辺が引っかかります。凍傷にかかってでも連絡できるだけの体力があって死ぬことはほとんどないし(凍傷部分の割合によりますが) また、例え遭難しても避難小屋の場所がわからない登山者はいないし。その辺のアラ探しするとキリがないんですけどね。 

現実より現実味のある世界を文中に構築するには、それなりの資料集め、もしくは調査等が必要かと。フィクションの辛いところですが、その辺をもう一度見直していただければ、良い作品になるかと思います。ちょっと辛口ですが、その辺はご勘弁を。ちがう立場での批評がぞくぞく出てくる事を期待して。
□名無しさんからの批評 (2004/01/10 20:00) フォント
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こんばんわ。悲しい物語ですが、遭難した男女→片方がもう片方を救わんとして死ぬ。こういう類は創作によくある話かもしれません。少なくとも自分には、新鮮味がありませんでした。

それにしても喜久子がけなげです。が、後半の「俺」が彼女に対して思った()部が浮いていると自分は思いました。()の口語文より通常の文章か、(泣きそうな・・・顔でそんなこと〜・・・)みたいに"・・・"区切りでゴーされるとより良くなったのではないでしょうか。彼の意識は途絶えつつあったのですから。

しかし決して読みにくいような作品ではありません。以後の作品を待っています。
□名無しさんからの批評 (2004/01/10 21:37) フォント
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いい話ではあるんですが、よくある話、という印象が拭えませんでした。自分のために恋人が犠牲になった、その悲しみは伝わるんですけど・・・。
もっと発想をよく練れば、いい作品が書けると思います。次回を期待します。
□名無しさんからの批評 (2004/01/10 22:50) フォント
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恋人のために犠牲になるというのはよく読む話ですが、女のほうが助けるっていうのが今時ですね。
幽霊?となった喜久子との会話。ここを、自分が犠牲になっても彼を助けようとした、彼との仲がえがかれていないと、なぜそこまで?と思ってしまう。
彼女が山が好きで嫌がる彼を無理に誘ったからとか、死ぬほど好きとか。軽装で出たら、死ぬのは素人でも想像できるのですが。綺麗なお話の分、無理があるとそこが気になって浸れない。文体は素直で好きです。
□ななしーずさんからの批評 (2004/01/11 03:53) フォント
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読みやすかったです。
情景をちゃんと想像できました。
「俺の意識は途絶えた」のところで、俺が死んでしまったのかと思ってしまった。
もっとキャラクターの魅力が伝わってくれば、より入り込めたのかなと思いました。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 09:49) フォント
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 もう言うまでもないことだとは思うのですが、改行したら字下げしましょうね。
 内容は、ちょっと陳腐かな。ストーリーがありきたりでも描写に「お!」と思わせるものがあればよいと思うのですがそれもないので楽しめませんでした。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 12:46) フォント
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イマイチ遭難した状況もよくわからないし、彼女の行動も突飛すぎるような気がします。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 15:35) フォント
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改行の字下げを。わざわざ一行空けなくていいから。

今回の雪テーマで最も多かった「男女カップル女が消える」パターンでした。その中ではもっともオーソドックスで(よく言えば無難によくまとまって、悪く言えば独自性にかける)した。
掛け合い部分がひどく浮いていて、彼女の最後の生の部分を示すには足らないものも感じました。
□郵一郎さんからの批評 (2004/01/11 18:15) フォント
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気になった点が一つ。
>腕時計は零時を指している。
>時刻は夜の十時
どちらの時間が正しいのでしょうか?
□名無しさんからの批評 (2004/01/12 01:50) フォント
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遭難したら寝てはいけない、というイメージがありますが、この二人の状況(小屋の中、毛布有り)なら寝ても大丈夫だと思います。
しかし喜久子は何も知らずに外に飛び出してしまったのでしょうか。でも、コート一枚置いて、一人っきりにしておく方がよほど危ない気もするなあ。
と読みながら、いらないことを考えてしまいました。
話がストレートに感動物なので、もっと細部までしっかり描き出さないと、ひっぱっていけないかなと、思いました。
□名無しさんからの批評 (2004/01/12 02:42) フォント
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最初は時系列がおかしいのかと思いました。
読み直してみると、夜の十時の時点では喜久子は既に管理小屋へ向かっていて、俺が話していたのは幻だったということなのかと思いました。
それでもやはり最初の腕時計の零時がちょっと変か。何かまとまらなくてすみません。

