「リバーシブル」
SHOW
 僕の見ている悪夢が、君の見ている悪夢とはまったく違うように、この世には普遍的なモノなど一切存在しない、という悪夢――。

     * * * * *

 世間一般でよく言われている事なんだけれど、あの「枕を裏返して寝ると悪夢を見る」っていうヤツ。あれ、本当なの? 科学的な根拠はあるのかなぁ。
 そんなような事を、僕の隣でうつ伏せになり、枕を抱えている君に聞いてみる。
 君は眠そうな目をしぱしぱさせながら、「うぅんとねぇ」とか「それはつまりねぇ」などともったいぶってみせるのだが、最後にはため息混じりに、「ひっくり返るからじゃない?」と、さも当然の事のように言うのだった。
「ひっくり返るって、何がさ。枕が?」
「うんとね……。枕がというよりは、頭を支えている世界そのものが、かなぁ。枕ごとね。こう、くるんっと」
 君は手のひらをくるりと返してそれを表現してみせるが、自分で納得がいかなかったのか、「よいしょ」と実際に枕をひっくり返した。
「つまり、こんな感じ。ひっくり返った世界なんて、見た事ある? 想像つく?」
 僕は布団の上で大きなあくびを一つしたあと、その涙を拭いながら一言、さっぱり。
 すると君は、上から覆いかぶさるように僕の顔をのぞき込み、満面の笑みを浮かべて、「でしょう」などと自信たっぷりに言うのだった。
「想像のつかない世界。見た事のない世界。現実とはかけ離れた世界。ひっくり返ってしまった世界。枕の裏側にある世界」
 そう歌うようにささやいたあと、君は思い出したように、「それが――悪夢ってわけ」と付け足した。
 ふうん、そんなものかなぁ。まあ、君が言うのだから、きっとそうなんだろうね。
「もう、寝ようか」
 僕がそう言うと君はこくりとうなずき、仰向けになって布団に潜り込む。
「あ、このままだと、怖い夢見ちゃうね」
 そうつぶやくと、君はそのままの姿勢で器用に頭だけを浮かし、枕をくるりと裏返すのだった。
 君の寝息しか聞こえなくなった真っ暗な部屋の中。目を開けたって、何も見えはしない。
 だけど、この裏側にある世界なら、何かが見えるかもしれない。ひっくり返ってしまった、何かが――。
 そんな事を考えて、こっそりと枕を裏返してみる。
 その世界の中に、隣で眠る君は存在するだろうか。たとえそれが、恐ろしい悪夢だったとしても。
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□名無しさんからの批評 (2003/10/10 20:10) フォント
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冒頭の段落は必要なのでしょうか?どうも必要性を感じません。悪夢に主眼が置かれている物語にも思えませんし。
また、会話の部分が多すぎるのも気になってしまいました。会話が多い割りに、それが内容の転機や帰結にかかわっておらず、結局のところ地の文の飾りにしかなっていないからです。
□セツナビトさんからの批評 (2003/10/10 22:13) フォント
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ほのぼのした二人の会話から、彼女が寝静まった後に「僕」が枕をひっくり返して思いにふけるシーンまで、すらすらと読めました。そういうことを話した夜は、つい眠りに落ちるまで考えてしまいますよね。
気になったのは、「僕」の台詞が地の文で書かれているときと「」に囲まれているときがあったところです。どちらかというと、地の文に統一した方が、彼女への思いも強くなる……ような気がします。あと、序盤の彼女の返答や、『それが――悪夢ってわけ』と『あ、このままだと、怖い夢見ちゃうね』は「」がなくてもいいかもしれません。
冒頭の一文は、私もなくていいと思います。そのほうが、出だしも面白くていいかも。

ほのぼのまったりとした雰囲気がいいです。他の作品も読んでみたいです。これからもがんばってください。
□名無しさんからの批評 (2003/10/11 11:35) フォント
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内容がとても興味深く、登場人物のさりげなさがリアリティを出している良い作品だと思います。
ただ、冒頭の部分は私も不要だと思いました。読者を必要以上に身構えさせてしまうのでは?
□名無しさんからの批評 (2003/10/11 16:34) フォント
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冒頭はわたしも不要かな、と感じました。けれど、さらりと読みやすく、1200字という短文の中で恋人同士の穏やかな夜を表現出来ていて、好感を持ちました。「君」の可愛らしさが伝わりました。他の作品も読んでみたいです。これからも頑張って下さい。
□名無しさんからの批評 (2003/10/11 19:06) フォント
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同じく、冒頭部分は必要ないと思います。

