「願い」
御月 想華
天使は言った。
『アナタが待ち続けているモノは、必ずしも幸福とは限りませんよ』と。
俺は言った。
「幸福かどうかなんていうのは、俺が決める事だ」と。

――冬の初め、俺は彼女に恋をした。
冬が終わりを告げようとしている。公園の雪も溶け始め、春の準備をしているようだ。
視線だけを動かし、空を見上げる。灰色に染まった空は、いつもと違って白い粒を吐き出してはいなかった。
物心ついた頃から、俺は既に一人ぼっちだった。母の顔も温もりも知らずに、俺は生きてきた。いや、生きている意味さえ判らず、ただ在るだけだった。
そんな俺に、彼女は優しく微笑んでくれた。温もりをくれた。ほんの一瞬の出来事だったけど、俺にはそれだけで十分だったんだ。それ以来、俺は彼女を待ち続けている。

天使は言った。
『いつまで待ち続けるつもりですか?』と。
俺は言った。
「もう一度出逢えるまでだ」と。

――冬の半ば、俺は運命を悟った。
もう何週間もこの場所で待ち続けている。体は雪のように冷たくなり、動く事さえ適わない。元々この冬を越えられない体なんだ、彼女に出逢えるのなら壊れても構わない。
もう一度だけ逢いたい。それだけが、俺の願いだった。

天使は言った。
『どうしてこんなに待ち続けるのですか?』と
俺は言った。
「彼女に恋をしているからだ」と。

――冬の終わり、俺は彼女と再び出逢った。
彼女はあの時以上の笑顔と温もりで、俺の身体を包んでくれた。凍て付いた体を、彼女の暖かさが優しく溶かしていった。もう二度と、俺は彼女を放さないだろう。

天使は言った。
『アナタが待ち続けているモノは、必ずしも幸福とは限りませんよ』と
俺は言った。
「これも幸福の一つのカタチだ」と。

灰色の雲は消え、暖かい太陽が公園を照らしている。
雪の溶けた場所には、青いバケツと赤いマフラーだけが残った。
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□銀色さんからの批評 (2004/01/10 13:36) フォント
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書きなれてますね。
と、また偉そうなことを言ってしまいますが。
読みやすくて、最後の一文に
はっとさせられ、あらためて読み直してしまいました。
私の読み取り間違いかもしれませんが、「雪は溶けてなくなる」という意識が読者にあれば、「ずっと生きてきた」という表現は、読者を混乱させてしまうかもしれません。
□銀色さんからの批評 (2004/01/10 13:48) フォント
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あらためて読んだのですが、
「物心ついたときから」でしたね、すみません。
□名無しさんからの批評 (2004/01/10 21:57) フォント
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視点がとにかく新しいですね。ラストでびっくりして、読み返してしまいました。
ただ、主人公が自分の事をどう思っているのか、よくわからないんですね。「体は雪のように冷たくなり、動く事さえ適わない」という文と、「元々この冬を越えられない体なんだ」という文が、矛盾ってほどでもないんですが、多少違和感があるんです。
視点が変わっているだけに、その辺を上手く統一してあれば良かったな、と惜しく思っています。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 00:44) フォント
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毒を吐くようですが、この文章には理解しがたい点がどんどん出てきます。主人公や彼女は生きているのか、いきなし天使って何、問答の意図とは、元々冬を越えられない体とはetc。
もう少し読み手に配慮した書き方を求めます。作者が分かっても、きっと読者が分かってくれないでしょう。

反復的な文体と表現の仕方にはJ-POPのようなスタイルを思わせます。これは人によってはクールに見えるかもしれませんが、1200字のショートでは話が混乱してしまうので控えたほうがよろしいかと。

次回からは更なる推敲と客観視力、そして成長を望みます。
□ななしーずさんからの批評 (2004/01/11 04:14) フォント
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読者の想像力に頼る部分が大きいと思いました。(狙ってるのかもしれませんが)
やっと見つけた彼女を待つという"生きがい"のみにすがって、待つ事のみに生きる俺
なんか好きです。

うまく批評できてなくてすいません。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 09:21) フォント
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かなわぬものに恋焦がれる、ラストで、なるほどと。
しかし、敢えて書きます。雪国の人間には、この雪だるまはありえない。春を準備する段階で、全く日が射さないなどということは、ありえない。頭の中で書かれたのかな。雪だるまの融け方を見たことはあるのかなという感じです。
天使との会話で「次に会うときまで」という返事は実際ありえない。雪だるま話なら、矛盾が残るんだな。いや、これは、私の経験している雪だるま話であって、地域によっては全く違う印象を持つのか。
文章はとてもすっきりと読みやすく良かった。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 10:19) フォント
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 主人公は雪だるまさんなんですね。面白い発想で楽しめました。
 で、これは小説でしょうか? むしろ散文詩か絵本の文章に近いかと。小説であるなら行頭の字下げをお願いしたいところですが、詩ならその必要ありませんね。
 もっとも詩だとしたら、このサイトに投稿するべきものではない訳ですけれども。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 15:45) フォント
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オチを読んで思ったことは、途中で「体は雪のように冷たくなり」というくだりです。あんた、元から雪じゃん! って、この表現をもう一歩考えてほしかったです……。

それ以外はハッとさせられるきれいなファンタジーでまとまっていました。短さを活かしきった作品でした。
□郵一郎さんからの批評 (2004/01/11 18:29) フォント
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最後にオチで驚かせる作品は個人的にすごく好きです。 天使の存在にもうひとひねりあるとさらに良いと思います 
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 21:43) フォント
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伏線がきいてますね。「そうくるとはっ。」ってかんじです。ただ、天使の印象があまりよくないですね。天使は何が言いたいかが薄い感じです。でも全体的には読みやすかったですよ。
□名無しさんからの批評 (2004/01/12 23:33) フォント
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『体は雪のように冷たくなり』は元々が雪なので、違う表現をした方が良いと思います。他の部分の伏線を丁寧に書き込んでいても、この一言で台無しになってしまいます。

