「親友」
あてなるもの
 私と麗子は仲良しだ。必死で勉強して受かった高校の入学式で隣り合わせた。麗子は地味な私のどこが気に入ったのか、その日からずっと何をするにも一緒だ。
 麗子は頭が良いのに、物理だけは苦手で、毛嫌いしている。一緒に質問に行こうと誘っても、一生わからなくてもいいのだと笑いながら断り、毎度の追試を果敢に受けている。
 麗子は体が硬いので、マットが大の苦手だ。なのにとても綺麗なフォームで走る。長い手足に大きすぎない胸。風を受けた柔らかい髪が光る。横でハードルをしている男子の何人かが、つい見とれて叱られているのが笑える。
 私が用事で急いで帰らなきゃいけない日にカラオオケに誘われた麗子が、一緒に行ける日にしてよと、断った。その子はむっとした顔で、私に向かって言った。「あんたって、いっつも麗子に影みたいにくっついてるのよね」「もう一度いってみなさいよ」麗子がつかみかかって行ったものだから、みんなで大あわて止めた。人のことでそんなに怒って、まったく麗子らしい。
 麗子は短気だし、はっきりものを言うから敵を作り易い。けれど、味方は多い。麗子には華があるから。なんだか分からないけど、楽しい事なんていっぱいあるぞっていう気にさせる。がんばるかっていう気にさせる。麗子を悪く言う子らも、自分達の仲間に入らないのが気に食わないというのが本音だろう。
 ある日麗子が「拓海君って、いい感じよね」となにげなく言った。私はいきなり胃をつかまれた気がして、吐き気がしてきた。私は中学の時から、もの静かな大人びた雰囲気を持つ拓海君が好きだった。同じ学校に入学できて、本当に嬉しかった。私はいつも拓海君を目で追っていた。麗子を見つめる男子の中に拓海君がいないことに、安心していた。まさか、麗子のほうが拓海君を見ていたなんて。
 卒業文集に、好きなタイプは優しくて素直な子とあった。私はそんな子でありたいと心から願い、努力した。好かれたいだけの偽善者にならないように、一生懸命自分を戒めてきたつもり。だけどもうだめだ。私は麗子に拓海君が好きだと言い出せなかった。麗子には、拓海君を気にとめて欲しくなかったから。優しくて素直な子って、麗子みたいな子だと分かっている。拓海君のことを好きになられたらお終いだと、卑しい私の心が拓海君の事を言わせなかったのだ。これ以上惨めな思いはしたくない。ずっと黙っていよう。そうか、影だ。やっぱり私は麗子の影でしかない。
 だけど。ああ、気持ち悪い。これじゃ私が大好きな二人を、どちらもまっすぐに見ることは出来なくなる。こんな私はやっぱりいやだ。みんな麗子の華やかさにだけ惹かれてる訳じゃない。麗子は本当にみんなに優しくて、自分に素直だ。影も、影らしくあれば良いよね。私は大きく息を吸い、一気に言った。
「ずっと拓海君のことが、大好きなの。」
 影は、光と親友になった。
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□名無しさんからの批評 (2003/12/11 00:02) フォント
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全体的に説明的に感じられ、窮屈で少し読み難かった。
けれど、最後の一行には惹かれるものがあった。
□名無しさんからの批評 (2003/12/11 00:47) フォント
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高校生の日記? と感じながら読んでいたのですが、最後の一行でそんなの全部チャラになりました。
人間を光と影に例えて、劣等感や優越感とかいう汚い部分にスポットを当てた作品は多かったけれど、この一文のストレートな清々しさには感服。
□名は無いさんからの批評 (2003/12/11 02:36) フォント
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曲がるのは光のほうであって、影はそれに従うだけですもんね。「影も、影らしくあれば良い」という表現は積極的なのか後ろ向きなのか、考えさせられて面白かったです。
麗子のエピソードが中心で主人公の話がまったく出てこないのは、おそらく主人公がまったく主体性のない人間だったからなのだと思いました。

気になったのはカラオケの時に、帰ろうとしているのが私なのに、麗子がごねたのに、文句言われるのが私なのはちょっとちぐはぐじゃないかなと思いました。それと読点の置き方が引っかかる箇所がいくつかありましたが、細かくは言いません。好みの問題もあるので。
□匿名さんからの批評 (2003/12/11 07:03) フォント
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麗子も、私のことを気にしていたからずっと視線で追いかけている拓海の事に気付いたんですよね。私が言い出すのをまっていたんですよね。私がやっと言えて、光と思っていた麗子と地味な私が対等な関係になって初めて最後の一行に親友と言う言葉を使ってあって、くどめの麗子への描写が伏線だったのかと。
一行目の仲良しと言う言葉との対比をもっとはっきり出してあれば、分かりやすかったと思います。
私も生まれもっての光を持つ人がうらやましいなと思っているひとりですが、私らしくありたいなと思わせてくれました。 
□名無しさんからの批評 (2003/12/11 23:36) フォント
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まず、推敲をされているのでしょうか? と聞きたくなりました。なぜなら、誤字が多く、読んでいて主語が分かりにくく、もっと簡潔に書けるところが目立ったからです。

