「反乱」
七百七十四
 草木も眠る丑三つ時、眠りについた人から黒い物がそっと離れた。それはいろいろな影の中を伝い、あるビルの影に入っていった。そこには何十とそれらが集まり、暗闇の中でうごめいていた。
「それではそろそろはじめようか」
 その中のひとつが陰気だがよく通る声でそういった。ざわめいていた他の者たちは静かになり、暗闇の中のどこかに注目した。
「我々は常に地面にへばりつき、人に踏まれつづけている。いい加減にうんざりだ。我々は人に隷属するだけの存在ではない。その事を人に思い知らせる必要がある。皆の力を貸して欲しい」
 ぱらぱらと拍手のような音がした。暗闇の中の黒い集団なので何をやっているのかよく分からない。
「人に対抗するために我々は団結しなくてはならない。まずは組織としての形をしっかりさせる必要がある」
 それはそう言うと周りを見わたした。暗闇しか見えない。
「まずはここに何人いるのか把握しておきたい」
 それはそう言うと周りを見わたした。やはり暗闇しか見えない。
「とりあえず一人ずつ番号を言ってもらおう」
 暗闇の中から、陰気な声が聞こえてくる。
 1、2、3、3、4、5、5
 何かが暗闇の中で手を振っている様に見えた。制止しようとしているらしいが暗闇の中では誰も分からないらしく番号は止まらない。「待て」「やめろ」「人の話を聞いてくれ」とそれが叫ぶにいたってようやく静かになった。
「一人が言い終わってから次のものが言ってくれ」
 司会進行役のそれはそれだけ言うと闇に溶け込んだ。それからしばらくの間、暗闇はそれにふさわしい静寂につつまれた。
「……私が合図をするからそれに合わせて始めてくれ」
 司会進行役のそれはせーの、と言った。
「1」
 何十もの『1』がきれいにそろった。司会進行役のそれは頭を抱えた様に見えたが、暗闇の中確認する手段はなかった。
「なぜこうなるんだ。うーむ、そうだな、とりあえず君から始めてくれ」
 司会進行役のそれは暗闇の中の何かを指名した。しかし指名した方は暗闇の中分からないので適当に指名しただけだし、指名された方はそもそも司会進行役がどこを向いているのかすら分からなかった。
 誰も何もいえないまま、またしばらくの間暗闇は静寂につつまれた。
 その後、夜明けが近づいたので集会はそのまま解散。世にも駄目な会議はそれ以降開催される事は無く、世界は平和なままだった。
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□名無しさんからの批評 (2003/12/11 01:38) フォント
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「えーと、これは笑っていいんだよね?」と思ってしまう感じです。シリアスなのかギャグなのかもう少し解りやすく書いた方が、単純でも逆に面白いかもしれないと思います。地の文をナレーションっぽい口調にするとか。
発想は面白いと思うので、次回に期待。
□名無しさんからの批評 (2003/12/11 15:43) フォント
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発想は面白い、とは思ったものの、世界観を掴めないまま終わってしまいました。理屈であれこれ考えるのではなく、雰囲気で楽しむべき作風なのはわかるんですが、楽しむまでに至らなかったです。こういう作風に慣れていないせいかもしれませんが。
□む。さんからの批評 (2003/12/11 17:11) フォント
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コミカルですね。文章をそのまま読んで、面白かったと笑っていい作品だと思って読みました。号令が重なってしまったり、皆でいっせいに「1」と合唱してしまう間が凄くいいです。船頭多くしてなんとやら、の典型ですか。
文中、「暗闇の中だから〜してもわからない」という表現が何回も出てくるのがくどいです。テンポを出すためのツッコミのようなものだと思いますが、表現がちょっと単調な気がします。
しかし、影が勝手に動き出して集まり、会議を開いているという図は、なんとなく背筋が寒くなりますね。話の流れとしては、何も起こらなくてよかったね、の方がまとまりはいいのでしょうが、実際に彼らが蜂起していたらどうなったのか……と考えるとわくわくします。
私は楽しめました。次回に期待しています。
□名無しさんからの批評 (2003/12/12 00:26) フォント
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面白いですね。ドリフを彷彿とさせられたのは私だけでしょうか。

テンポも良いし、表現も良いと思います。ただ、この手の話は小説としていいのか、自分の中での判断に困っているところですので、批評は避けさせて頂きます。
□名は無いさんからの批評 (2003/12/12 01:35) フォント
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踏みつけられてきた影の反乱。でも失敗。ダークな奴らがコミカルな内容で面白かったです。影さんたちって、無個性なんですね。

批評としては、全体的に説明的になりすぎてちょっと重たく感じてしまう事でしょうか。表現を凝縮してもっとすっきりできるとよいかなと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/12/12 23:46) フォント
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話が非常に面白かったです。

ラストの「駄目な会議」という表現は気になりました。この会議を作者が「駄目」と決め付けてしまうのはいかがなものでしょうか? 駄目かどうかは会議の参加者、もしくは読者が決めることではないのでしょうか。私がこの会議の参加者だったら、きっと打開策を練ります。現行の会議運営法を見直すためには、意味のある会議だと思えましたので。
タイトルもやや安直過ぎる気がしました。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 01:41) フォント
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 文字通りのブラックユーモアか。ここに更にシリアスさと不条理さが同居するとよい作品になりそうである。
 言葉の問題だが、それを強調したいのはわかるのが「暗闇」がしつこい。「漆黒が広がる」とか「全く光のない」、「暗黒の」などと表現を言い換えるとよいだろう。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 06:28) フォント
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少々影の行動が平凡すぎる気がします。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 18:25) フォント
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10回以上ある「暗闇」がひつこい。
□匿名さんからの批評 (2003/12/14 19:33) フォント
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「世にも駄目な」はないほうがいい。読者にその判断を任せないと、面白かったのにせっかくの話が興ざめしてしまわないかな。残念。
□水夫さんからの批評 (2003/12/16 18:01) フォント
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タイトルに再考の余地あり。
ですが、まぬけ時空が蔓延するこの空気、好きだなあ。
□名無しさんからの批評 (2003/12/17 05:28) フォント
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ヒャー、面白かったです。発想にたどり着くまでのご苦労が見え隠れ。どなたかが、「ドリフ」の「コント」に似てるとおっしゃられていましたが、いい意味でそれは言えてるかと。すると、たぶん足りないのは「毒」でしょうか?とまれ楽しませていただきました。次回もこの路線でくると新しい境地が!
□セツナビトさんからの批評 (2004/01/05 23:08) フォント
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なんだかその様子が想像できて、とても面白かったです。そら姿が見えなくて誰が言ってるのか分かんないんだから、番号言えって方が無理だって、と一人で突っ込んでました。姿が見えていてもきちんと整列していなきゃ難しいのに。

内容ですが、やはり「暗闇」が多すぎだと思いました。意図して書かれているんだな、と思いましたが。ここまで多いとちょっと冷めました。あと、「世にも駄目な」は私もいらないと思いました。

その二点を除けば、素直に楽しむことが出来た作品でした。次回も期待しています。がんばってください。
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