「C」
古森 はな
 その日見たものは、この世のものとは思えないほど美しいヘキサグラムだった。光を受けて透けて輝くそれは、天で煌めく星のようでもあり、野を彩る花のようでもあった。一つ一つの多様さは浜辺の砂よりも、夜空で瞬く星よりも、万華鏡の映し出す形状総ての数よりも上回るように見える。魅了してやまないそれが大地を覆い、やがて見るもの総てを白く染め上げ積み重なっていき、そしていつしか消えていった。
 心を奪う無限に舞い散る六角形を忘れられずに恋するほどに焦がれていた。自らもあのような姿を呈して煌めく光沢を放ちたい。己自身も平面に広がり続ける憧れの六角形の一部になることが出来ることはわかっているが、それには多彩さはない。画一で唯一の六角なのである。たとえ道は、思い焦がれたあの六角形に近づくためにはそれしかないにしても、心に深く刻み込んで、深く深くへと沈んでいく。多くの心を掴んで放さない六花のような結晶になることを望みながら、沈む深さ以上に信じながら、奥底へと落ちていく。たった一つの思いだけを内に秘めて。
 永遠にも感じる果てしない時が過ぎて、ようやく気がついた。どういう経緯をたどったのだろう、下へ下へと沈み行く圧迫を感じたときもあったし、炎に身を投じる以上の高温を感じていたときもあったが、詳しい履歴は一切わからない。自分の今の姿を確認すると、願いは半分だけ実現していた。澄み切った結晶ではあったがたどり着いたかたちはヘキサゴンではなかった。だが、求め続けた六出花よりもより多くを魅惑するものであった。花でも星でもない、三次元に入り組む充填密度のより高い複雑な構成の一部と化している。暗がりでもかすかな光輝を発し、磨かれることで更なる魅力をかもし出す。しかし、求めたものには遠かった。
 いつかみたゆきわのように、地に降り重なりいつしか融けてその土に滲みこんで行き底に溜まり地表に出ては流れ広がり生き物に取り込まれ大気の一部に舞い上がってはまた降り注ぐことを繰り返すうちに、空から舞う極上の六角になる輪廻の中に身を任せていきたかった。
 この世の中でもっとも強固なその身よりも硬い思いを貫き通すことを決めて、太陽表面と同じくらいの高温にさらされる。熱は一瞬で全身を駆け抜けた。大気に混じり溶け込む刹那よりも短い間だけ、身を焦がすほど憧れていた六角を成した。憧れとは真逆の黒を呈してはいたものの、太陽を浴びて光沢を放ちながら、飛散していった。
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□名無しさんからの批評 (2004/01/10 22:59) フォント
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ごめんなさい。わからない。文頭のその日見たっていうのは、誰のこと?物体?擬似表現?句点が少ない分、分からないのがますます分からない。雪の結晶の核のこと?それとも、わが身をその核となる塵にたとえたのか?何かのメッセージを感じる分、もやもやが残る。
□名無しさんからの批評 (2004/01/11 00:01) フォント
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雪の結晶のことなんでしょうけど、何が言いたいのか良くわからないです。擬人化なんでしょうけど、そうした理由がわからないのです。

ヘキサゴン=六角形の訳語は出てくるのにヘキサグラム=六芒星という訳語が出てこないのはなぜかなと引っかかったりもしました。
□名は無いさんからの批評 (2004/01/11 18:43) フォント
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抽象的過ぎる気がします。万人に読んでもらえるためにはもう少しテーマを噛み砕いて伝える努力が必要だと思います。(私自身も含めてですが)
表現の装飾が多すぎるのも、文全体が重たい原因かも知れません。
□名無しさんからの批評 (2004/01/12 21:52) フォント
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修飾語と比喩は表現の手法ではありますが、安易にちりばめてしまうと、具体性を欠く、抽象的描写に堕ちてしまいます。
さらに話自体が抽象的なものであるので、余計にわかりづらくなってしまっています。
どっちかは具体的にしませんか。