彼女と俺の触れ合いが希薄なので、俺の恋する気持ちが読者に伝わりづらいような気がします。天使とのやり取りよりも、そっちを書き込むと面白かったかと。

語尾のバリエーションを意識すると良いと思います。『た』が多いのでちょっと単調な印象です。


□名無しさんからの批評 (2004/01/13 02:03) フォント
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面白かったです。こういうのがいいなぁ〜。素直に。
オチの部分にもう少し説明(笑えるくらいの)をつけてみてもいいかなぁ〜と。ふと思いますが、コレはコレで完成してるのか。次回作を楽しみにしています。
□名無しさんからの批評 (2004/01/13 02:19) フォント
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オチがはまっていていいですね。ただ、一文一文の表現に曖昧な点が多すぎるかなと思います。
淡いイメージで書いていませんか。それでもいいんですが、具体的に場面を思い描かないと、細かい表現で矛盾が出てきてしまうものです。
偉そうですいません。
□名無しさんからの批評 (2004/01/13 20:34) フォント
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面白かったです。
ただ、ちょっと全体的な印象が薄いような気がしてしまうのです。オチで「あ、なるほど」と読者の頭をクリアにしてくれるのはとても良いのですが、それまでの流れでは読者は「???」としか思えない。
伏線を張りつつ、全く別の物語と思わせる構成になっていると、オチはより際だつと思います。
頑張ってください。
□名無しさんからの批評 (2004/01/15 22:43) フォント
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なんだか今までそういう話が多かったせいか途中で段々とオチが見えてくる辺りは仕方がない。
ファンタジーが嫌いなタイプの人間には受け入れられないだろうなぁと思った。
一つの作品としては説明が少ない気がする。
□nobodyさんからの批評 (2004/01/20 12:59) フォント
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やられました。よもや雪だるまの話だとは、微塵も思いませんでした。
天使の存在の必然性が良くわかりませんが(雪だるまの独り言でもいいかなぁ、と)、話の展開や表現は良かったと思います。
後は、私の感性の問題かもしれませんが、雪だるまの扱いにちょっと違和感が。冬が終わりを告げようとしている中、雪だるまが原型を留めたまま存在しているような印象を受けてしまうのです。春が近づいているのなら、雪だるまもどんどん溶け出し崩れていって欲しかったですね。最後ストンと落とすためには、雪だるまであることを覚らせない必要があったのかもしれませんが。
□名無しさんからの批評 (2004/01/27 17:12) フォント
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すいません、主人公が雪だるまだとは全然気付かなかったです。文章がさらさらしすぎていて、いろいろな伏線を流してしまいました。(もちろん私の読解力不足もあると思うのですが)
他の方も指摘されているところですが、どちらかというと絵本の添え書きに近いと思いました。形式的なことですが、段落始め一字下げはしていただいた方が良いかもしれません。
□名は無いさんからの批評 (2004/01/27 21:58) フォント
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一度読んで、もう一度読んでみると作品の趣が変わりますね。良い発想だと思います。
惜しむべくは雪だるまである彼が恋しているのは太陽なのか、人間の女性なのか、具体性にかけるために抽象的なお話になり過ぎてしまっていることかと思います。
□名無しさんからの批評 (2004/02/07 14:30) フォント
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オチまで一貫してよい状態で読み終わりました。よい作品をありがとうございました。

数点気になるのは、すでに皆様が批評であげていらっしゃる部分ですが、
・雪自体が「雪のような」と言ってしまうのは安易ではないか
・天使の存在に意味を感じない(ひとりごとでもいいのではないか)
ということかと思います。
雪の解け方についても気になることはなりますが、それはドラマ性という捕らえ方が出来るのではないかと考えます。また、
・主人公
をあいまいにしてオチまで引っ張っており、さらに
・彼女
という存在もあいまいなため、そこにさらに「天使」というあいまいなものを投入することはないのではないか、と思うのです。視点を絞るためにも、抽象的な表現のポイントを絞るべきかと思います。

字下げ等の文章の書き方も気にはなりますが、それは今後勉強すれば問題なくカバーできる部分だと思います。
□セツナビトさんからの批評 (2004/02/08 00:49) フォント
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うーん、いいですね、雪だるまの純情。雪だるまならではの儚さがいいです。面白い。

ただ、描写が抽象的であいまいなイメージしか抱けませんでした。主人公はオチのために謎として引っ張るとしても、「彼女」まで人間なのかそうでないのか分からなかったのでモヤモヤ感が残りました。具体的な描写は無くていいと思いますが「ああ、そうなんだな」と読者に感づかせる描写があった方がよかったのではないでしょうか。

あと、天使の登場はちょっと唐突だと思いました。そのあとの「俺」との問答はいいと思いましたが。「俺」からの紹介など、何らかの説明があればよかったのではないかと思います。ただ、「俺」の独り言にしたほうが、ストーリーにまとまりが出ていいような気がします。

あとはまあ、「雪のように」ですね。悩まれたのだと思いますが、やはり「だって君雪じゃん」とツッコミを入れてしまいました。この一文が伏線を壊しているように思います。

全体的に読みやすかったです(字下げはしましょう)。が、他の方も指摘されているように詩のような印象も否めません。文章力はある方だと思いますので、次は小説を読ませてください。期待しています。
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