「Daydream」
槇原 諒
 ほんとはね、君にもっと早く出会いたかったよ。でも、それって無理な話だったんだよね、自分でもわかってる。でも君が僕の心を癒してくれたのは事実なんだ。それだけが今の僕に言える言葉。

 ようやく病院の屋上まで昇れるようになった日、僕は君と出会った。僕の足音を聞いて振り返った君は穏やかな、でも優しい笑顔を浮かべていたね。長い黒い髪とその表情が印象的だった。いつもならそんなことをしないはずの僕が、つい声をかけてしまったのもその笑顔のせいかもしれない。ほんとの目的だった煙草は君が嫌そうだったから、吸わなかった。

 君はどうして滅多にひとの昇らない屋上にいたんだろう。あの僕に見せた親しげな表情はなんだったのだろう。病室に帰ると、ずっと僕はそのことを考えた。君のことが頭から離れなかった。

 毎日、屋上に昇れば待ってくれていたかのように君がいた。いつも僕が一方的に話すばかりで、君は黙って頷いて聞いてくれていた。僕はそれでよかったけれど、君はどうだったんだろう? あのとき僕は誰かに自分の心のうちを聞いてもらいたかった。でも誰でもいいというわけでもなかった。不思議なんだけれど、君だから素直に話せたんだと思うよ。

 ある日突然君はいなくなってしまったね。病院の誰に聞いてもみんな君のことを知らないと言う。不審に思うよりも、どうしたんだろう、と心配になった。でも僕はきっとまた君に会えると思って煙草を持たずに屋上への階段を昇り続けた。

 冷たい雨の日が続いた。それでも僕は屋上に昇り続けた。きっと君に会えると思っていた。いつの間にか煙草も吸わなくなっていた。

 ようやく雨が止んで青い空が見えた日、僕は誰もいない屋上でいつも君と話した場所まで出てみた。そこで、足元に季節はずれの一匹のアゲハ蝶の死骸を見つけた。そのアゲハ蝶には見覚えがあった。そのとき全てがわかったような気がしたんだ。君は最期まで僕のために屋上にきてくれたんだね。動けない僕が病窓から声をかけ続けたアゲハ蝶。それが君だったんだ。
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□名無しさんからの批評 (2003/11/11 13:11) フォント
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話の筋は面白いと思いますが、必要以上にさらっと読み流せてしまう気がしました。
主人公がそれをDaydreamだと理解した上で語りかけるよりも、その髪の長い少女(?)との邂逅からやりとりまでを生々しく、さも現実のように書いた上で、最後に「あれは君だったんだね」と落とす方が、より効果的だと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/11/11 20:49) フォント
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わざわざ屋上に上って煙草を吸うことや煙草を吸うことに抵抗を感じているところから主人公は少年なんでしょう。
だったら、なぜ煙草を吸いだしたのか、また、打ち明けていることは何かをはっきり書いたほうがよろしいと思います。それを書かないせいで、物語が希薄になっています。

