「無題」
山下
 僕等の天気予報はずっと晴れのはずだった。 僕等が出会った春も、旅行へ行った夏も、紅葉が降る秋も、星を見た冬も、どんな時も僕等は暖かい太陽の下にいた。振り仰げば、いつでも雲ひとつない青空があった。
 僕等の日常に影が射し始めたのはほんの些細な行き違いからだった。あれ、ちょっと曇ってきたかな? そんな感じだった。すぐにまた晴れるさ。そう思ってた。実際僕は行き違いの原因を長らく思い出すことが出来なかった。それほど小さな小さなことが始まりだった。
 やがて、雲は勢力を拡大しどんどん青空を覆っていった。彼女が笑顔を見せることがだんだん少なくなっていき、万華鏡のようにころころ変わり、そしてきらきら光っていた表情は次第に色と輝きを失っていった。。僕は戸惑い、彼女に問い掛けた。何があったのかと。
「わからないの? 」
「わからないから聞いているんだよ。」と僕は答えた。
しかし僕の問い掛けに彼女は下を向き首を振るばかり。僕はだんだん腹が立ってきた。僕が何をしたっていうんだ。それでも僕は根気よく辛抱強く何度も問い掛けた。言葉を変え、口調を変え出来る限り真摯に問い掛けた。しかし、結果は変わらなかった。
 ある時、苛立ちのあまり僕は彼女に手を上げてしまった。ぱんっと皮膚を弾くいい音がした。僕の手のひらにびりびりとした痺れを感じてはっと我に帰った。
―しまった。謝ろうとしゃがみこんだ彼女の顔を慌てて覗き込んだ。
そしてその目を見て僕は固まってしまった。負の感情に満ちた目。心が凍ってしまったような気がした。そして辺りが急激に暗くなった。振り仰いだその先には分厚い黒い雲が隙間なく空を覆っていた。青空なんてこれっぽっちも見えなかった。程なくして完璧な暗闇がやってきた。
 僕は暗闇の中彼女を捜し求めた。纏わりつく恐怖を心の隅に追いやって。あらんばかりの声を上げ彼女の名前を呼んだ。どんなに叫んでも返事はどこからも返ってこなかった。疲れ果てた僕は、彼女と交わした約束を思い出した。まだ僕達が出会ったばかりの頃の些細な約束。そんなこともあったっけな。苦笑い交じりに首を振る僕の鼻先に何かが触れた。ほんの僅かな感触だけど何かが触れた。その方向に向かって必死に体を投げ出す。居た。彼女が、居た。僕は抱き締めた。強く、強く抱き締めた。すると空が少しずつ明るくなっていった。雲の隙間から赤い空。そうか今は夕方だったんだ。
 僕等はまた手を繋いで歩き出した。夕焼けに照らされた僕等の影はどこまでも長く伸びていた。
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□名無しさんからの批評 (2003/12/11 01:45) フォント
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この文字数で上手くいっていたカップルが少しずつすれ違いはじめて修羅場を迎えて仲直りするということを全部書こうとしたら、こうなるだろうなという感じの文章でした。
言いたいことはよく解るし、工夫している部分も解ったのですが、書きたいことをもう少し絞って、そこに力を注いだ方がより読者に伝わる情報は多くなると思います。
次回も頑張ってほしいです。
□名は無いさんからの批評 (2003/12/12 01:43) フォント
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小説、というよりは歌の歌詞を引き伸ばしたように感じます。
文章がすべて「〜た」という過去形なので、完結していることのように感じ作品の世界に入り込めませんでした。作品を見せる視点、展開の仕方、時間の流れ方を考えてみてはいかがでしょうか。私は映画やドラマを参考にしています。
□ななしさんからの批評 (2003/12/12 20:44) フォント
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「影」という言葉は、暗・陰・裏・・・といった印象を持たれがちだけれども、「影ができるのは、そこに光が射しているから」と影があること(=光が射すこと)の穏やかさや暖かさをあらわす発想は素敵だと思いました。
しかしながら、彼女に手をあげてからの後半部分がどうしても「無理やりつめこんだ感」が残りました。
限られた字数での難しさがあると思いますが、もう少しふくらませた話を読ませて欲しいと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/12/13 00:23) フォント
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比喩表現の中の世界観で進む話として捉えました。コレだけ短いと一人称になりがちですが、そんな中での発想はいいです。しかし表現が追いついていないのと、展開がありきたりです。
文章接続に「が」の多用は読者から観ると非常に気になります。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 01:33) フォント
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 これも言葉に飲み込まれて物語ることに無理を生じている作品に思える。ここで語られるべき物語の主人公と彼が語る言葉に乖離があるのだ。そのため中学生の書いた作文のような印象と、やたらと漢字を使いたがる文学少女の印象が入り交じっている。語られる物語にふさわしい表現、言葉選びを心がけてほしい。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 06:20) フォント
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何が起こったのかは大体わかりましたが、薄っぺらい印象を受けました。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 18:19) フォント
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はじめの「振り仰げば」はいい感じだなあと思って読んでいたのですが、二回目の「振り仰ぐ」の時なんだか冷めてしまいました。「僕等」とあったので男同士だと思いました。
ストーリー的には好きです。
□匿名さんからの批評 (2003/12/14 19:40) フォント
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少年の心の時間的経過は追えますが、無理に天候と重ねてある印象を持ちました。天候の説明が、言葉どおり説明しすぎてあるせいか、焦点がぼやけてしまった印象です。
□名無しさんからの批評 (2003/12/15 05:26) フォント
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女性を殴るのはフィクションでも嫌いなので、そのヘンから私の理解を超えた世界に突入、、ゴメンナサイ。分かりませんでした。
□む。さんからの批評 (2003/12/15 12:57) フォント
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二人の関係を天気で表現しているのですね、最初読んだときは何が起こっているのかよくわかりませんでした(すみません、読解力不足で)。発想はいいなぁと思います。
気になった点が二つあります。一つは「僕」が「彼女」をぶってしまった点。前後から察するに「僕」はそんなに暴力的な性格をしているとは思えません。そのような人が激昂していたとはいえ、彼女に手を上げるかな? とちょっと違和感がありました。もう一点は、ラストで突然時間の流れが出てきたこと。なぜ夕方である必要があったのか、二人が仲良く手をつないでいる影を伸ばすための演出なのかも知れませんが、それだけのために夕方にしてしまってよかったのかな、と気になりました。この二人なら夜が来ても大丈夫、というニュアンスもあるのですかね。
全体的には、字数の割に内容が詰め込みすぎかなぁという印象です。次作に期待しています。
□水夫さんからの批評 (2003/12/16 17:58) フォント
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個人的な話ですみません。「エヴァンゲリオン2」で遊んでいるからでしょうか。テレビ版の最終話を思い浮かべました。

