「sister&brother」
風邪煙草
 姉は枕カバーを集めるのが趣味だ。色んな柄のカバーを集めるのが好きだ。中学の時にはすでに10枚以上持っていた。今は30枚は持ってると思う。
「一つ一つのカバーに、一日一日の思い出が残ってるのよ」と姉は言う。「このカバーはあの日につけて寝たんだとか、このカバーはこの日につけて寝たなとか」
「じゃ、いいことがあった日はいいけど、嫌なことがあった日のやつとかはまた使うのイヤじゃねぇ?」と僕は訊く。
「いいのよ、それも含めて私の人生だし」
 おお、それは前向きで素晴らしい考え方だ、と感心しつつも僕は容赦なく姉のキャラを必殺コンボでボコボコにする。コントロ−ラーが宙に飛ぶ。そして僕らはまたいつものようにゲーム機を蹴飛ばして喧嘩する。

 ある日、部屋でエロ本を見ながらゴロゴロしていると、唐突に姉が入ってきた。
「ノックくらいしろよ!」
「……これあげる」
 と、姉は何かを投げてよこした。そして僕が本を隠す間もなく出ていった。
 拾い上げると、それは枕カバーだった。可愛いようなキモいようなよく分からないキャラクターがプリントされていた。
 嫌なことも含めて自分の人生じゃなかったのかよ、と僕は出て行った姉の顔を思い浮かべながら思った。
 姉は、ちょっと泣いているみたいだった。

 その夜は、その枕カバーを使って寝た。そうして欲しくて渡したのだろうと思ったからだ。多分、自分の愚痴を聞いて欲しいみたいな、そんな気持ちの延長で。
 そしたら、変な夢を見た。
 見覚えの無いどこかの部屋、そのベッドに男が一人座っている。「別にお前のことなんて最初から好きでもなんでもねぇよ。単にそっちが寄ってくるから、手っ取り早くヤれそうな気がしたってだけで」
 視界がなぜかぼやける。男は煙草を吹かしながらニヤニヤと笑っている。

 その日も、僕と姉は格ゲーしながら、帰りの遅い両親を待つ。
「今日ね、ちょっといいことがあったの」と姉は嬉しそうに言う。
 ふうん、と僕は適当に相槌を打つ。「何?」
「んー、まぁたいしたことじゃないんだけど」そして忙しくボタンを連打しながら続ける。「あんたも気をつけなさいよ。なんかこのへんにも変な暴漢が出るらしいから」
「あっそ」と軽く受け流しつつも僕は容赦なく姉のキャラを必殺コンボでボコボコにする。コントロ−ラーが宙に飛ぶ。
 そして僕らはまた、いつものようにゲーム機を蹴飛ばして喧嘩する。
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□名無しさんからの批評 (2003/10/10 04:00) フォント
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『〜しつつも僕は容赦なく姉のキャラを必殺コンボでボコボコにする。コントロ−ラーが宙に飛ぶ。そして僕らはまたいつものようにゲーム機を蹴飛ばして喧嘩する』は、意図的に二度使用していると思われますが
1200文字という短さの中では、生かせていないように思います。
短文の構成としてはややくどい印象を受けました。
姉の枕カバーを使った時に見た夢に出てきた男に対して『男は煙草を吹かしながらニヤニヤと笑っている』
だけでなく、その男の態度に対して『僕』の気持ちがどうであったのかの表現を入れると良いといます。
姉の言葉『あんたも気をつけなさいよ。なんかこのへんにも変な暴漢が出るらしいから』は、前後の流れとあまり合っていないな気がしました。もう少し違った話をさせても良かったのでは?
あえて今時の男の子の話し言葉を使った地の文は、彼の性格を表現すると同時にテンポを良くするのに効果的だったと思います。この文字制限でも『僕』のキャラクターが良く伝わってきました。
□Rさんからの批評 (2003/10/10 09:22) フォント
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文章については、可も無く不可も無く。
特に会話文は秀逸。2人のキャラクタが出ていて、話の筋を分かりやすくしているが。

しかし、流れはあまり良くない。
上記にもあったが、最後の姉の台詞は何か伏線がないと、何が何だか。夢と関連させて書いているつもりなのだろうが、大多数の読者は、この書き方では関連していると思ってくれないだろう。
あと、最後の方の「」の使い方を御一考あれ。
□名無しさんからの批評 (2003/10/10 21:58) フォント
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総合
登場人物に魅力を感じるのと、全体的な雰囲気はとても良いと感じました。
ただ、文章としてちょっと?と思ったり、リズムが悪かったりする部分が多数感じられました。一度作品を音読してみると良いかもしれません。
□匿名さんからの批評 (2003/10/11 00:25) フォント
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総合
文章の冒頭と末尾の繰り返しが、少し重く感じました。他愛のない日常の繰り返しの表現だと思いますが、もう少し端的な表現でも足りると思います。
最後の方で、姉が「暴漢が〜」と言っていますが、これは唐突な印象を受けました。何回か文章を読み、こういうことかな〜?という予想はつきましたが、もう少し背景の説明があると良かったです。
最近の姉弟ってこんな感じなんですかね?家庭環境のせいでしょうか。垣根が低い、仲の良さそうな姉弟という空気作りがいいと思いました。
□名無しさんからの批評 (2003/10/11 16:56) フォント
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読みやすくテンポの良い文章だったのですが、どなたかもおっしゃってるようにラストに唐突な感が否めませんでした。そこが残念。でもこの姉弟の雰囲気とか、10代であろう僕の持て余した感じだとか、伝わってくるものがありました。また読んでみたい、と思う世界です。これからも頑張って下さい。
□名無しさんからの批評 (2003/10/13 13:50) フォント
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 最小限の表現で、表面に現れない物語を浮かびあがらせている構成力は素晴らしいと思います。流れにも無駄がなく、ふたりのキャラクターも立っていて、読んでいて楽しい。ラストの姉の台詞は背筋が寒くなるような。
 ひとつ気になったのが「格ゲー」で、弟のキャラならこの言いかたをすると思うんですが、ゲームに馴染みのない人には「格ゲー=格闘ゲーム」とわからないんではないでしょうか。
□水夫さんからの批評 (2003/10/14 15:57) フォント
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ちょっといいこと? 暴漢? 数回繰り返し読んでみましたが意図が理解できませんでした。