最後の「」は独白の部分なのでしょうか? それとも、麗子への言葉なのでしょうか。その他もろもろ含めて、最後の一文の意味がよく分かりませんでした。
もし、その最後の一文に大きな意味を持たせたいなら、それを引き起こす動機みたいなのが必要ではないでしょうか? 自然に心情が変わっていく人物と言うのは、現実には居るものの小説の中にはいないと思うのです。言い換えると、現実に居る「自然に心情が変わる人物」というのは、記憶に残らないような小さな事柄が積もって、心情を変えているのであって、何もなしに心情が変わる人間は数少ないと思うのです。何かに気付くにしても、それに相応する事件がないと。
そういった点で、心情変化に動機が不足しているので、よく分からなかったのです。それがリアリティの欠如にも繋がると思うのですが。
□名無しさんからの批評 (2003/12/13 00:43) フォント
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するする読めました。

ラストは無理やりすぎる気さえします。また、
「ずっと拓海君のことが、大好きなの。」
というセリフがこの話の主軸になっているのなら、意味を図りかねます。
期間である「ずっと」が現在形でしかない「〜なの。」にはつながりません。
また、「」の末尾に。が入っていますが、意図とは読み取れませんでした。
□はるさんからの批評 (2003/12/13 19:54) フォント
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出だしが好きではありません。
その後の感じはそれほど悪くないのに、出だしがあまりに安易だと思いました。
全体として粗さが目立って感じられました。
ただ時間をかければいいものが書けるような気がします。
次回はもっと時間があるときに書かれるとよいと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/12/14 19:22) フォント
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高校生くらいの年齢の子たちが「仲良し」という言い方をするのがちょっと幼い感じがした。
私と麗子が「仲良し」だと言ってみたり「影」だと思ってみたりで、「私」の位置付けがわかりずらい。友達に影みたいと言われた時点から「影」に変化した?のだとしたら、その辺りに説得力がない。本人が「私はもしかして麗子の影?」と思ったフシの描写がない。
だから「影も、影らしくあれば良いよね」がとても唐突すぎる感を受ける。
□名無しさんからの批評 (2003/12/16 02:53) フォント
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内容のバランスがとても取れていていいと思いました。
パッと受け入れられる結論もなるほど、と思わせられました。
□水夫さんからの批評 (2003/12/16 18:12) フォント
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カラオオケ、といった目立つ誤字が残っているんで、きっと書き散らしたままの投稿だ、という印象。

正面一本勝負な明るい展開は好み。前半の麗子の紹介に字数を使ってしまっているけど、少し削って最後の段落に使いたいかな。
□名無しさんからの批評 (2003/12/17 07:54) フォント
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今月は青春な恋愛作品(私の日本語がヘンですな) が多かったせいなのか、上から読み始めてきた疲れなのか、どうも馴染めません。
登場人物が3人、そして設定がありがちなだけに、先が分かってしまうというのも損してるかなあと。
□名無しさんからの批評 (2003/12/22 18:30) フォント
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せっかくいい物語なのに、もったいないです。推敲してないのがわかってしまう文章なのは、読んでいて本当に残念です。
どなたかも指摘されてたかも知れませんが、「だけど。ああ、気持ち悪い」ではなく、そこで麗子が寂しそうな顔をしたとか…何か気付きのきっかけがあった方が、より麗子との関係も引き立ってくるのではないでしょうか。じゃないと主人公がぐるぐる脳内会議開いてる感じになっちゃうと思うので。
あと数回推敲していたら、もっと良い作品になっていたと思います。そういう意味で評価低めにしてしまいました。
□セツナビトさんからの批評 (2004/01/10 01:12) フォント
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主人公は本当に麗子のことを慕っているんだなあ、と思いました。そしてそれ故の嫉妬なんでしょう。親友とは難しいものです。「〜というのが本音だろう。」までの文章は、まるで隣に座って延々聞かされているような感じがしました。

さて文章ですが、微妙に語尾が統一されていないのが気に掛かりました。例えば「麗子には華があるから。」「一生懸命自分を戒めてきたつもり。」などの文が、少し浮いているような気がしました(両方とも、統一するなら「だ」を付けたほうがいいかと)。それと、全体的に説明的で、息が詰まりました。もう少し女子高生らしい軽さを出してもよかったのではないのでしょうか。あと、「ずっと拓海君のことが、大好きなの。」はやはり「ずっと〜なの」のつながりに違和感を感じました。

カラオケの件で誘った人間が主人公に突っかかったのは主人公が行けないと言ったせいで麗子が断ったからだと受け取りましたが、影という言葉を使わせて、そして後半の「そうか、影だ。〜」のくだりに持っていくためだったのでしょうか。少しここらへんが強引のような気がします。というより、影を含める必要が無かったのでは。そう思ってしまったので、オチにいまいち納得できませんでした。

次回に期待します。がんばってください。
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