「さも当然の事のように」言うのならばその前にもったいぶる必要はないのではないでしょうか。もし彼女が眠くてそうしているのならば、「当然のことのように」よりは「めんどくさそうに」などのほうが良い気がします。

全体的に、まとまらなさを感じます。書きたいものが1200字には収められなかったような。長編の一部としてなら面白いのかもしれません。
□Rさんからの批評 (2003/10/12 23:41) フォント
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みなさん、冒頭部分について不要だと述べられてますね。
きっと、他の作品と差別化を図りたかったのだと思います。短編では良い方法だと思いますが、やはり使い切れていないと思います。

人物の雰囲気を出す点においては良いと思います。体言止めを続けた台詞で不思議感を出しています。ただ、これはファンタジーではありません。実際、あなたが同じような台詞を言われたらどう思いますか? 私は……。
ですので、非常に勝手ですが、この少女(のバックグラウンド)に視点を追い、悪夢と絡めて不思議さを出した物語の方が良いと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/10/13 01:36) フォント
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冒頭は必要ないと思います。
本編と関係ないですし、『悪夢』という単語をだしたいだけなら、何かしらの文献とかからの引用を原文のまま(英語なりなんなり)で書いた方がかっこいいと思います。

表現について「君に聞いてみる」というような表現が違和感しかありません。
「君」に対して書いている(言っている)文章であるのに「君に聞いてみる」という表現にはすごく違和感があります。

さらりと読める内容ですが、表現が引っかかってとにかく気持ちの悪いものがありました。
□名無しさんからの批評 (2003/10/13 02:47) フォント
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冒頭部分や、彼女と悪夢について話すくだりについて。これが中編や長編で、「僕の悪夢」と「君の悪夢」を対比させて書き込んだ上で、そのギャップを『普遍的なモノなど一切存在しない、という悪夢』と表現するならば別ですが、1200文字のお話の主題にするには、やや弱く、面白味に欠けるように思います。

『僕の見ている悪夢が〜という悪夢――。』をクローズアップしている割には、「僕の悪夢」とは一体何なのかも具体的に書けていないので、物語の焦点がぼやけてしまいます。

いっそのこと思い切って会話は全部なくして、『枕を裏返して寝ると悪夢を見る』という話をメインに据え、「飲み会でそんな話題が出て、戯れに枕を裏返したら悪夢の世界に入った」話にしてしまった方が、物語としても面白かったような気がします。

□名無しさんからの批評 (2003/10/13 13:54) フォント
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「君は〜言うのだった」という表現に引っかかりを覚えます。第三者が読むことを想定して書かれた文体で「君」と言われると、読者は自分のことかと思うのでは。この場合は「彼女(彼?)」という表現にした方が読みやすいと思います。
会話文の軽さが「君」のキャラを際立たせて、そこは良いと思いました。

□水夫さんからの批評 (2003/10/14 12:16) フォント
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「小説」にしようという心意気を感じます。好みです。
□名無しさんからの批評 (2003/10/14 20:54) フォント
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こういう表現は大好きです。
二人の雰囲気が、よく伝わってきました。
お話も面白かったです。
□名無しさんからの批評 (2003/10/16 02:05) フォント
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楽しく読めました。
細かいところの情景描写は、上手いと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/10/18 21:12) フォント
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 私的感覚でアレなんですが、こういうストーリー好きです。ほのぼのしていて、こういうカップルっていいですね。

 冒頭の2行は要らないと思います。スペースとアスタリスクも合わせて5行分で、彼の心理描写を書いてほしかったです。それと、セリフを地の文の中で言わせるなら「」が必要だと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/10/22 00:10) フォント
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皆さん言われていますが、冒頭の部分は不要だと思います。
ポルノグラフィティの幸せについて本気出して考えてみたの最後の部分を思い出しました。
□名無しさんからの批評 (2003/10/31 17:54) フォント
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ほのぼのとした感じがいいです。発想も面白いですが、冒頭の部分は1200文字という短さではカットしてもよいかと。あるいは最後の枕をひっくり返した後の部分に絡めてみるなどしてはいかがでしょう?
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