「エロ本」「ボコボコ」「格ゲーしながら("を"の省略)」などのおそらくねらった表現も今ひとつ。
□名無しさんからの批評 (2003/10/15 15:14) フォント
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繋がらない点が多く、気になってしまいましたが、発想はいいものだと思います。
□名無しさんからの批評 (2003/10/16 04:37) フォント
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発想・構成・表現まで蕾ときて、何で総合が葉になるのか、というと、全体を通して不自然さや違和感を感じてしまうからです。設定そのものやエピソード同士のつながりが、無理矢理な感じがします。

そもそも、枕カバーを集めるのが趣味、という設定は、やはり日常的な感覚からすれば不自然を感じると思います。だからといって、それが悪いということは勿論ありません。突飛な設定を持ってくるならば、それが文中において必然であればよいのだと、私は思います。
このお話の場合、枕カバーは姉の心情をあらわす手助けをし、弟に何か暗示的な夢を見せています。この夢が、結末で消化されていないままです。
私は、この夢の中の男が姉の失恋の相手なのかな、と思いました。が、最後で姉は「暴漢」と言っています。いくら遊ばれたとしても、仮にも想っていた(と思われる)相手に対し「暴漢」というのは読み手としては戸惑いを感じてしまうし、仮に本当に暴漢にあったのだとしたら、前後の流れと全く結びつかなくなってしまう。姉の心情をあらわす枕カバーの見せる夢と姉自身のセリフが、どうしてもつながりません。
いっそのこと夢のエピソードはカットして、その枕カバーで眠ると落ち込んだ姉の心情が伝わってくる気がした、みたいな描写に留めるのも手だったのかも。(そうすると、『枕』カバーである必要性がないのですが)

同じく姉の「今日ね、ちょっといいことがあったの」というセリフも、唐突な感じがします。枕カバーを弟に投げやった日の落ち込みからやや回復した、ということを示したかったのでしょうが、あまり上手くいっているとは言えません。「今日はね、〜」とすれば、そのニュアンスが少しは出たのかもしれません。

あと根本的なところなのですが、結局何が書きたかったのかな、というのがわかりにくいです。姉弟の距離感とかやりとりを書きたかったと解釈したのですが、それはお話の雰囲気や筆者の個性をつくる一部であるだけで、読者に伝えることの核になるものではないと思います。

文章は、弟の語り口調がとても自然でよかったです。この姉弟の関係が伝わってきました。この辺を説明書きをなくして表現できているのは、すごいなと思いました。

長くチクチクと書きましたが、一つでも参考にしていただければと思います。個人的に好きな作風なので、次回作を楽しみにしています。
□名無しさんからの批評 (2003/10/16 08:55) フォント
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ゴムンなさい。判らないんです。ゲーム……なので、批評ができない……
□名無しさんからの批評 (2003/10/19 20:24) フォント
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 「僕」の書き方がとてもうまいと思いました。会話などがリアルで、本当に少年ぽさを感じますし、姉に対する微妙な距離感、親しみや戸惑いなどもくっきりしているように思いました。
 ただ、「僕」がリアルな分お姉さんのキャラクタが現実的でないような気がします。突然僕に枕カバーを渡すシーンなどは、僕があとから理由付けをしてくれるものの、いまいち理由にしては弱いと思いますし、いくら好きだった相手にひどいことをいわれたとしても、ラストで「いいこと」と言ってしまうのはちょっと後味が悪い感じがします。

 ちなみに、この夢の男と暴漢についてさまざまな意見が出ていますが、自分はこれを「僕」がその男をぼこぼこにしたんだ、と読み、お姉さんは自分が酷い扱いを受けたために相手の男がひどいめにあったことを「いいこと」といっているんだと読みましたが、この読みが間違いにせよ正しいにせよ、これだけ違う読み方が批評の場に出てきている以上、ストーリーがきちんと伝わりきれていないのではないかと思います。もう少しオチがわかりやすいようにするとぐんと良くなったのにと思いました。姉弟の関係はほほえましく、文体もまとまりのよいタッチだったとは思います。今後に期待したい文章の流れでした。
□名無しさんからの批評 (2003/10/20 11:34) フォント
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姉はどうして弟に枕カバーをあげたんでしょうか。ああいう場面を見せるのが目的だったんですか。私に弟がいたならそういうことはけしてしないと思うのですが。特に一緒に格ゲーして喧嘩するくらいの年齢の弟なら。
□名無しさんからの批評 (2003/10/29 23:23) フォント
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「そして僕らはまたいつものようにゲーム機を蹴飛ばして喧嘩する」に代表されるように、他の作品よりも品詞の並べ方が綺麗です。動機が足りないのでわかりにくい部分もありますが、構成がしっかりしているために、ある程度カバーできています。良い意味で異色の作品だと思います
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