「僕はここにいてもいいんだ」
「駄目です」
□郵一郎さんからの批評 (2003/12/17 19:18) フォント
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きっかけも、約束も、解決の理由も不鮮明ですが、このうち一つぐらいはもう少し情報が欲しいです。
しまった、の前の ― は二つの方がいいと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/12/21 05:01) フォント
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二人の仲を天気に反映させて書く、というのは面白い。表現方法も光るものを感じた。特に、「僕の手のひらにびりびりとした……」のくだりはリアル感がありうならせるものがありました。

ただ、これだけ力があるはずなのに、最後の晴れ間を見せた理由がイマイチ。約束は何だったのか。どうやってすれ違いを修復できたのか、さらには、なぜ夕方なのか。
理由付け及び意味のない比喩部分は存在価値がほとんど無いと言っても過言ではありません。もうちょっと簡潔に、詳しく書き込んで欲しかった。
□名無しさんからの批評 (2003/12/27 05:58) フォント
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ひょっとして『天気予報の恋人』でしょうか。
それはおいておきまして。
もうちょっと何があったのか具体的なら嬉しいかな、と思いました。
本当ならそこは想像力で補うべきなのでしょうが、一体何がどうなったのかが気になって気になって、そればかり考えてしまいました。
□セツナビトさんからの批評 (2004/01/05 22:59) フォント
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えーっと、言葉を追うのにいっぱいいっぱいで、一読ではちょっと内容が把握できませんでした。雰囲気を生み出す「間」がありません。言葉を詰め込みすぎです。はっきり言って言葉の羅列でしかありません。やはり1200で書くには内容が濃すぎですね。おそらく普通の短編として書けばもっと余裕のある表現になったのでしょうが。残念です。最初の段落が興味を引く文だっただけに。

そして内容ですが、主な流れに無理やり天気予報をねじ込んだという感が否めません。アイディアとしてはいいと思うのですが、ちょっとしつこすぎです。もう少し天気色を薄めにしてもいい作品が出来ると思いますが。

文の運びはうまいと思います。が、やはり詰め込みすぎかと。もしかしたら1200に慣れていらっしゃらないのかもしれません。次回に期待します。がんばってください。
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