また、雨の日に死骸を見つけなかったのは、屋上へ登る階段から外に出なかったためでしょうか? そういうところは現実的で構わないのですが、少々その現実さを破綻させて、雨の中で見つけてしまうという風にした方が、読者の心に残りそうな気がしました。
□匿名さんからの批評 (2003/11/12 15:08) フォント
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物語からすると主人公は内科的な病に罹っていると読み取りますがどうでしょう。そうすると、タバコは吸ってはイケナイ訳で、こっそりとタバコを吸いに屋上に上がるって事ですね。ストーリ的にはイケルんですが、ここは小説、主人公を最後にあっさりと殺すというのもオチの一つかと思いますが、いかがでしょう。1200字に想いを込めるにはある程度の誇張も必要かと。次回作、期待しています。
□水夫さんからの批評 (2003/11/12 17:28) フォント
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終わってみると最初の段落がまったく不要に感じます。悪い意味でミスディレクションになっている感じ。
□名無しさんからの批評 (2003/11/12 23:20) フォント
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 第一段落だけでしらけてしまいました。あとは「あっそ」って感じで眺めただけ。
 読み手を引き付ける努力をしてほしく思います。
□名無しさんからの批評 (2003/11/13 11:39) フォント
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屋上に無理があるような気がしましたが、さらりと読めて、静かに感動しました。
最後の「動けない僕が病窓から声をかけ続けたアゲハ蝶。」が、やけに説明じみてます。
□名は無いさんからの批評 (2003/11/14 01:57) フォント
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小説というよりは、詩を読むのに近い感じで読ませていただきました。
そうすると心情表現メインということになるので、自分から感情移入しようとすることでキャラクターの心情を理解できるのです。
ですが物語として読んだ場合は読者をひきつける要素が弱く、さらりと流されすぎてしまうのではないでしょうか。読ませる工夫がまず必要だと思います。
□匿名さんからの批評 (2003/11/16 03:00) フォント
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最初の段落はなくていいですね。ストーリーに上手くはまっていませんから。
ストーリーは目新しい物ではないと思いますが、上手く物語を作っていると思います。語り掛けるような文の調子も好きです。
主人公の境遇や、屋上で「君」にどのようなことを話したのかが具体的に描かれていると、何となくいい話だなー、というところからもう一歩踏み込んだ作品になると思いました。
□phさんからの批評 (2003/11/16 18:38) フォント
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可愛らしくていい話だなと思いました。
僕の一人語りで、感情移入は出来るのですが、一歩引いてみたときに、物語として端々が物足りない気がしました。
僕はどんな人なのか、彼女はどんな人なのか、どんな打ち明け話をしたのか、などがあればぐっと深みが出たのではないでしょうか。
□名無しさんからの批評 (2003/11/17 10:12) フォント
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全体的な印象は良いのですが、何かまとまっていない感じがします。
主人公の感情がハッキリ伝わってこないかな?
世界観はすごくすきなのですが・・・
□名無しさんからの批評 (2003/11/17 11:02) フォント
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内容があまりなくて、面白くないです。所々(作者はわかっているのでしょうが)説明の足りない部分があって、読者を遠ざけてしまうと思います。それがのめり込めない理由かなと。それと、ラストが・・・。
□名無しさんからの批評 (2003/11/19 15:59) フォント
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彼女がアゲハ蝶だったのは素敵です。ですが、全体がやけに説明的。

「僕」はどうして滅多にひとの昇らない屋上にいたんでしょう?
□名無しさんからの批評 (2003/11/22 22:06) フォント
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このお話の持つ、空気間はとても好きなのですが。
『動けない僕が病窓から声をかけ続けたアゲハ蝶。』
この部分を、もう少し前の段階、例えば冒頭で、病室の窓から見える場所で羽化したアゲハチョウがいた、などとあればまだ納得できたかな。
□名無しさんからの批評 (2003/11/22 22:07) フォント
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ごめんなさい、上の書き込みで誤字がありました。

空気間→空気感
□名無しさんからの批評 (2003/11/28 04:26) フォント
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惹きつけるものがありませんでした。
彼女の描写があっさりしすぎていてのめりこめない。
だから、オチを見てもなんの感慨も沸かない…という感じでした。
□名無しさんからの批評 (2003/11/30 03:31) フォント
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君に語りかける文体が、僕のひとりよがりに終始してしまい、上手く生かせていないような気がしました。

病室でアゲハ蝶を見た描写が前半にないので、アゲハ蝶の出方が唐突な印象です。
僕に見せた親しげな表情や、誰も知らない君、雨の日に会えない君では伏線としては弱いです。
□匿名さんからの批評 (2003/12/04 12:59) フォント
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一段目いりませんね。もっと早く会えたらよかった理由が、まったくみあたらなかった。文章は、読みやすかった分、言いたいことが見えてないのがざんねんです。
□名無しさんからの批評 (2003/12/07 19:56) フォント
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 段落が多いような気がします。どうして彼は、彼女の正体がアゲハ蝶だと判ったのでしょうね。アゲハ蝶と彼女が重なる一文があればその辺がもっとクリアになると思うのですが。
 一段落目は私もなくていいと思います。せっかく一人称で、しかも彼女に語りかけるように書いているのだから、心情描写か情景描写に当てればもっと効果的だったのかもしれません。

 でも、読み終わったあとに胸がきゅっとなりました。こういう気持ちになれる文章を書けるということは素晴らしいと思います。
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