「芽」
朝倉海人
 至極うっとうしいモノが私の目の中にいるようです。
 私はそのうっとうしいモノに邪魔されながら生きてきました。生まれてこの方、私が疲れていたのもこのうっとうしいモノのせいではないかと思う毎日です。
 どうやらそれはいつの間にか、そう、私が物心ついた頃には最早いたようで、私がいくら泣こうがそれが洗い流されることはありませんでした。どうやらそのうっとうしいモノどもは、虫の形をして私の左眼に住み着いているようでした。
 さてさてこのうっとうしさにいい加減困り果てた私は、この蠢く虫どもを黙らせようと近くの川へ歩き出すのでした。
 しかし歩いている最中も、私の左眼の虫たちは最後の足掻きとでも言いましょうか、私の行き先を妨げるかのように、視界をさえぎろうと必死にそれはもう激しく動いているのでありました。私は、それらを懸命に追い払おうと目を何度も何度もこするのですが、どうやら効き目はないようです。
 川にたどり着いた私は、その川の様子に見とれていました。そこは川底まで透き通っているような綺麗さでしたが、心持ち普通の川よりもゆっくりと流れているようで、私は時の流れを忘れそうになるのでした。
 私はその川の透明で色のない水を両手に大事そうにすくい、左眼につけるのです。
 目に見える目の中の様子。
 目の中のうっとうしいモノは、心なしか数が増えていくようでした。私はそれを振り払うように何度何度も繰り返ししつこく水で洗い流そうとするのです。しかし虫たちはその度に増えていきました。
 その行為を何度かしたものの一向に消える気配のない虫たちは、次第に透明な色から黒へそして赤色に変わっていくのでした。私は怖くなってその場から走り逃げました。
 その時でした。私の左眼から大量の虫が飛び出して行くのです。赤く小さい虫たちは、羽の音をがさがさとさせながら私の左眼からひっきりなしに飛び出して行くのです。
 私はこのまま死んでしまうのでしょうか?と恐怖に立ちすくんでいると、飛び出して行った虫たちが一つの物体を形成していくのでありました。それは大きな大きな虫のようなもので、私は呆然とただ呆然とそれを見守っているだけでした。
 しばらくして我に返ると、私の視界は限りなくクリアーになっていました。
 よくよく先程の川を見てみれば、その川は濁って流れが悪くなっているだけでありました。
著作権について
 
 
□名無しさんからの批評 (2003/11/11 11:27) フォント
発想
構成
表現
総合
とても良かったと思います。シュールレアリズム的な世界観に則した寓話的展開と、独特の語り口調がマッチしているようで、個人的には好きな作品です。
難を言えば、大きく心を揺さぶる要素が少ないように感じられます。さらっと流して雰囲気を楽しむだけにとどまってしまう。もうすこしアクを強く出しても良いかもしれません。
□phさんからの批評 (2003/11/11 22:45) フォント
発想
構成
表現
総合
ぞくぞくしました。夢見てうなされそうです。非常に好きです。

ただ、ラストがよく飲み込めませんでした。虫=川の汚れでいいのでしょうか。
最後の締めくくりはもう少し何かできそうな気がします。
□水夫さんからの批評 (2003/11/12 16:44) フォント
発想
構成
表現
総合
うーん。文章は読めるんですが、ぴんと来ませんでした。読解力不足あるいはが読み込み足りないのかもしれません。

その上で言い放ってしまいますが、ずっと悩んできて、何故今更近くの川に行ったのか、ということを気にさせてしまった時点で作者の負けかと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/11/12 23:01) フォント
発想
構成
表現
総合
テンポがどうも・・・、もう遠い感じか、スピーディーなのが好きなもので。
そして、ラストは「それで何なのだろう?」でした。
□匿名さんからの批評 (2003/11/14 02:44) フォント
発想
構成
表現
総合
左目に虫がうごめいているという話でいいでしょうか? ちとその設定、麻薬、アルコール中毒患者あたりが動物(ネズミとかそういふ類)が見えるという普通の状況と読めてしまって、どうにもダメです。ごめんなさい。
□名は無いさんからの批評 (2003/11/14 03:38) フォント
発想
構成
表現
総合
読み始めて、目の中を小さな虫が飛んでいるように見えてしまう眼病をまず思い出しました。