二人に個性が感じられなかった気がする。会話文を生きた会話にできたら良かったのかな、と思いました。

□名無しさんからの批評 (2004/01/13 20:20) フォント
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内容に関しても表現に関しても、なんというか別に貶すところも褒めるところもない、平坦な印象でした。無難といえば無難なんですが……。
著者自身の個性を見てみたいと思いました。次回作では、もっとエゴイスティックに書いてみて欲しいです。
□名無しさんからの批評 (2004/01/15 12:06) フォント
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表現
総合
お話が平坦です。
字下げしないのは意図的だったのしょうか?
□名無しさんからの批評 (2004/01/15 12:06) フォント
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お話が平坦です。
字下げしないのは意図的だったのしょうか?
□名無しさんからの批評 (2004/01/17 21:45) フォント
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総合
お話が平坦で意外性がなく、面白くない。

表現は工夫を凝らそうという努力は見られるが、視点が定まらずふらふらしている。
□nobodyさんからの批評 (2004/01/20 13:01) フォント
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なんとなく読むと、愛する人を命を駆けて救い出した女性、といういい話なんですが、彼女の行動が理解不能。何故、自分の命を危険にさらしてまで助けを求めに出たのかが、私にはわかりません。そのまま二人で一晩過ごすことに何か問題でもあったのでしょうか……?
細部にもっと現実味があれば、いい話になったと思います。
□名無しさんからの批評 (2004/01/22 10:02) フォント
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WEB小説ではよくみかける、「泣けるお話」ですね。
できればそれだけじゃないひねりが欲しかった。
これだけではただの「良い話」で終わってしまいます。
あと字下げがないのが気になりました。
□セツナビトさんからの批評 (2004/01/24 10:10) フォント
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うーん、やっぱり彼女の行動がいまいち理解できません。なんでそんな軽装で極寒の中外に出ちゃうかなー? 自分の命を犠牲にしてまでも主人公の命を守りたかったということでしょうか。その割には、喜久子の愛情が描写されていなかったので余計に分かりませんでした。もしかしたら意図的に描写をしなかったのかもしれませんが、ここはもう二人を恋人にしておいた方がまだいいと思います。どっちにしろ、あまりにも無謀すぎて正直感動どころではありませんでした。自己犠牲にも程があるかと。

あと、喜久子が管理小屋までたどり着いたというのも都合がよすぎると思います。まあだからこそ感動があるのでしょうが、普通なら100%遭難していると思います。やっぱり全く感動できません。

喜久子と主人公との会話が、主人公の幻覚だという部分は面白かったです。だから最後に「ごめんね」と言ったのですね。ただ、かなり分かりづらかった。主人公に直接「あの時俺と話していた喜久子は幻だったのか」といった具合に書いたほうがすんなりと理解できます。

表現はいいと思います(ただし字下げは徹底してください)。あとはもう少しネタを精査することをお勧めします。次回に期待。
□名無しさんからの批評 (2004/01/24 19:08) フォント
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勢いで書いたという印象を受けます。
結局夜の10時なのか12時なのかわからないし、展開が速いです。その上登山でコートなんて着ませんよ。しかも雪山。

喜久子さんの行動にも相当な疑問が残ります。何故一人で知らせに行ったのか分かりません。2人で山小屋に行き、救助隊を待つのが、登山の常識だと思います。管理小屋は山小屋の場所だって把握しているはずだし、登山する際には、届けも出すはずなので、連絡がなければ勝手に救助隊が来ます。

情報収集不足だと思います。
自分が登山をする人間なので、余計に気になったのかもしれません。
お疲れさまでした。
□名無しさんからの批評 (2004/01/27 16:42) フォント
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陳腐であります。1200字では細かい描写を補うことができない為、通り一遍の表現しか使えなかったのではないでしょうか。端的に言ってしまえば、字数と話とのミスマッチではないかと思います。
□名は無いさんからの批評 (2004/01/27 22:18) フォント
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段落分け
改行の後の1字空け
()の使い方
以上が表現として改善の余地があります。
いくつか気になった点があるのですが、時計の時間、つまり時間軸の流れが私には理解できませんでした。零時→夜の10時→朝、ということですが、そうなんして「たった十二時間くらい」ともあるので、少し解かりかねます。
□名無しさんからの批評 (2004/02/07 13:38) フォント
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作品の意図を読もうとすれば、喜久子の「ごめんね」は理解できなくも無いが、この流れのストーリーを楽しもうとすれば、唐突過ぎてラストを読んだあとも読後感の悪さだけが残る。

彼が「突然眠くなる」のは、読者に対して一度「彼」が「死ぬ」ように読ませたかったのかとも考えられるのだけれど、そこから救助隊がくるまで時間の経過があるのであれば、その「唐突さ」が無意味になるのではないか?
それではその「唐突に」眠くなった時間に喜久子が死んでしまったのかといえばそうでもなく、結局その睡魔の突然さはどこにも生かされていないように思う。
流れが不自然に見えるのは、その流れに行き着く必然性が足りないからではないだろうか。

文章の流れなどはよどみなく、力のあるかただと思われるので、次回に期待したい。
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