アイデアとして、雪の結晶、六角形への憧れと、炭素(元素記号C)の還元というのは面白いのですが、この書き方では気づかない人が多いのでは?
個人的には謎解きとしては面白かったです。
□名無しさんからの批評 (2004/01/12 22:40) フォント
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C=炭素の憧れとか、原子の一人称とか、発想はすごくいいと思います。表現もひとつひとつはいいと思いますけど、抽象的すぎて結局何が言いたいのかよくわからなかったので「葉」という事に。
これも技巧だとは思いますが、テーマがはっきり伝わってこないのはマイナスかな、と思いました。
□名無しさんからの批評 (2004/01/13 18:12) フォント
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3回読みました。でも、解らなかったです。すべて芽になっているのは読み手の能力のなさです。気にしないでください。ごめんなさい。
□名無しさんからの批評 (2004/01/14 14:45) フォント
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言いたいことは何となく伝わってくるのですが、他の皆さんもおっしゃっているように抽象的過ぎて解りにくい。想像しにくい主人公ですので、読者の想像力に任せっきりにせず、ある程度導いてあげることも重要なのではないでしょうか。
□名無しさんからの批評 (2004/01/14 23:33) フォント
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解りにくさの原因は飾りの多い表現はもちろん、一文の中での主語の欠落ではないかと。日本語独特の問題ですが、コレだけ漢字が多いと、どの語がどれを飾っているのかさへ解らなくなってしまいました。
□名無しさんからの批評 (2004/01/16 08:01) フォント
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なるへそ。
Cって読む前はC言語の事かと思いきや、炭素原子でありましたか。炭素原子の思ひを綴ったエッセイのようなものでありますね。
黒い粒から人工ダイヤになり、燃える瞬間黒鉛になり、そして二酸化炭素となって、いつか炭水化物になり、その生命の循環の内にいつか空を舞う塵となり、雪の核となる事を夢見る炭素原子の話ですね。
やっぱりすぐには気付けません。
□名無しさんからの批評 (2004/01/17 18:14) フォント
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「それ」が雪であるに気付くのに暫く(三段落くらいまで)かかりました。
読んでいて引きつるものが無く、自己陶酔しているだけで、響くモノがありませんでした。読んでて疲れるだけです。
□名無しさんからの批評 (2004/01/18 01:32) フォント
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ひたすらに分からない。
他の評者の批評を読んで初めて理解しました。
タイトルが伏線だったんですね。気付く事が出来なくてなんか悔しい。
こういうのもありかな、とは思いますが出来ればもう少しヒントが欲しかった所です。
□nobodyさんからの批評 (2004/01/20 12:49) フォント
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雪の結晶にあこがれる水分子の話かと思いましたが、ラストでようやく炭素原子の独白だということに気が付きました。炭素原子も雪の結晶に憧れるにあるのですねぇ、ナルホド。

しかし、読ませる作品としては失敗じゃなかろうかと思います。文章の中に、ちっとも入っていけませんでした。文章そのものに難があるとは思わないのですが、敢えて語り手と、その中で語っている対象をぼかしたのが仇になっているような気がします。
誰の視点で世界をつづっているのか、これがもう少しわかりやすい形で文章の中に存在するとよかったな、と思います。
□名無しさんからの批評 (2004/01/21 15:36) フォント
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今月ニ作品目ですよね。両作品を同じ方が書かれたと思えないくらい作風がガラリと変わってるのでびっくりしました。個人的嗜好ではこちらが好きだったり。

ただ皆さんの批評の通り、あまりに抽象的なので(略)です。テーマが分かっていても最初に指した「それ」は「雪」と書いといたほうが妥当だと思いました。自分はタイトルでぴんときましたが、理系に通じてないと炭素の化学変化等は分かりません。と言いつつ、恐らくこの作品は知識の有無じゃなく、読者にムードを味わって欲しい意図があったのではないのかなあと思ってもいます。

しかしおもしろい発想です。Cに心を持たせるなんて。
□セツナビトさんからの批評 (2004/02/10 00:19) フォント
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うーーむ、ごめんなさい、内容が読み取れませんでした。というより読んでいてつらかったです。「?」ばかりで。ということで、「発想」の評価は他の方の批評を参考にしています。すみません。

とにかく読点が少なかったり一文が長かったりする上でさらに表現が抽象的で、文字を追うのに一生懸命でした。次回は読者に読ませる作品作りをお願いします。
□名無しさんからの批評 (2004/02/10 09:54) フォント
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せっかくこれだけのことがこれだけの表現で書けるのですから、書き手の世界は充分に出来ていると思いますので、読み手を受け入れる部分を作って欲しいなと思います。書き手の中だけで完結してしまって、読み手に付け入る隙を与えないところがあって、なんだか文章に拒否されているような気持ちです。
文章の流れを読んでなんとなく平野啓一郎さんの「日蝕」を思い出し、ストーリー的にはギャリコの「雪のひとひら」を思い出しました。世界観をもう少し安定させて、招き入れてもらえればと思います。文章はうつくしくて、完成されていると思いました。
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