こういった文体は好きなのですが、文体のせいで物心ついたときから目の中にいて煩わしかったわりには、ずいぶんと長く我慢したんだなぁと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/11/15 21:21) フォント
発想
構成
表現
総合
 こういった作品は好きです。
 語り口調も内容とよく合っていると思います。
 ただ、もう少し。
 雰囲気や情景は伝わってくるのですが、中身が少々曖昧すぎたかと。
 物語の指向性に一つでも決定的なものを持たせれば、一段上のものになるかもしれません。
□匿名さんからの批評 (2003/11/16 18:14) フォント
発想
構成
表現
総合
上手な文章ですね。でも、主人公の背景が伝わってこなかった。何かひとつ、左目の中、虫、に、リアリティを持たす現実の暗示があればなと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/11/16 18:53) フォント
発想
構成
表現
総合
面白い着想だと思います。読ませるストーリーはすごくいいですが、過去形の「でした」と現在進行形の「です」は、全体のバランスを考えると少し入れ替えたほうが良くなったのではないかと思います。もちろん、文体の持ち味として使ってらっしゃるのでしょうが、少しおかしな表現があるのが目に付きました。それから、最後の「限りなくクリアーに・・・」の部分はせっかくのレトロな雰囲気を損なってしまっているように思います。何か日本的な言葉に置き換えるのは、どうでしょうか。
□名無しさんからの批評 (2003/11/19 15:36) フォント
発想
構成
表現
総合
数回読みました。
語感がいいと思います。
でも、一文一文に「なぜ?」という思いで読みました。読み終わってから「それで?」とも思いました。
わたくしの読解力がないせいか読み終わって、読み手側に消化不良感を感じました。
□名無しさんからの批評 (2003/11/19 23:47) フォント
発想
構成
表現
総合
日本語に違和感が感じられます。
〜でした。口調で文章を書いているのですが、この文体で書くときはとにかく時制に注意しなきゃいけないんじゃないでしょうか?
いまやっていることも過去形でかかれていたりと…非常にそこのところが気持ち悪かったです。
あと、漢字が少なすぎて読みづらかった。
□セツナビトさんからの批評 (2003/11/23 10:40) フォント
発想
構成
表現
総合
シュールですね。実際に自分の身に起こったら、と考えると恐ろしいです。

まず気になったのは、長い間左目の中の虫に悩まされていたのに、その問題を解決するために行ったのが近くの川だったこと。「えっすぐそこじゃん」と思わずツッコミを入れてしまいました。「近くの」から、前々から(もしかしたら物心ついたころから)よく目にしている近所の川をイメージしたので、これ以降のまるではじめてそれを見たような川の描写に違和感を感じました。ここは、ようやく探し当てた遠方の清泉、みたいだったらかなりすんなりいくと思うのですが。

次に、最後のあがきなのか必死に動き回る虫に目をこする描写。目をこすっても虫には効果がないことは前々から分かっていたんじゃないでしょうか。

最後に、ラスト。どうも意味を読み取れませんでした。虫が川の流れになったのでしょうか?それとも川はもともと汚れていて、虫がその川をきれいに見せていたということでしょうか? この一文をなくして、虫が目からいなくなったことへの感想などを入れたらよいのではないでしょうか。

これは、「物心ついた頃から目の中に虫がいる」ではなく、つい最近目に虫がわいた、そのうっとうしい虫に視界を邪魔されてイライラしていい加減困り果てて近所にあるとてもきれいな川に……という流れの方が自然だったのではないでしょうか。物心つくころから、とそのせいで人生常に疲れている、という設定が生かされていないと思うので。

文章力はある方だと思います。ネタ自体も、面白いものだと思います。もう少し設定を絞ったらいいものが出来ると思います。これからもがんばってください。
□名無しさんからの批評 (2003/11/24 02:13) フォント
発想
構成
表現
総合
『うっとうしいモノ』を意図的に多用していると思われますが、ちょっと多用しすぎな気がします。
個人的に同じ表現を繰り返すのは良くないと思っているので気になるのかもしれませんが。

左眼に虫(らしきもの)が住み着いているというのは明らかに異常な状態なわけですが、『私』がそれに対してどんな感覚を持っているのか、『うっとうしい』以外で表現がされればもっと面白かったと思います。
例えば存在することで痛覚があるのか、左眼から飛び出した時は痛みを感じたのかなど。

視界に対する表現も、後半近くで『次第に透明な色から黒へそして赤色に変わっていくのでした。』とありますが、元々は透明だったのでしょうか?だとするとうっとうしい以外に表現のしようがないのかな、うーん。
□匿名さんからの批評 (2003/11/24 22:49) フォント
発想
構成
表現
総合
読み終わってから、目の中の虫と川の関係は何だったんだろうと疑問に感じました。最後の一文は無い方が、シュールな雰囲気を持たせたまま終わらせることが出来たかもしれません。
何故、突然主人公が虫を黙らせたくなったのかもよくわかりませんでした。わからなくてもいい些細なことだと思うのですが、今までずっと寄生されていたのなら、これからもそれでいいじゃん、というか。
主人公が川に出向くところから、虫が目から飛び出すところまでの描写はいいと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/11/25 03:17) フォント
発想
構成
表現
総合
出来れば不気味な読後感を残すように、グロテスクなまま最後までいって欲しかった気がします。
□名無しさんからの批評 (2003/11/25 13:52) フォント
発想
構成
表現
総合
目の前を虫がちらついているように見える、そういう病気なのだと思ってしまいました。もう一歩という印象です。
□名無しさんからの批評 (2003/11/26 21:37) フォント
発想
構成
表現
総合
シュールなのは事実なんですが、それだけのような感じ。
飛蚊症がネタだと思うんですが、それを巧く生かしきれていない感じがします。
□名無しさんからの批評 (2003/12/01 03:17) フォント
発想
構成
表現
総合
 とてもシュールですね。曖昧で、解釈を読者に委ねることができる作品だと思います。ただ読者のレベルが要求される作品だと思うのです。解釈が自由であるが故に、自分で作品を読み取る力のない読者は置いてけぼりになるかなと思いました。
←目次へ
2style.net